試練が人生を豊かにする(喜多川泰『「福」に憑かれた男』を読んで)
書店の店主に取り憑いた「福の神」の語りを通して、人生を豊かにする生き方のヒントを教えてくれる小説。
面白いのは、福の神が与えてくれるのは「幸せ」そのものではなく、「試練の数々」だということである。
「何してくれとんねん!」と思いきや、実はその試練の数々によって、人間は変わることができるというのである。
著者は言う。
「人生は不思議なもので、これ以上ないほどの危機的状況こそが、後から考えてみれば、自分の人生にとって、なくてはならない貴重な経験になるということを、誰もが経