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宝石箱

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エッセイ集。大切な瞬間を収めています。
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記事一覧

《あのね、卵.》

 たかが卵、されど卵。  やってしまった後悔に、思わず祖母に「あのね。」と話をし、なぐさ…

《夢、団子.》

 穀雨(こくう)。  春最後の時を迎えておりますね。寒い季節にはあれほど待ち侘びていた春…

《春、雷.》

 この国は、季節の豊かさが美しいなと思うのです。そこに細やかに付けられた「名」を味わいな…

《春、汗.》

 汗をかいてしまいました。初夏のような暖かさのせい...と言いたいところなのですが。  …

《雪、茶.》

 あぁ幸せです。大切な日の風景が、とっても美しいものだったのです。清らかで、芳しくて、さ…

《餅、笑.》

 初日の出、初詣、初夢。年明け初めてのそれは、何度経験しても特別だなと感じます。「初笑い…

《冬ー聖ー元.》

 実に濃密な二週間でした。  冬至(12月22日)に始まったこの14日間。そこには家族でお祝いしたい行事がめいっぱい詰まっていたのです。その日々は、まるで箱根駅伝のようで。各イベントが、ランナーがたすきをつなぐがごとく、鮮やかに続いてゆきました。  トップバッターは「冬至」。一年でもっとも陽の短くなる日です。この日を境に「陰」から「陽」に気の転じる節目でもあります。「ゆず湯」に癒された方も多いのではないでしょうか。わが家では今年、二種の「ゆず」で二つのゆず湯を用意しました

《かりん、未.》

 つい真似したくなる人。皆さんも身近にいらっしゃるのではないでしょうか。美しかったり、か…

《柿、なるなる.》

 気の合う人との時間。これ以上に愉しいものはないなと、しみじみする秋の日です。あっという…

《続・金平糖、ころころ.》

 恥ずかしい想いというのは、誰もがとおる道なのかもしれない。そんなことを教えてくれたのは…

《月、お芋.》

 94歳の祖母と暮らし始めて三年。「行事」をずいぶんと大切にするようになった気がしています…

《香、心.》

 香りと記憶。その結びつきにはっとさせられること、皆さまもおありでしょうか。お出汁のいい…

《金平糖、ころころ.》

 「来年の目標」。  これを10月から練り始めるのが、この頃の慣例となっています。三ヶ月の…

《柿、絆.》

 ひんやりとした空気。それが、からっともしていて。すっかり秋だなと感じるのです。  わが家(転がり込んでいる祖母の家)には、柿の木があります。樹齢50年近くなので、わたしよりもすこしお姉さんで。  この夏。たわわに青い実をつけ始めた時には、たいそう嬉しくなりました。昨年は初めて実がならなかったのです。正確には、たった一粒だけ実をつけました。それでも、毎年秋になるとたくさんの柿を食べることが習慣になっていたし、祖母が庭に出ては豪快にぶちぶちと枝からもいでいたことが印象的だっ