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その文章が、心にすっと沁み入るのはなぜなのだろう?

久しぶりに、知り合いの方がやっているカフェに出掛けて、本を開く時間をつくることができた今日。

何を読もうかな…?とひとしきり迷って持っていったのは、
どこまで読んだか忘れてしまった、この本でした。

歴史の解説がメインになっている本なのだけれど、
各章の末尾についているエッセイの読み応えがすごくて。
山崎さんはWEBなど他媒体でもエッセイを書かれているけれど、
きっとこの本のエッセイは、これから何度も何度も読み返すことになるのだろうな、と思います。

心がちょっと窮屈になったとき、
行き場のないモヤモヤが心の中に現れたとき、
山崎さんの書く文章は、そのモヤモヤをスパッと明快に解決することこそないけれど、
モヤモヤの中身をやさしく受け止めて、ちゃんと言葉にしてくれる、そんな感じがしています。
漠然とした不安とか、『これでいいのかなあ…?』というそこはかとない悩みに対して、
そのままでいい、これでいいんだ、と再確認させてくれる、というか。

その言葉に無警戒に身を委ねて、自分の中に取り込むことができるのは、
一体どうしてなのだろう…?と考えると、
(本人がどこまで意識しているかは分からないけれど、)
山崎さんが、できる限り嘘のない、誠実な文章を紡いでくれている、
そう信頼できると私自身が感じているからなのだろうと思うし、
特に、どことなく揺らぎのある、ときには敢えて結論を出さずに保留するような書きぶりからは、そのことを強く感じます。

本当は、実際に考えていることからは多少外れていたとしても、
断定したりはっきりとした主張、物言いをしたほうが、文章の切れ味は良くなるはずだと思うんです。
でも、敢えてそれをせずに、葛藤や揺らぎもそのまま、白黒つけずにおく、というのは、物書きとしては勇気の要ることだと思うし、
自分に嘘をつかない、自分に対しても相手に対しても誠実でいようとする態度の表れなのかなあ、と。

特に今日は、少し自分の中でもモヤモヤするものがあったからか、
山崎さんの言葉がひときわ刺さってしまいました。
久しぶりに、この本を開いてみてよかったなあ。

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