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電話占いで、君の名は?~彼氏の下の名前が思い出せない編~


─わたしはいま見知らぬ男との相性を占われている…。


おもしろい仕事をした。

電話占いをしてもらってその口コミを書くという、とんでもなくわくわくドキドキあふれるお仕事。

若いときは占いってあんまり興味なかったんだけど、年を重ねるにつれ占いを気にするようになったのはなぜだろう。何かにすがりたがっているのか。まぁそんなわたしに今回の仕事はぴったりじゃないか。電話占いって何してくれるんだろう。あー!!!楽しみすぎるっっ。


━この時のわたしはあんな事態になるなんて思ってもなかった。


えー、人生には3つの坂があると言われています。

①上り坂

②下り坂

③まさか

※今回はそのまさかの体験記になります。


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今回占ってもらう内容は【転職】について。

テーマは恋愛系だと、片思いとか略奪、不倫とか色々ある中で決められるのだが、きっと恋愛についての口コミはあふれているだろうから、あえて転職というテーマを選ばせてもらった。

電話をかける。占い師につながる。サバサバした、推定年齢50才くらいの女性が出た。

さっそく転職について相談。

実際、いま副業ライターとして活動しているので、本業を辞めるタイミングをいつにしようか悩んでいた。何占いなのかは知らないが、占いではどう答えがでるのか気になるところだ。


わたし「いま副業でライターとして仕事をしているのですが、本業をやめるタイミングを悩んでいて…。」しおらしい声で話すわたし。


占い師「ということはフリーランスになるのね!税金大変よ!ぜいきん!わたしもねー占い師になる前は結構いい会社で働いていて、副業で旅行関係の仕事をしていて…うんぬんかんぬん。とりあえず税金よ、税金!


あれ?これ占いだよね?わたし占い師と電話してるんだよ…ね?さっきから終始、税金の話ししか聞かされてないけど、これじゃ口コミ書けんぞ。占いしてもらわにゃこっちも商売あがったりだ。よし、占いをしてもらうように仕向けよう。


わたし「あのー…占いとしてはわたしがフリーランスになることはどういう風に出てるのか気になります~。」


さあ占いを!占いをするんだ!占いをして答えを導いておくれ!


占い師「そうね~文章を書く仕事は向いてるみたいよ。とりあえず来年の2月までは本業も続けてみて。とりあえず税金高いからお金貯めて。


えーーーー!以上なの!?しかも何占いなのこれ…。生年月日すら聞かれなかったから生年月日での占いではないな。タロットカードをきる音も聞こえなかったからタロット占いの線も消えた。残るは…オーラか!?電話越しにオーラが見えたんか!?とりあえず税金だけは気を付ける、おけ!分かった!わたしのなにから書く仕事は向いていると判断したのか。電話占い七不思議、ここに誕生。


それにしてもクライアントさんから指定された時間は最低30分。なのにまだ15分しか経ってない…。どうしよう…。よし!即興で次のネタを投入するか!


わたし「そ、そういえば彼氏との相性も見て欲しかったんです!先生お願いします!」


占い師「では、彼氏さんの名前を教えてください。」


わたし「〇〇〇(名字)です。」


占い師「あ、いや、名字じゃなくて下の名前でお願いします。」


え、下の名前…?下の名前だよね…えーと。


やっばい、彼氏の下の名前が思い出せない…!!!


わたしと彼氏は元々仕事関係の付き合いだった為、付き合う前からずーっと彼のことは名字で呼んでいた。知り合ってから7年経つが、もう名字がベロに染み付いてしまい、付き合ってからも下の名前で呼んだこともないし、今さら呼ぶのも恥ずかしいので、ずっと名字にさん付けで呼んでいる。ウソみたいだけど本当の話で、わたしは呼んだことがない彼氏の下の名前を瞬間で思い出すことが出来なかった。


彼氏の下の名前…なんだっけ!!?!


占い師とわたしとの間に訪れる沈黙…。


(まずい…。このままだと、こいつ実は彼氏なんぞいないのに、かっこつけて妄想彼氏の話してきた痛い女って思われるかもしれない、え、どうしよ、彼氏の下の名前…思い出せ!!オモイダスンダ!!確か4文字だった気がする…そう4文字…!!!)


わたし「としあきです。」


占い師「としあきさんですね、分かりました。」


─嘘を、うそをついてしまいました。


嘘だけはつかないって人生の教訓にして生きてきたのに…。初めて話した占い師の前でこんなにも簡単に教訓をやぶり、嘘をついてしまった。


名前を聞かれた時に脳裏に浮かんだのは、なぜか唐沢寿明でした。すみません、勝手に名前借りました…。

これほどまでに唐沢寿明に対して申し訳ない気持ちを持ったのは生まれて初めてのことだった。


そしてここからわたしと、見知らぬ彼氏「としあき」の相性占いが始まる…。

占いが始まりしばらくたった時突然、彼氏の下の名前を思い出してしまう。

いまさら彼氏の本当の名を明かすわけにもいかないし、わたしは見知らぬ彼氏としあきとの相性を延々と聞かなければいかない。


心ここに在らずだが、偽彼氏「としあき」との占いが進む中で、ふと浮かぶ疑問。


(そういえばわたし、彼氏のこといつまで名字で呼ぶんだろう。彼氏にもそれ聞かれたな。でもいまさら下の名前で呼ぶの恥ずかしい…。)


みなさん、彼氏のことを付き合う前とは違う呼び方で呼ぶタイミングを、わたしに教えてください。だってずっと名字で呼んできたんだよ。それをいまさら下の名前でなんて、どの面下げて呼べばいいの!?今日から名前で呼ぶね(ハート)って宣言するの?そんなん恥ずかしすぎる。わたしの中の九州男子が黙っちゃいない。


いい年してこんなことで悩む日が来るなんて、中学時代のわたしは思いもしなかっただろう。大人になったらめちゃくちゃカッコイイ色気あふれる女性になってるはずって中学生のわたしは、想像していた。なのに、彼氏の呼び方でこんなにも悩む大人になっているなんて。見知らぬ占い師にうそまでついて…。タイムマシーンがあればいますぐ中学時代のわたしの所に行き、大人になった自分に期待するなと伝えてあげたい。あなたが想像していた未来にわたしはいません、と。


そんなこんなで占いは終了。


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まず、占い師さん本当にごめんなさい。

今度は本当の彼氏の名前で占ってもらうので、今回のことはどうか大目にみてください。


ちなみにわたしと偽彼氏「としあき」の相性ですが、としあきは嫉妬深い性格なのできちんと会う時間を確保してあげて、不安になりやすいので言葉で愛情表現をすることが大切。そしてたまに手紙を書くと喜んでくれるそうです。


書きます、ええ書きますとも。手紙なんていくらでも書きますよ。


さっそく唐沢寿明に手紙を書くための便せんを、明日すぐ買いに行こう。






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