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1dayタイムアタック!思い出CGグランプリに挑戦した①

CGコンテストに挑戦しました。
コンテストの内容は、6つのお題の中から1つを選びそれを感じさせつつ
「あなたの思い出」を表現する、というものでした。
それに加え特に面白かったのが、
14時にお題が発表されて、次の日の13時が締め切り!という
超短期で超瞬発力なコンテストという点でした。
作り始めた次の日にはだれかが優勝しているというスピード感がとても良いなと思いました。
でも本当は参加するつもりはありませんでした。

なぜ参加しようと思った?

コンペの存在は数日前からXで見て知ってはいたのですが、
概要から感じる雰囲気的に、
フォトリアルな室内などを得意とする若いアーティスト達が大勢出る系かなと思いまったく食指が動きませんでした。
でも審査員の面々を拝見すると、
Blenderのアドオンなどをよく作られているフジモトタカシさん、
ここ数年で界隈で一番勢いがある感じの涌井嶺さん、
そして日本でCGをやっていて知らない人はいないであろう北田栄二さん、
今回まで存じ上げなかったのですが、とても素敵な作品をインスタにアップされていた德永なおさん、
ということで、なんかおもしろそう~な組み合わせでちょっと良いかもと思いました。

日本でCGをやっている方々はたくさんいらっしゃいますが、
畑もたくさんあって、CGを生業にしているといっても結構違うんですよね。
なので審査員のリストを拝見して、この人が審査員ということはこのコンテストのコンセプト(ノリ)はこっち系では?と勝手に推測してしまうんですが、それが今回はとても良いバランスな気がして、
審査員をキャスティングした人、良い仕事してますわ~…と思いました。
あまり偏らないし質も高い雰囲気があって良いなと。
ただまだこの段階では参加しよう!とは思っていませんでした。

まず僕は、モデリングという作業が好きではないしやりたくないタイプなんですね。
なのでこっち系はあまり積極的にいきたいとは思ってないんですね。
で、お題発表の当日に後輩くんが「お題発表されましたねー」というので確認してみたら、【楽器・乗り物・文房具・おもちゃ・家電・お菓子】という事でした。
直観で、あーお菓子って良いかもな…てかお菓子以外はもう無理だし絶対やりたくないなと。
なぜならそれらを感じさせるにはすべてそれなりにモデリングが必要だなと思ったので。
ただお菓子は…ものによってはいけるかも…アポロとか良いかもなあ…
とアイデアも少し浮かんできてしまいました。
このお題を考えた人も素晴らしい仕事してますね~と思いましたw
お菓子がなかったら絶対参加してませんでした。
ということで、

・1日で作って決着!という好きな速度感
・審査員の人選がよさげ
・思い出とお菓子というイケるかもしれないテーマ

これで参加する事を決意しました。
この時金曜日の夕方。
その日の仕事が終わってから取り掛かります。
でも明日の土曜日は朝から娘ちゃんの幼稚園で運動会です。
コンテストは土曜日の13時がデッドですが、
土曜日はもう作業できないので、金曜日中に完成させる事になります。

これぐらいの速度感はとても好きで、
普段の短いループ映像などもこのような感じで制作しているので絶対形にはできるなと思いました。
というか形にできるものを作る。
やるからにはもちろん優勝を狙う!と決意しました。



19:00 開始

仕事が終わった19時、まずコピー用紙とボールペンを準備してアイデアを考えます。
ここは一番大事ですし、急がば回れでちゃんと時間を使います。
良くないゴール、アイデアを頑張って作ったって絶対勝てないし、
見切り発車すると作る過程で、技術的ではない演出に関する部分で立ち止まってしまう場面が出てくるので良くないです。
ここでちゃんと考えて煮詰めて進むことでそのような変な止まり方をしないという事を知っているので時間をかけます。
これは確実に、短い時間で日々ループ映像を制作しているからこその考えだと思います。
時間がないからと見切り発車すると経験上結局余計に時間かかります。



夜更かしした次の日はとても弱い

思い出×お菓子でどういったものを作るか考えますが、まず制限時間を確認しました。
本当の最悪は、運動会開始の8時までに完成すれば良いのですが、オールで運動会は絶対無理です。
ここ数年少し夜更かししただけでも次の日のダメージがすごい事になってしまうので、最悪でも夜中の1時までには完成させようと思いました。
そうなるととてつもないアイデアを思いついたとて時間的に実現不可能なので意味ないわけですね。

例えば、子供のころお菓子の家とか好きだったかもな~と思いました。
でも僕が想像して、僕以外の人が「素敵なお菓子の家だ!」と認識するようなものをアウトプットするには、自分のモデリングの速度を考えると絶対実現不可能だとわかります。
なのでそのままストレートにお菓子の家を登場させるのではなく、
それを感じさせる演出、アイデアが必要になってきますよね。
情報を削りながらも意味が伝わり、かつ魅力的に表現できるアイデアが思い浮かべば解決ですが、
そこはたぶん本当に思い出や思い入れなどが影響するのかなと思います。
特にお菓子の家にそこまで思い出もなく、なにもアイデアが出てきませんでした。
とりあえずお菓子の家案は却下して、別のモチーフを探ることにしました。



こだわり

僕は普段趣味で短い映像をよく作っていますが、
いつも「ごついアイデア<成立したビジュアル」を意識しています。
まず僕は何日も同じ作品を作り続ける事が苦手というか、
その日の思い出的な感じでアウトプットしている部分があります。
なので、なにかを作ろうと考えたときに今日の時間内に達成できそうか?という点をかなり重要視しています。
その制限がぶっとんだアイデアが出ない要因の一つかもしれません。
大変そうなものこそ、実現したときにすごいものになりそうだとは思いますが、今の興味はそこにありません。
それに加えて、ショボいダサい画は絶対出したくない。
ネタが弱かったとしても、ルック的に自分的ハードルは超えたアウトプットをする事にはこだわっています。
こういった事を諸々考え、以下の点を意識してまたネタを考えました。

・壮大なネタは無理だし要らない
・短時間である程度のルックが担保できる慣れている表現



懐かしい気持ちになり少し泣く

最初にまず浮かんだのはアポロの形状って好きだし作れそうだなという事。
可愛いし、なんか良いなと。
そう考えると、幼少期あれをテーブルの上で集合させて遊んでなかったか?と思い出してきました。
あれを並べて☆とか作ってような気がする…
ていうかこの前の日曜日家族でクッキー作ってたら、
子供たちが面白い形状のクッキーを作ったり、それらを並べたりしてたな…
幼き頃のまめたろうも同じ事やってましたわと思ってなんかエモいというかセンチというかそのような気持ちになりました。
思い入れもあるし、少し考えれば物語性も出せるかなと思いこの感じでいこうと決めました。


ちょっとふくらます

クッキーとアポロは登場させようと決めました。
あとは、これらでどんな意味・メッセージ・物語を表現したいのか?
この辺を考えました。
当時の事を思い出すと、並べて謎の形状を作ったり、星形のクッキーでそのまま星空を表現したり、何かと何かが向かい合って戦っているような構図を作ったり、
要するに「とても自由にレイアウトして好きな世界観を構築していた」という部分が今回大事にしたいキーかなと思いました。
あとはこれを軸として具体性を出していきます。


具体的にする

なにかが向かい合って戦いそうな構図ってまず男の子感あっていいなーと思いました(安易)
クッキーとアポロを向かい合わせる事は決めました。
でも星形のクッキーとアポロが向き合っていても、戦いそうな構図である事は僕しかたぶんわかりません。
ただクッキーとアポロが同じテーブル上に居る画になると思ったので、
バトる感じがわかりやすいモチーフを取り入れたいと思いました。
恐竜が良いなと思いました。まず普通に好きだったし、男の子感あるし、かわいくてキャッチーだし。
アポロ側は今思えばなにかの形状をみんなで形成しているようなものがよかったかなーと思いますが、その時はちょっと狙いすぎかもと思ってただ乱雑に集まってる様子にしようと思いました。

これで恐竜とアポロ軍団が向き合うというのは決まりました。
恐竜のシルエットは、どんな形だとみんなが瞬間的に恐竜であると認識できるか?という部分を意識して選定した結果、ステゴサウルスのような背中に特徴のあるものにしました。

そしてマーブルチョコを並べて謎の形状を作っていた記憶から、
恐竜の周りに並べて装飾する事にしました。
星形のクッキーはそのまま星空を演出するため、画面上部に配置する事に。
あとは、「自由に世界観を構築していた」という部分を多少強調したくてなんかないかなーと考えて、
お菓子ではない物体を同じ環境で扱っていたら自由だな~と思い、
紙にえんぴつと赤ペンで書いた炎の絵を置こうと思いました。
これによって、別の物体も交えるという、表現に少し自由感出ますし、
画的にもちょっと異物感あってその引っ掛かりが面白いかもと思ったり、
その炎を恐竜がふく感じにすれば、怪獣になってそこも自由度増すなーと思いました。
大人の都合で色々考えてるようですが、ベースは当時の僕がやっていた事を思い返してちょっと演出しているイメージです。
これで、登場するものは基本決定しました。

世界観を構築する遊びがテーマなので、レイアウトはどちらかに偏りすぎず全体を映しながらも、
多少恐竜が主人公で、アポロ軍団に向かっていく感じで見えるようなイメージにしました。

ゴールはこれで決まりました。
あとはCGで実際に作っていくだけです。
ここまででおそらく開始から1時間たった20時ぐらいだったと思います。
残りは4時間です!

つづく

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