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エンタメと観客の成熟した関係

ニューヨークで思い浮かべるものといえば、やっぱりブロードウェイ。
エンタメ好きとしては、絶対に行きたい場所。

見たいものはたくさんあったけど、英語が分からないから難しい話は理解できないだろうと判断し、ショーとしても華やかそうな「キンキーブーツ」を選んだ。来年春には終わってしまうようなので、最初で最後のチャンスだ。

まずは歴史を感じる建物に感動。

公演が始まると、“歌がうまい”のレベルが日本の何十段階も上なことに興奮。子役含め、ステージ上の全員がうますぎて見入ってしまう。
全曲シンディーローパーが書き下ろしというのも見たかった理由のひとつで、どの曲もすっと耳に入ってきて、すぐに耳に残る心地よさ。

「キンキーブーツ」を何度も見ている観客も多いようで、笑えるせりふの前にはくすくすと笑いがもれて、せりふが終わると新しい客も一緒に温かい笑いに包まれる(英語が分からない私は一緒に笑えなくて悔しかった)

キャストには長く同じ公演を続けているからこその貫禄と余裕があって、観客の煽り方も堂に入ったもの。キャスト揃ってのダンスでの、子役のおふざけダンスも微笑ましかった。

最後の曲では、観客が自然と立ち上がってのライブ状態。
そのテンションのままのスタンディングオベーションがとても自然で、礼儀的じゃなく熱がこもっていて。
みんなの興奮と喜びあふれた感情が直接心を直撃して涙が出た。

ここで笑っていいのかな。どのあたりで立ち上がったらいいのかな、そもそも立ち上がっていいのかな、と様子伺いをするわけでもなく。
笑いたかったら笑って、立ちたいと思ったら1人でも立つんだろう感情に素直な観客の姿に、エンタメと観客の成熟した関係を感じた。
そうだよ。素晴らしいエンタメに触れてこぼれた感情を、周りの空気やがんじがらめのマナーで押さえつけるなんて無粋よね。
大人の集まりだからこそ成り立つ自由が、そこにはあった。

演目はもちろん、そんな雰囲気にも酔いしれて、これがブロードウェイの魅力か!と興奮。
残念ながら一公演しか観られなかったけど、それはまた、ニューヨークに来る理由ができたということ。

最後は、初心者の観光客らしく。



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