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「ミラクルください!」

突然ですが、まずはこちらをお読みください。

アメリカのインディアナ州のとある町に小さな薬屋を営んでいた男性がいました。ある日、お店に小さな女の子がやってきて、彼にこういいました。

「ミラクルください!」

彼は女の子にこう尋ねました。
「お嬢ちゃん、そんな薬はないよ。それはどんな薬なの?」

女の子は答えました。
「ミラクルっていう薬があればママの病気が治るって、お医者さんが言ってたの」。。。
この女の子は、お母さんが余命3か月の末期がんだったそうです。病院の医師はがんを告知しなくてはならず、お母さんの傍にいた女の子に気を使って、医師は「あなたの病気はミラクルが起これば治るかもしれません。」と言いました。

この出来事があってから、この医師は薬を”売る”仕事を辞め、「この世から不治の病をなくしたい」との想いで、薬を”つくる”仕事に転身しました。

「家族が病で亡くなることのない世界」を目指し、薬をつくるメーカーとして、現在では世界で売上高9位の「イーライリリー・アンド・カンパニー」という会社になりました。
出典「ドラッカー5つの質問」 第1の質問 われわれのミッションは何か/山下淳一郎:著

このエピソードは「ドラッカー5つの質問」という本の中で紹介されている事例です。この女の子のどうにかお母さんを助けたいという切実な願いが、医師の心を動かし、今では世界的な大企業にまでなった素晴らしいエピソードですよね。僕らはこの本を元に吉村先生に「経営理念づくり」を指導していただくことになります。

この本、何がいいって自分たちの経営理念、ミッション、ビジョンを考えるにあたってとても言葉も分かりやすく、事例も多く読みやすいので、頭に入ってきやすいところ。
この手の本をあまり読んでこなかった僕としては大変重宝しました。

僕らの新たな道づくりに欠かせない一冊となった名著「ドラッカー5つの質問」

吉村先生からは常々、『会社経営には社長の「ビジョン」がとても重要です。大きなビジョンを描き、示すのが社長の仕事ですよ。』と教わってきました。

繰り返しになりますが、僕個人だけでなく、「僕ら」としての想いにしなくてはなりません。
「こういう世界をなんとしても作りたいんだ!」という想いをよ〜く話し合い、正確な言葉に落とし込む作業をしていきました。

この本の中で「経営理念」と「ミッション」と「ビジョン」の違いについてこう書かれています。

●経営理念とは「わが社の社会に対する根本的な考え」を言い表したもの
●ミッション(使命)とは「わが社が社会で実現したいこと」を言い表したもの
●ビジョンは「わが社のミッションが実現した時の状態」を言い表したもの
出典「ドラッカー5つの質問」 第1の質問 われわれのミッションは何か/山下淳一郎:著

経営理念は想いであり、ミッションとは行動であり、ビジョンとは結果のこと。
よって、イーライリリー社は「この世から不治の病をなくしたい」という想いが「経営理念」で、「万病を治す薬をつくる」という行動がミッション、「家族が病で亡くなることのない世界」という結果がビジョンになります。

僕たち丸金は同様に、全員の共通の想いをもとに、自分たちが望む社会を描き、自分たちだからできる仕事をしなくては、ただ売上を追いかけるだけになってしまうことを恐れました。

すでにディスカウント思考に陥っていた多くの豆腐屋さんとの商売は、大豆の相場に囚われ、いかに他社よりも安くて良い大豆を提供できるかが大豆屋の仕事であり、常にその競争にさらされている状態でした。

「囚われる」。
読んで字のごとしですが、人という字が囲われて、逃げ場をなくしてしまっています。そんなの絶対に嫌です。
しかし、この時まで業界の常識にずっと囚われていた僕たちは、ここから脱出せんと、常にもがき続けていた気がします。


いつかその囲いから抜け出し、自分たちの想いの詰まった事業にしていかなければならない。囚われの身から、もっと自由な発想で羽ばたかなくてはならない。自分たちの力でその壁を打ち壊す力が必要でした。

そうして僕たちは吉村先生とドラッカー先生に導かれながら、今までの良かったこと、辛かったこと、もっと本当はこうしたいんだという本音等、あらゆる事の全てを吐き出し、ついに株式会社丸金としての想いののった「経営理念」が完成したのでした。

つづく

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