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私の欲望三国志(夏野菜、白桃泡盛)|酒と肴 その六十四

202x年。圧倒的な影響力で私の全土を支配していた王朝、セイ*が衰えをみせると、その間隙を縫うようにキンケンショクの三国が興り、覇権を争うようになった。

*セイ王朝:通称セイチョウ。
成立時期により「第一次セイ朝(前セイ)」と「第二次セイ朝(後セイ)」に分かれる。数ある欲求の中でも最大勢力(性力)を誇る。後セイは約30年の長期に渡って私を支配してきたが、この頃は衰えをみせ、その影響か、記憶力と集中力の低下にも悩まされている。(豆千:後年記コウネンキより)

こうして私の体を舞台にした欲望の三つ巴、蓄財と健康、酒食の争いが幕を開けたのである。

「金」の国を支配するのは、治世の能臣、乱世の奸雄とも評される傑物。老後の資金を確保すべく、多方面で領土拡大を繰り広げている。
先年、投資信託のレッドオーシャン、赤海の戦いで大火傷を負ったが、セイの皇帝を擁しており、その野望は留まることを知らない。

「健」の国を治めるのは、酒癖がちょっとアレな三代目。配下の武将も輩系が多く、妹も武装して嫁入りするティーンズロード。
親族が早逝だったので健康に気を配るも、虎狩りで鍛えるあたり、とんだ荒くれ者である。

そして「食」の国の中心は、桃畑で乾杯するご機嫌な義兄弟トリオ。長兄は麦酒を愛する大人物、次兄は日本酒で顔を赤くした美髯びぜんの持ち主で、弟は武勇の誉れ高き泡盛好き。
「我ら好みの酒は違えども、酔う時は同じ日、同じ時間を願わん」
とうそぶくあたり、かなりのアルコール中心主義者と推測される。

てな具合に、活力の衰えに伴って、抑えられていた他の欲求が台頭してきたのです。
まあ、年齢的に仕方ないのでしょうね。ジタバタしても始まらないので、名残の夏野菜を肴に呑んで、体調を整えることにします。

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まずは素揚げにしたししとうに塩を振り、ビールで乾杯。
跳ねる油で火傷をしても、よく冷えた缶をあてれば無問題。辛さと青くささの先にある、枝豆にも似た旨味がいいですね。

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続いては丸ナス、万願寺唐辛子、野菜室の奥で萎れていた人参も揚げて、麺つゆに漬け込みます。冷蔵庫でよく冷やして、つまみ&素麺のお供に。
今回、温泉卵と絡めてみましたが、なかなか乙でした。

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2本目のビールが空いたので、泡盛のソーダ割りに切り替えます。近所の酒屋で売れ残っていた泡盛、詰口日が04年10月05日でしたので、18年ものの古酒クースです。
そこに、前夜、剥いたけれど食べきれずに凍らせた川中島白桃をダイブすれば、ほんのり香る白桃泡盛の出来上がり。最後はグラスの中で柔らかくなった桃をデザートにして、移りゆく季節を堪能しました。(正直、古酒と桃の組合せはイマイチでしたが、これは「気分を味わうもの」ということで)

さて、中国では不老長寿の果物とされる桃。積極的に食べていれば、私の不調にも効くかも知れません。何かしら効果がありましたら、こちらでお知らせしたいと思います。


メニューと材料
素揚げ(ししとう)
揚げびたし(丸ナス、万願寺唐辛子、にんじん、生姜、麺つゆ)
白桃泡盛(川中島白桃、泡盛)

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