◯◯ちゃん

煙草と珈琲、そして言葉たち。 眠れない夜のおともに。

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マガジン

  • エッセイ、のようなもの

    ○○ちゃん自身のことを綴ったおはなし。 コメント欄に『あとがき。』があります。

  • 短編小説

    短編小説をまとめています。 コメント欄に『あとがき。』があります。 よろしければそちらも併せて読んでみてください。 いただいたスキ・コメントは励みになっております! ありがとうございます!

最近の記事

私の持病についてのおはなし。

※一部センシティブな内容を含みます。 苦手な方はバックブラウザなど自衛をお願いいたします。 *** みなさんこんばんは、○○ちゃんです。 今回は私の持病についてのお話と、どう向き合い付き合ってきたかをお話できればと思います。 同じような疾患に悩まされている方や、苦しんでいる方、身近で見守ってくださっている方に届きますように。 *** 私の抱えている疾患は、適応障害という精神疾患です。 適応障害とは、ストレスによって気分の落ち込みや意欲の低下、不眠などの症状が現れる病気

    • 曇天とこしあん。

      なんの代わり映えもない毎日。 大層な夢を描くことができるほど大した人間じゃない。 ああ、退屈な人生だ。 今日も雲がまだらに流れる空を見つめて息を吐いた――。 猫と世界。 綺麗な家がある。 門扉のまわりには季節の植物が。 夜になれば暖かい明かりが灯り住人を迎え入れてくれる。 そんな家で私は暮らしていた。 いびつな家とは誰も想像がつかないであろうこの家で。 どれだけ綺麗に梱包したって、どれだけ丁寧にのし紙を張りつけたって、中身が空っぽじゃ商品として成り立たない。 小さい頃か

      • ココア座談会

        『どうぞ、こんな日には1杯のココアを。』のリレー小説を終えた2人で座談会を開いてみました。 曇戸晴維先生 (以下 曇) ◯◯ちゃん (以下 ◯) 『どうぞ、こんな日には1杯のココアを。』 前編 後編 まずはじめに軽く自己紹介をお願いします! ◯:はじめましての方ははじめまして! そうじゃない方はいつもお世話になっております、◯◯ちゃんです。 普段は小説と"エッセイ、のようなもの"を投稿しています。 眠れない夜のおともになるようなそんな作品が書けたらと活動しています

        • どうぞ、こんな日には1杯のココアを。

          ※こちらの作品は、曇戸晴維先生とのリレー小説です。 雨が降っている。 ここ最近降っていなかったからか、ここぞとばかりに派手な音を立てて降っている。 この様子だと桜は早々に散ってしまいそうだ。 夜中泣いていたのだろうか。 開きにくい目をどうにか少しこじ開けて、時間を確認した。 「まだ寝られるじゃん…」 アラームが鳴るまで2時間ほどあった。 どうしようか。 このまま起きても支度をしているうちに眠たくなってしまうのがオチだ。 でもせっかく早く目覚めたのなら、この荒れている部屋を

        私の持病についてのおはなし。

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        • エッセイ、のようなもの
          5本
        • 短編小説
          10本

        記事

          今日も308号室で、

          「重なり合ったところで、幸せでいられたらいいよね。私たち」 *** 月曜日。 *** 午前8時。 目が覚めた。 何も考えずとも勝手に洗面所へ向かってくれる身体。 顔を洗って髭を剃り、Yシャツに着替えた。 そっと気配を消して、寝室の扉を再び開くと穏やかに寝息を立てている妻の姿があった。 気配を消さずとも彼女が目覚めることはまずないのだが、自分が立てた物音で安寧の睡眠を妨害したくない。 今日もよく眠っている。 またそっと扉を閉じ、今度は向かいの扉を開ける。 かの有名な

          今日も308号室で、

          妹の卒業のおはなし。

          妹が高校を卒業した。 彼女のプライバシーが侵されない範囲で、姉として思うことを残しておきたいと思い、この場を借りて記していこうと思う。 まず、卒業おめでとう。 妹にとって学校に通うことは辛く苦しいものだった。 何度も彼女の相談に乗ったし、何度も彼女の涙を目にし、一緒に泣いてきた。 卒業できてよかった。 よくがんばったね。 苦しいながらも、彼女は立派に高等学校卒業という資格を手にしたのだ。 両親は、特に母は自分の子どものことだから仕方ないのかもしれないが、傍から見ていても

          妹の卒業のおはなし。

          2023年を振り返って。

          みなさんこんばんは、○○ちゃんです。 また新たな年を迎えようとしていますがいかがお過ごしでしょうか。 私事ではありますが、この場をお借りして今年1年を振り返ってみようと思います。 *** 今年も変化の多い1年でした。 仕事、人との繋がり、たくさん考えて少しずつ前進できた1年だったように思います。 仕事では任せてもらえることが増え、今まで以上に勉強が必要になりました。 任せてもらえることがうれしくて、必要以上に1人で抱え込んでしまったり、120%で走り続けた結果ガス欠を

          2023年を振り返って。

          通い妻と同棲彼女

          「俺、YouTuberになる」 結婚3年目、ある日急に夫がYouTuberになると言い出した――― 2人の結婚生活 生まれて32年、大体のことは要領を得て上手くやってきたと思う。 きっとこうなるから、今のうちにああしておこうなんて風に、予想を立てて行動してきた。 外れたことの方が少ない。 なのに、なのに。 これが青天の霹靂というやつか。 夫の祐二(ゆうじ)とは結婚して丸2年。今日から3年目に入る。 3年目の浮気くらい大目に見ろよ、なんて歌もあるが時代は令和だ。 浮

          通い妻と同棲彼女

          私が生まれたお家のおはなし。

          *** 日本の雪が降る地域の中の1つ。 そんなところの山奥も山奥で私は生まれた。 ここは母方の実家で、現在は祖父母が2人で暮らしている。 田んぼがあって、畑があって、季節折々の花が咲く。 時間の流れがとてもゆっくりな私の大切な第2の実家。 *** 母は私を身篭って早々に帰省していた。 当時、父は出張が多く、家にあまりいない人だったこともあって、私は幼少期をこのお家で過ごした。 記憶はあまりないけど、ここの空気に触れ、木々を見て過ごした時間は私にとってかけがえのな

          私が生まれたお家のおはなし。

          彼女になりたくない物語 -鈴蘭-

          ◎鈴蘭 科・属:キジカクシ科・スズラン属 英 名:Lily of the valley 花言葉:『再び幸せが訪れる』 *** 彼との出会いは、ふらっと立ち寄った大衆居酒屋。 ―私の世界にあなただけじゃ、私はだめな女になってしまう。 「鈴蘭って、俺がいなくても生きていけそうだよな」 よく聞く台詞。使い回された台詞。 あなたたちだってそうじゃない。 私じゃなくちゃいけない理由なんてないくせに。 雨が降っている。 くせっ毛の私にとって、雨の日は時間との戦いだ。 この日もうま

          彼女になりたくない物語 -鈴蘭-

          彼女になりたくない物語 -なのは-

          ◎菜の花 科・属:アブラナ科・アブラナ属 英 名:Turnip rape ・ Chinese colza 花言葉:『快活』『明るさ』 *** 彼との出会いはSNSのコミュニティ。 ―他にもたくさん人はいたけど、それでも好きになったのはあなただけなの。 コミュニティのメンバーが結婚することになった。 「何かプレゼントしよう」言い出しっぺは私だった。 最初は本当に思いついただけ。 結婚は人生の大きなイベントだ。 そんな一大事に私ができることがあるなら、と考えた。 何の気

          彼女になりたくない物語 -なのは-

          私は、コーヒーが飲めない。

          「ただいま…」 薄暗い玄関にか細い声が響く。 電気のスイッチへ手を伸ばした。 暖かい光が自分を称えてくれる。 「今日も社会の歯車よく頑張ったね!」とでも言っているのだろうか。 1日共に頑張ってくれたストッキングを脱ぎ捨て、洗濯カゴがあるであろう方面へ放り投げた。 ひとり暮らしを始めたばかりの頃は、このカゴが満杯になる前に洗濯機を回そうなんて思っていたっけ。 いつ雪崩が起きてもおかしくない洗濯物を薄目に見ながら、心の中で謝罪した。 ごめんよ、下の方に収まっている子たち。君たち

          私は、コーヒーが飲めない。

          私のお守りのおはなし。

          ※一部センシティブな内容を含みます。 苦手な方はバックブラウザを推奨します。 *** 2022年11月12日。 外は晴れていた。 今日は私が念願のお守りを手に入れる日。 *** 高校生の頃、反抗期と思春期がいっぺんにやってきて、自分が嫌いで子ども扱いしてくる大人が嫌いで、濁った水槽みたいなこの世界が大嫌いだった。 自分の周りの人を苦しめるものを吸い込んで、一緒に消え去ってしまいたいと本気で考えていた。 今思えば自傷行為の1つだったと思う。 ピアスを開けた。 病院

          私のお守りのおはなし。

          スニーカーはもう捨ててしまった。

          パソコンのファンの、キュイーーーーーーンという甲高い声で目が覚めた。 いつも隣で猫みたいに丸まって、時々鼻をすすりながら眠っている彼女の姿はなかった。 珍しい。俺が眠っている間に起きることなんてほとんどないのに。 どうせしばらくしたら勝手に寂しがって、俺の背中に額を擦りつけに来るだろう。 アイツの所在など確かめようともせず、携帯電話をいじり始めた。 俺の周りには、常に一定数、飼い犬のような女たちがいる。 首輪をつけた覚えもないのだが、気づけば近くにいて、呼べば尻尾を振っ

          スニーカーはもう捨ててしまった。

          僕は、コーヒーが飲めない。

          薄暗い部屋にあるのは、乱雑に置かれた漫画としわくちゃの布団、それから夕飯に食べたカップ焼きそばのゴミ。 傍らの携帯電話からは、特に親しくもない女の寝息が聞こえてくる。 この女は僕より歳上なのに、気まぐれでわがままで小さな女の子みたいだ。 気まぐれとわがままの違いってなんだっけ。 まあいいや。 夜中に突然電話をかけてきては、かすれた声で僕の名前を呼ぶ。 その声を聞く度に、胸の奥がきゅっと締めつけられる。 この感情なんだっけ。 まあいいや。 僕の生活は「まあいいや」が大半を占め

          僕は、コーヒーが飲めない。