伊東真菜美

Leiden University_Urban studies 🇳🇱 ライデン大学都市学…

伊東真菜美

Leiden University_Urban studies 🇳🇱 ライデン大学都市学専攻 The Hague/Leiden/Tokyo 都市学、オランダでの生活など色々アウトプットしていきます:)

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  • 暮らし

    生活しながら感じ、考えたことを綴っています。エッセイです。

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    生きていく中での節目ふしめで考えていたこと、感じていたことの備忘録です。

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    都市、まちづくりに関して大学で学んだことと考えたことを書いていきます。

最近の記事

Art of slow living - 「ゆっくり生きる」ことで私が得た未来へのヒント。

大学2年生の一学期(2023年9月〜12月)、私は生まれて初めて「ゆっくり生きる」ことを決意した。東京で生まれ育った私は、分刻みで誰よりも効率良くタスクをこなし、とにかくどんどん目標を達成していくことだけに全エネルギーを注ぎ込む生活が当たり前だった。 オランダに来て、それだけが人間の生活ではないということに気付かされた。社会人はたいてい定時退社で、人々はなんでもない余暇の時間をとても大切にしている。自分の充電の最後の1%が切れる瞬間に何とかベットに倒れ込むのがデフォルトだっ

    • ヴェネチア ビエンナーレ2023 レポート

      今回、2年に一度ヴェネチアで行われる建築のビエンナーレ "La biennale architettura" に行ってきた。そのレポートを残しておこうと思う。 ヴェネチアの街イタリア、そしてヴェネチアに行くのは初めてだったが、古い街並みだけでなく、人々の暮らしや街のリズムまで近代化の波に巻き込まれずに存在していることにとても驚いた。街の中に車は全く入れない。 毎朝船で食料品などが運ばれ、人が橋の多い街の中を縫うようにして荷物を運ぶ。もちろん自転車やバイクも通れないので、Ub

      • Walkable city リサーチ ー「人も自然も豊かになっていくまち」のきっかけとして。

        今年2月ごろから3ヶ月間に渡って、Walkable cityに関するシステミックデザインリサーチを友人のわんくんと実施しました。 システミックデザインリサーチに焦点を置いたインサイトについての彼の記事も是非読んでみてほしいです! きっかけ  私は大学で都市学を専攻して2年目で、学び始めた当初から持っている「人も自然も豊かになっていく街」という抽象的のビジョンの解像度を高めるとともに、現在のアカデミックの文脈に落とし込んで語れるようになりたいと常々思っていました。(今もその

        • 都市実験「みちくさカフェ」を終えて

          夏休みに地元の広場で始めた「みちくさカフェ」。 想像以上にたくさんの人に知ってもらい、遊びに来てもらいました。 自分が頭の中で思い描いていた、近所の広場で見たい景色がゆっくりと目の前で形作られていく様子を見るのは本当にかけがえのない経験でした。 どうして始めたのか? 私が大学で都市学を専攻しており、人々の暮らしを豊かにしていくきっかけとなる場づくり、まちづくりに関心を持っていたことがきっかけです。 具体的には、ヤン・ゲールやジェーン・ジェイコブスのような都市計画やまちづく

        Art of slow living - 「ゆっくり生きる」ことで私が得た未来へのヒント。

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        記事

          8/17 石巻レポ〜人間のものづくりの原点を垣間見る〜

          やっとコロナが明けて、3年ぶりに東北に帰省した。 太平洋にひらける壮大な海と切り立った山々に囲まれた三陸はいつ行ってもときめく場所だ。同時に、津波で全てを拭い去る大自然の怖さと人間の小ささを幼い頃の私に感じさせた場所でもある。 13年の月日が経ち、震災の被害の跡形はほとんどないように感じた。 祖父母の家に行った帰りに、今回初めて宮城県石巻市を訪れた。 全体の印象 だいぶ復興してきていて、津波の痕跡にも気づかなかった。ところどころにある広大な空き地にかつての更地や瓦礫の跡が

          8/17 石巻レポ〜人間のものづくりの原点を垣間見る〜

          10代最後の夏、広場でコーヒーはじめます。

          私は、わたしが生まれ育った場所がだいすきだ。 1年も離れて、そう思った。 幼少期 東京の真ん中に程近いけれど、まわりには草木の茂った公園がたくさんあって、子どもたちがみんな走り回って遊んでいて。 小さい頃に公園で作った秘密基地のことや、怖いもの見たさに、近所の畑の木いちごを盗み食いしたことなんかもよく覚えている。(笑) とはいえ、都会は都会だ。 玄関を出たマンションの5階からは、スカイツリー、東京タワー、六本木ヒルズ、そして新宿のビル街を一望することができる。小さい頃は

          10代最後の夏、広場でコーヒーはじめます。

          おとなになる、ということ。

          気がついたら、10代最後の夏休みになっていた。 私はあと2ヶ月でハタチになる。 一年ぶりに日本に戻ってきて、「大人になったね」と声をかけられることもある。 大人になることは、折り合いをつけることを学ぶことなのかもしれない。 そう、私はハタチになる前に「折り合い」をつけておきたかった。 私はずっと、大人になりたくなかった 私は小さい時からずっと、大人になりたくなかった。 それはきっと、「星の王子様」が大好きだったからだと思う。 大人になったら、ウワバミをのみこんだゾウの絵

          おとなになる、ということ。

          Mull of Kintyre とキャンドル〜ある美しい夜のはなし

          これは、ある美しい夜のはなし。 私は今、76歳のおじいちゃんの家に下宿して住んでいる。 彼の奥さんはアーティストで、この家はかつて彼女のギャラリーだったそうだ。おかげさまで、私はまるで美術館のような3階建ての一軒家に住んでいて、彼女の描いた睡蓮の絵が、私の部屋にも飾ってある。とてもシンプルで柔らかいけれど、まっすぐに何かが伝わってくるような、そんな絵だ。 でも、彼女はもうここにはいない。 1週間、私の友人たちが家に泊まりにきてくれた。その最後の夜、大家さんのおじいちゃんと

          Mull of Kintyre とキャンドル〜ある美しい夜のはなし

          私がオランダで都市学を学ぶ理由

          都市学についてそもそも都市学とは何か  「大学で何勉強してるの?」と聞かれて、「都市学です!」と答えると、「じゃあ建築とか、工学部系?」とお決まりの返答が返ってくるので、そもそも都市学とは何かを説明したいと思います。  私の学部では、「都市」というスコープで、様々な人間の営みを分析し、理解することに焦点を当てています。コースの内容も多岐に渡り、政治、経済、歴史、心理学、統計、人類学などを都市の視点から学びます。日本にある学問で言えば「都市社会学」に近いですが、社会学のみで

          私がオランダで都市学を学ぶ理由

          てくてく

          オランダに来て3ヶ月がたった。 来てからすぐ買ったシャンプーが切れそうだ。 来た時に着ていた半袖は、クローゼットの端っこで申し訳なさそうに佇んで、ジャケットとセーターがクローゼットを牛耳っている。 明るくなったからと布団から出たら8時半で、早起きできないのを太陽のせいにしたくなる。 あ、もうこんなに時間が経ったんだ。という感覚とともに、自分はずっとここにいたような気もする。 マーケットに行ってオランダ語で安売りのアボカドを買った。 通学で乗り換える電車の発車時間とプラッ

          「オランダどう?」

          オランダに来てはや2週間近く。(9月前半) こっちに来て新しく買った、カモミールのシャンプーの匂いにも慣れてきた。いろんなものが高いところに置いてあるのも慣れたし、みんな英語が話せるから意外と生活には困らない。けれど地味に色々なことにビビっている自分にも気づく。新しい駅で乗り換える時とか、入ったことのない店に入る時とか。 一人部屋もまだ慣れないように思うし、14平米の部屋は小さい私には余ってしまうように感じる。 これまで、日本をベースとしたコミュニティや学校を中心に築いて

          「オランダどう?」

          卒業

          簡単にいうと、卒業しました。 毎日毎日、1時間後のミーティング、明日までの課題、数ヶ月後のIB試験のことなんかを考えて、でも今ここで友達と馬鹿なことをして笑う瞬間が楽しくて。そうやってとにかくフル回転で毎日を生きていました。 目の前、先、先を見て歩いて走ってきたけれど、この毎日が終わるんだと気づいて一度も振り向いてこなかった後ろを見てみると、「あれ?私すごい山と谷を越えてきたな」と。 英語もろくに話せなかった最初から、卒業式で帽子を空に投げ上げる瞬間まで。この2年間で、私は

          18さいになって

          18さいになった。忙しくて全然書けていなかったのだけれど、18歳になったのはもう1ヶ月近くも前だ。(と書いていたのにしばらく投稿していなくてもう4ヶ月前だ)なんだか、「三年生になって」みたいな小学校の作文が恋しくなってこんな題名にした。 今は、3歳の頃から休みのたびに通っていた多摩川の川沿いにあるカフェでこれを書いている。 きっとあの河川敷へ続く階段を降りて行って、川辺で水切りをしている5歳くらいの自分に会ったら、「私はこんなにかっこいい大人になれるんだね!」と目をキラキラ

          18さいになって

          自分と、社会と、自然と。 人間の痕跡が残る只見の森で考えたこと。

          「人と自然との繋がりを再考する」というテーマで開催されたKOTOWARI会津サマースクール。その中で、自然と社会、そして自分がどう関わり、繋がっているのか、という漠然とした問いは、少しずつ自分の中ではっきりしたものに変わっていきました。この物語は、その過程を記した備忘録です。  私もまだ見つける旅の途中だけれど、「もしかしたら『豊かさ』ってこんなものなのかもしれない。」と感じ取って、この旅に寄り添っていただければ嬉しいな、と思っています。  朝靄が山々の稜線にかかり、鳥の

          自分と、社会と、自然と。 人間の痕跡が残る只見の森で考えたこと。