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宝石箱

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エッセイ集。大切な瞬間を収めています。
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記事一覧

《初、夏.》

 「初めて」は小さなことでも記念日になる。初めて自転車に乗れた日、お小遣いで母に誕生日プ…

《母、内緒.》

 母の日にちなみ、本日はわたしの「お母さん」のご紹介を。こう感じていることは、ご本人たち…

《端午(たんご)、藤.》

 夏日となった「端午(たんご)の節句」。それはそれは美味しい一日となった。  遡(さかの…

《立夏、ようかん、遊.》

 早い。暦の上で、まもなく「夏」を迎えることに驚かされる。まだ始まったばかり、と思ってい…

《奏、湯.》

 「とととととっ。」その響きは、わたしがこれまで奏でた音の中で最も美しいものだった。  …

《花冷.》

 「元気でいなくちゃ。」と心が奮い立ったのは、祖母の落ち込んだ様子を聞いたからだった。 …

《桜、忘.》

 今年も迎えた桜の季節。  祖母の介護にあたるようになり迎えた、二度目の美しき時だ。一度目の昨年。ひと月半の入院を終えたばかりの彼女の体は弱り、連れていきたいと思いながらも諦めた「お花見」だった。  それでも、90歳を超えてからも人はこんなに回復できるのかとひどく感心するほど彼女は元気になってくれた。日中は多くの時間を車いすに座り過ごせるようになり、一緒に出かけられるようにもなった。数ヶ月に一度の通院に加え、秋には紅葉狩りに出向いた。それもこれも祖母のもっと生きたいという

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《曾、桜.》

 お彼岸。着物姿でお参りへ行く日が来るとは思ってもみなかった。  春分を中心とした一週間…

《60、30+.》

 ホワイトデーなので、「愛」にまつわるお話を。  祖父と多くの趣味が一緒であることは、以…

《髪、お守り.》

 別れの三月。日に日に暖かさが増していく季節だけに、寂しさは一層濃厚なものとなる。   …

《梅、やぼ.》

 三月三日の、ひな祭り。それにちなみ本日は、素敵な女性(ひと)のお話を。    梅があち…

《七つ、ふふっ.》

 子どもゆえの思い込み、というのはよくある。僅かな経験から思考するために生じるそれは、大…

《夏、握手.》

 忘れられない、夏の握手。初夏と盛夏に二度、それは祖母が差し出した右手で交わされた。  …

《春眠、そろり.》

 祖母の介護にあたるようになり、一年が経った。認知症と左半身の麻痺のある彼女の家に、母と二人で転がり込み生活をしている。  母との役割分担は、母:掃除、洗濯。わたし:料理、買い出し。というのがざっくりとしたそれで、祖母にまつわることはその時手の空いている方がするという形をとっている。  それでも、わたしだけの仕事なるものが一つある。彼女の寝かしつけだ。子どものいないわたしは、本物(?)の寝かしつけをしたことも、見たこともない。だけれど、きっと同じであると想像の範囲内では確

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