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フランスの鬼才、ジャン・ミッシェル・ジャールとは?(レコードジャケットの楽しみ #11)

こんにちは、吉田です。
レコードジャケットを自宅の部屋に飾ってニンマリする連載の11回目です。
(連載のマガジンはこちら)

前回は連載10回目の特別編としてジャケットのみをお送りしましたが、今回は通常連載に戻り、Spotifyで聞いていただけるアルバムをお送りします。

今回はこの連載の常連のひとり、ジャン・ミッシェル・ジャールの三連発でお送りします。
ジャン・ミッシェル・ジャール(Jean-Michel Jarre)は、フランスが誇るシンセサイザーミュージシャンであり作曲家ですが、なんと1970年代(!)から活躍されています。

フランスは優れたEDMアーティストを数多く輩出していますが、その源流のひとつはジャンではないかと思っています。

まず、ジャン・ミッシェル・ジャールがどんな人か。
この「Les Chants Magnétiques(磁界)」というアルバムをご覧ください。

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どうですか?
ジャケット全面にドーンと顔半分が映っています。
この人がジャン・ミッシェル・ジャールですが、相当自分の顔に自信がないとこんなジャケットにできないですよね。

ここまで堂々とされると、逆によくここまでやったな、という感じです。

まあ、実際にメチャクチャかっこいいですし、連載第3回の「The Concerts in China」、でも書きましたが、今はだいぶ歳を取られているものの、これまたメチャクチャ渋くてカッコいいオヤジになっています。
ネットで検索すれば出てくるのでぜひ見てみてください。

さて、続いてのアルバムは「Équinoxe(軌跡)」です。

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ちょっとヘンというか、不気味な感じもしますね。

ジャンのアルバムジャケットは大きく2種類に分かれていて、ひとつはジャンの顔がドーンと載っているもの。もうひとつはイラストのジャケットで、この「Équinoxe」はイラストのジャケットの中でのお気に入りになります。

イラストのジャケットでは、第5回の「Rendez-Vous」のテイストのジャケットが多いのですが、その中でこの「Équinoxe」のジャケットは異質です。
ライナーノーツによれば「Equinoxe」とは「分点」の意味のようですが、このジャケットのイラストとはどんな関連があるのか、さっぱりわかりません。

見た限りだと、双眼鏡を持ったヒトがたくさん並んでいるのですが、その手前はステージのようにも見えます。
つまり、これはジャンのコンサートを見に来た観客で、ステージ上のジャンからみた観客ではないかと想像できます。
もしそうなら、ジャンの顔写真が載っているアルバムジャケットの、いわば対称となるジャケットになるかと考えています。(顔写真は周りから見たジャン、このジャケットはジャンから見た周り...ということですから)

さて、3枚目はジャンのアルバムジャケットの中でも異質なデザインになります。
「ZOOLOOK(ズールック)」というアルバムで、こちらになります。

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このジャケットデザインは、ジャンの写真とイラストを融合したものになっており、このパターンはこのアルバムだけです。
ジャケットデザインだけではなく、楽曲もすこし変わっていて、結構ジャンキーなものが多く楽しませてくれます。

実は、この「ZOOLOOK」のジャケットの裏も顔のアップです。
というか、今回ご紹介する3枚とも、ジャケットの裏が顔のアップになっています。(ちなみに第5回の「Rendez-Vous」の裏表紙も顔です)
3枚並べるとこんな感じです。

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どんだけ自分の顔が好きやねん...という感じですね。

ジャケットデザインの話ばかりになりましたが、それぞれのアルバムの楽曲についても簡単に触れておきましょう。

それぞれのアルバムの発表年は以下のようになります。
・Les Chants Magnétiques(磁界):1981年
・Équinoxe(軌跡):1978年
・ZOOLOOK(ズールック):1984年

双眼鏡を持つ多数の人のイラストの「Équinoxe(軌跡)」は、ジャンの代表作でありジャン節ともいえる独自のメロディーラインが生まれた1976年発表のアルバム「Oxygène(幻想惑星)」の次に発表されたアルバムで、ジャン節がより明確になりほぼ完成の域に到達しています。

続くアルバムが、ジャンの顔半分がドーンと載っている「Les Chants Magnétiques(磁界)」ですが、このアルバムは前作の「Équinoxe(軌跡)」に加えてスピード感というか疾走感が加わっており(その分ジャン節は若干薄れます)、ノリにのったジャンが「どうだ!」と言わんばかりです。(それが、このジャケットデザインの顔写真に表れています)

その次のアルバムが「ZOOLOOK(ズールック)」ですが(本当は途中で1枚作っていますが特殊な企画モノなので省きます)、このアルバムでジャンは過去の成功に疑問を持ったのか、新たな取り組みをしています。
このアルバムの評価はイマイチですが私は結構好きでして、特に3曲目のアルバムタイトルにもなっている「ZOOLOOK」はノリもよくて、のちのEDMにも通じるところがありジャンの才能を感じます。

今回の3枚、こんな感じで飾っています。

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ジャンが真ん中から左右に分かれて、ジャンの内面を双眼鏡を持った多数の観客がのぞいている...という構成にしました。

さて、フランスの生んだ鬼才、ジャン・ミッシェル・ジャールの三連発、いかがでしたでしょうか?

先にも書きましたが、フランスは優れたEDMアーティストをたくさん輩出しており、David GuettaやDJ Snakeをはじめ、オススメMVの連載でご紹介したJusticeYuksekもフランスのEDMアーティストです。
ジャンの存在は、そのフランスのEDMアーティストに少なからず影響を与えているのではないかと考えています。

フランスEDMの源流を遡って、フランスの鬼才、ジャン・ミッシェル・ジャールの楽曲を一度聴いてみてはいかがでしょうか。
Spotifyでももちろんありますので、お試しあれ!

では、また次回に。

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