短編小説「占い師・蛇増子屋珠子の迷推理」
「なるほど、いわゆる密室殺人ですね」
ベッドの上に放置された首なし死体と豪華な調度品が置かれた部屋を交互に見回しながら、私は人差し指をピンと立てる。
鍵のかかった上にチェーンロックも外れていなかったドア、さらにチェーンには、少し離れた位置にある大型のキャリーバッグに結ばれた防犯ブザーのピンまで、張り詰めた形でワイヤーが括られていた。
ホテルの地上18階、窓はかろうじて成人女性が頭を出せるか否かの幅しか開かない。エアコンと天井はぴっちりとくっついて開けられた形跡はない。壁も血