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【音楽サブスクって稼げるの?】#3 収益はどれくらいアーティストに入る?

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🕛8/31(木)20:00~
🎵音楽ビジネス



タメになる音楽情報を発信中のポッドキャスト「アーティストのミカタ」では、 全5回にわたる大型企画が進行中です!

今、アーティストが最も気になるポイントのひとつである

「サブスクって稼げるの?」

という疑問の答えに様々な観点から迫ります。

企画の第3回目となる今回は、

・サブスク配信の収益は、アーティストに何%入ってくる?
・サブスク時代のアーティストはどのような姿勢で活動していけば良いのか?

などについて取り上げました。

noteでは、ポッドキャストの内容を文字に起こしてお届けしていきます。

↓前回の記事はこちら↓

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【参加者プロフィール】

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沢井原兒(サワイ ゲンジ)

20代より多くのジャズバンドに参加。
アルバムのプロデュースは40枚を超える。
矢沢永吉/RCサクセション/鈴木雅之/加山雄三/今井美樹/米倉利紀/REBECCA/中村雅俊/上田正樹/シーナ&ロケッツ/吉川晃司/小林克也 他、Stage Support / Produceを行う。
インストラクターとしてはヤマハ、音楽学校メーザー・ハウスなどで40年以上。現在は株式会社MOP代表、IRMA役員。


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Mink(ミンク)

→Pia-no-jaC←コピーバンド大会で優勝を果たし、テレビ番組への出演経験も持つ注目のピアニスト。
多くのプロ輩出実績のある音楽専門学校「音楽学校メーザー・ハウス」出身。
ストリートピアノ動画をYouTubeにアップするなど精力的に活動中。

中野…ポッドキャスト番組「アーティストのミカタ」進行役。

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中野:こんにちは!ポッドキャスト「アーティストのミカタ」進行役の中野です。


沢井:サックスプレイヤーでプロデューサーの沢井原兒です。



中野:アーティストのミカタでは、その名の通り、音楽活動に役立つ情報をアーティスト向けにわかりやすく発信していきます。

日本を代表するサックスプレイヤーでありながら、数々の有名アーティストのプロデュース、また音楽スクールの講師も務められるなど多方面で音楽と向き合っていらっしゃる沢井原兒先生に、プロの視点からアーティストが今知っておくべき知識を毎回ピックアップして解説していただきます。

さまざまな形で音楽活動ができる今だからこそ、アーティスト自身が必要な知識を身につけることでもっと自由に音楽を楽しんでいきましょう。
今回もよろしくお願いいたします!



沢井:はい、よろしくお願いします。



中野:現在この番組では、アーティストがよく抱く、「サブスクって稼げるの?」という疑問に答えるべく、全5回にわたってサブスクに関する理解を深める企画を進めています。

番組としては条件はあるものの、「稼げます!」という方向性でお話を進めているのですが、なぜその答えになるのかというところを流れに沿ってお話しいただいています。

そして今回も、この音楽配信時代を駆け抜けるアーティストの方にゲストとして来ていただいています。
ピアニストのMinkさんです。
よろしくお願いいたします!



Mink:よろしくお願いします。



中野:今回は3回目ということで、1番気になる「サブスクの収益はアーティストに何%入ってくるのか?」というところについてじっくりお話しいただこうと思います。



沢井:はい。まずサブスクでは1再生されると大体0.4円〜1円の間の金額がアーティスト側に入る仕組みになっているのね。
例えば、1再生=1円として考えると、10万回再生されると10万円になる。

じゃあその0.4円〜1円っていう金額は、サブスクサービスの売上のうちの何%くらいが割り当てられているかというのは予想がつきますか?

つまり、サブスクサービスの利用料としてユーザーが支払う金額が月980円だとした場合、そのうちの何円、何%がアーティストに還元されていると思う?



Mink:全然少ないんじゃないかなと思うんですけど、5%くらいとか?
少なすぎますか?



沢井:5%?それで満足?



Mink:いや全然満足ではないですけど…



沢井:そうだよね(笑)
まず仕組みから説明すると、音楽サブスクサービスのApple MusicとかSpotifyとかAWAとかそういうものを音楽業界ではDSPって言うのね。



Mink:DSP!


沢井:そう。デジタルサービスプロバイダーって言うんだよ。
昔はコンテンツプロバイダーって言ってたんだけど今はDSPって言ってる。

そのDSPから権利者に支払われる率っていうのは、大体どこのサービスでも同じなんだよね。
支払われる楽曲の収益は、例えばアーティスト個人が登録していた場合は、アーティストに直接払われるし、レコード会社が契約している場合はレコード会社に支払われる。



Mink:なるほど。



沢井:そういった仕組みがある中で、月額利用料のうちどこに何%支払われるかを説明すると、

まず、音源を制作した時、その製作費を出した人には「原盤権」という権利が与えられるんだけど、その原盤権を持っている人に支払われるのがCDの場合だと定価の大体15%前後。


Mink:なるほど。


沢井:うん。
CDの場合は簡単にいうCDショップが30%、流通(※)が15%。
合わせて45%で、残りは55%だよね。

※流通…商品やサービスを生産者から消費者の元に届けるために、両者の間に入り仲介すること。
CDの場合:レコード会社とCDショップの間を仲介
配信の場合:アーティストと音楽配信サービスの間を仲介

レコード会社が契約している場合は、レコード会社にその55%が入るわけ。
自分でCDを制作販売している場合は自分に55%が入ってくる。

だから、例えばMinkが自分でCD作って、それをCDショップで売るとするじゃん。
そうすると流通会社から55%がMinkに支払われる。

ただ、ストリーミングの場合はどうなるかというと、CDディスクを作って実店舗に置くわけじゃないから、楽曲を配信しているSpotifyとかApple MusicというDSPが、「CDショップ」の役割に当たるんだよね。


それから、ストリーミング配信でも「流通」っていう役割はあることにはあって、アグリゲーター(※)っていうんだよ。

※アグリゲーター…独立系のレーベルやアーティストとDSPなどの配信業社を繋ぐ流通業者のこと。
一般的にはデジタル音楽流通として認知されている。

会社例:TuneCore , BIG UP! , CD Baby

日本でいうと1番大手のアグリゲーターがTuneCoreと言う会社がやっているサービスで、そこは配信の手数料を取らないんだよね。
楽曲の年間登録料だけなんだよ。

うちの会社はTuneCoreと契約しているんだけど、大体売上の60%が入ってきているよ。


Mink:なるほど!


沢井:ということは、Minkが自分でCDを作って、原盤をTuneCoreから配信した場合は売上の60%がMinkに入ってくるわけ。


Mink:意外と多いですね!


沢井:多いんだよ。
その60%っていう金額が、ストリーミングだと1再生あたり1円だったり、0.5円だったりするってことだよね。
だから、本来の売上でいうと1再生=1.5円くらいだということ。


じゃあ個人でなくレコード会社を通した場合、アーティスト印税として入ってくるのがいくらくらいかというと、それは本当に微々たるものなんだよね。


Mink:やっぱりレコード会社に持っていかれちゃうんですかね。


沢井:そう。
アーティスト印税は、CDの場合1%~2%の間。
大体1%だね。



Mink:えー、そうなんですね。


沢井:だから3000円のCDが売れたら30円しか入ってこないの。


Mink:えー、少ない!



沢井:少ないでしょ?



Mink:はい。



沢井:その状態で、アーティストが文句を言わないのがおかしいんだって。



Mink:おかしいですね!



沢井:おかしいおかしい!
でも世の中のアーティストはみんなそうなんだよ。



Mink:えー30円…。



沢井:じゃあストリーミング配信の場合のアーティスト印税はどうなのっていうと、大体CDの倍か、同じか、それくらいの金額なんだよ。
倍にしたって、1再生1円の2%っていうと0.02円しか入ってこないからね。



Mink:少ない…。



沢井:そうなんだよ、だから50再生で1円しか入ってこない。



Mink:そうなんですね。



沢井:実際に、海外では収益についてアーティストが声をあげているんだよね。

テイラー・スウィフトは、そのことで向こうのレコード会社と揉めて、自分で昔のレコードを再録したっていう話もある。

アメリカの場合アーティストに入ってくる収益は、 CDの場合、最低でも6%くらいで、良いと20%越えるの。



Mink:へー!



沢井:テイラー・スウィフトは、最初の頃は10%くらいで契約してたんだよね。

それが少ないって言って、全部自分で曲を収録し直したんだよ。
それにしても日本よりは全然多い。

でも1番いい方法は、全部自分でやることだよね。
そうすれば、全部自分に入ってくるから。



Mink:そういうことなんですね。



沢井:うん。だからエド・シーランが、もし自分でやっているんだとしたら、全部入ってくるわけよ。



Mink:いやー、すごいですね!


沢井:レコード会社とアーティストが共存共栄していくためには、この収益の仕組みを変えていかなきゃいけないと思うんだよね。
アーティストも音楽で食べられないんだったら、音楽やらなくなるじゃん。



Mink:確かに。



沢井:音楽である程度食べられるような状況を作っていかなきゃいけないと思うんだよ。
売れているアーティストしか食べていけないっていう状況はよくないと思う。



Mink:そうですよね。



沢井:そこそこ売れているアーティストはそこそこ食べられる、っていう状況を作っていかなきゃいけない。
そういう意味で言うと、「サブスクで本当に稼げるの?」って思った時に、独立したアーティストが自立して全部自分でやっていけば、食べていけるっていうことなんだよね。



Mink:なるほど。



沢井:例えばApple Musicで100万再生あれば、100万入る。

レコード会社と契約してCDを売った場合、100万もらうためにはどうしたら良いかというと、本当にすごい売れないと入ってこない。
3000円のCDが1枚売れると30円だから、3万枚以上売れないと100万円入ってこないっていうことになるよね。



Mink:なるほど、厳しいですね…。


沢井:厳しいよ。そのあたりの権利の話ってみんなよく知らないからね。



Mink:そうですね。



沢井:今後、音楽の状況が変わると同時に、アーティストがちゃんと音楽ビジネスのしくみを理解して、自分たちがどういう選択をすれば良いかっていう知恵をつけていかないといけないんじゃないかなと思います。



Mink:そうですね。
このお話を聞く前は、やっぱりなんとなく「大手のレコード会社とかと契約しておけば、お金入ってくるんじゃないかな」と個人的には思っていた部分があるんですが、必ずしもそうではないってことですよね。


沢井:そうだね。
ただ、事務所とかレコード会社と契約するとお給料みたいなものがもらえるからね。



Mink:なるほど。


沢井:それでなんとなく、アーティストも納得しているんじゃないかなと思う。
なのでこれからは、もっと良い経済環境を作っていかなきゃいけないなと思います。

まだまだ、伝えたいことはありますが、そろそろ時間が来たので今日はこのあたりで。



中野:ありがとうございます!

今回、サブスクでアーティストに何%くらい入ってくるのかと言うところをかなり詳細にお話しいただいて、具体的な数字を知ることで「サブスクで稼ぐ」ということについての考え方がだいぶクリアになってきたのではないかと思います。

次回は、今回のお話の中でも少し出てきましたが、原盤権をはじめとする音楽にまつわる権利についてお話しいただこうと思っています。

少し難しいイメージがあるので、敬遠されている方も多いんじゃないかなと思うのですが、アーティストの権利をしっかりと自分自身で理解し、活動していくための大切な回になるのでぜひチェックして頂ければと思います!

次回もお楽しみに!ありがとうございました!



沢井:お疲れ様!



Mink:ありがとうございました!



〜今回のポイント〜

・サブスクは、1再生されると大体0.4円〜1円の間の金額がアーティスト側に入る仕組みになっている


・音楽サブスクサービスのApple Musicや、Spotify、AWA等を音楽業界ではDSPと言う。


・DSPから音楽の権利者に支払われる率は、どこのサービスもほぼ同じ。


・楽曲の収益は、アーティスト個人が楽曲を登録していた場合はアーティストに、レコード会社が契約している場合はレコード会社に支払われる。


・楽曲の収益は、CDの場合、「原盤権」を持ってる人に約15%前後支払われる。


・CD売上は、CDショップが30%、流通が15%。残りの55%は、レコード会社と契約している場合はレコード会社に、アーティスト個人でCDを制作している場合は、アーティストに支払われる。


・ストリーミングの場合、DSPは「CDショップ」に当たる。


・ストリーミングの場合、アグリゲーターは「流通」に当たる。


・アグリゲーター「TuneCore」と個人で契約して音楽を配信した場合は、売上の約60%がアーティストに支払われる。


・レコード会社を通して楽曲をリリースした場合、アーティスト印税としてアーティストに支払われるのはCDだと1~2%、ストリーミングはCDと同じかその倍ほど。


・海外アーティストは楽曲の収益について声をあげている。


・音楽の状況が変わっていく中で、アーティストは音楽ビジネスの仕組みを理解し、自分自身で活動の形を選択できる知恵をつけていく必要がある。


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