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やっぱ研究者はSNSをやらないといけない:Twitterから学ぶ⑥

 久しぶりに「Twitterから学ぶ」シリーズを書いています。研究者には耳の痛い話です。④では、「研究とは何か」という話から、Twitter議論の問題点を明らかにし、⑤では具体的な対応策について検討した。⑥では、研究者は「やっぱ、急いでSNSやらないと!」という結論に達したので、それについて述べる。(小野堅太郎)

 noteはちょっと例外ですが、基本、SNSは広告収入によって経営されています。ユーザー同士の閲覧数が多くなければ、広告は取れません。ですので、企業は閲覧数を上げる取り組みをAIを使ったりして積極的に行なっているわけです。

 これはTVと同じです。つい先日のアメリカ大統領選の時のことです。トランプ候補がTwitterで陰謀論をリツイートしたことを日本のニュースTV番組が取り上げていました。「こんなデマをフォロワーの多いトランプ氏がリツイートするのは危険だ」との論調でした。そしてCMに入り、認知症改善に効果のある謎の薬や歯槽膿漏のための歯磨き粉が宣伝されました。ああ、なんかいろいろ興味深いなーと、思いました。このニュースを見ている視聴者が「認知症」「歯槽膿漏(歯周病の旧名)」に興味がある年齢の高い層ということです。この層は、投票率が高く、政治に興味があり、孫がいる可能性が高いです。つまり、このニュースは、視聴者に対して計算された番組を提供しており、さらに適切なスポンサーCMを放映していることになります。お茶の間で、孫達とTwitterについて会話があったとすれば、TVニュースとしては最高です。

 SNS・TV運営側が「ユーザーは大事です」とどんなカッコイイこと言っても、お金を出してくれているスポンサーの方が大事に決まっています。ユーザーは一銭もお金を払ってくれません。我々ユーザー・視聴者は、スポンサーへの商品のようなものです。SNSでは、たくさんのフォロー・フォロワーを持つアカウントは優良商品です。インフルエンサーと言われる人たちは、SNS利用ユーザーを広く獲得するために必要な「憧れ」的存在です。明らかにこれまでにはないSNSスターが誕生しているわけです。そして現在、SNSドリームを夢見る人たちが、多くの情報コンテンツを発信しているわけです。

 科学・医学情報に関しては、残念ながら、間違っているもの・不適切な物が多い状態です。え?なんでこんなに間違っている内容を発信している人に何万もフォロワーがいるの?いいねの数すごいな!ええ!再生回数もすごい!・・・これでいいの?というのが2年前の小野のSNS評価でした。当たり前です。間違った内容のコンテンツばかりなのですから!興味を持った人たちは、ネットのこれらのコンテンツからしか学べなかったのです!SNSビジネスモデルを考えたら、企業が業績を大きく避けるような自主規制を行うことは考えられません。

 ところが、ふと、1年ほど前にYouTubeを見たら、状況が変わってまともなコンテンツが人気となっていました(中田敦彦氏、ヨビノリなど)。相変わらず、酷い内容の物もたくさんありますが、明らかに状況は改善していたのです。

 これら先駆者達の功績は大きいと思います。今こそ、多くの研究者・医療人はSNSに飛び込んで、世の中の謎コンテンツに対抗するべきなのです。正確な情報を大学や研究所内だけに留めず、外に発信する必要があります。国公立は税金で賄われているのですから、特にそうだと思います。日本語での発信が必要です。④で述べた「大学・研究不要論」はこれで解決できるでしょう。⑤で述べた「非合理との戦い」は、研究者SNS人口を増やすことで有効なものへと変わるはずです。これを読んでいただいてる研究者の方達の多くは、すでにSNS活動をされている方だと思います。是非、自信を持って、周囲の研究者を巻き込んでいただきたいです!

 マナビ研究室も頑張ります!

 「Twitterから学ぶ」シリーズ第2弾④~⑥は以上ですが、SNS話題はまだまだ続きます。


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