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デッポコ書きました(短編小説など)

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短編小説とかです。
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短編小説「たこやきのない世界」

「友達と仲良くしましょう」 「将来の夢を持ちましょう」 「素敵な恋人を作りましょう」 「…

アメフラシ症候群

9月20日未明、ひとりの囚人の死刑が執行された。 死刑囚631号 本名■■■■ (※テロリ…

共食魚骨・断編集「魚の骨は猫でも食べない」

―1―【オメラスの地下牢】 廃墟は嫌いだ、時間が止まってるから…… 廃墟は嫌いだ、世界に…

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死者に花束を、生者には銀の杭を

「この世で最も偉大なものは神、あるいは人類の頭脳であるのは疑うべき点は無いが、ではこの世…

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鬼が笑う

かつてこの国には鬼と呼ばれる大悪たちが存在した。 しかし時代の流れと共に、鬼はかつての地…

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アンダードッグ&プッシーキャット

世の中に対して言いたいことなんて無いけど、ひとつだけ言わせてもらうとするならば、バンド活…

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竜と六畳間

「起きて半畳、寝て一畳、だけども商売は繁盛していたい!」 そう語ったのは家具職人の祖父で、金があるならどんどこ贅沢をするべきだと反論したのは飲んだくれで博打好きな父だった。 私はどちらの言い分もまあ確かにと飲み込めるところもあるし、でも生涯というものは針の上に乗せただけの板切れのようなもので、いつどうなるかわからないのだから、なんて考えると祖父の言い分に頭の中の天秤が傾くし、どうせ没落するなら金のある内に味わっておこうとも考えたりしてしまう。 「マリネッリ君、はやく進路希望を

酒とマサカリ ~ Bar&Hatchetation ~

1911年6月9日、アメリカ合衆国アーカンソー州ユリーカ・スプリングズ公園。 その日、ひ…

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小説「会いたい喋りたい捕食したい」

毎朝同じように鏡の前で顔を洗い、口に水を含んでぶくぶくと液体を流動させて吐き出し、歯を磨…

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家出少女・オブ・ザ・デッド

夜の町を歩くのは様々だ。 仕事帰りの人、勤務中の人、部活終わりの学生、今から塾に通う学生…

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いつかの夏休みの宿題、或いは『拝啓 カツサンドマスタードソース様へ』

夏休みの宿題は夏休みの内に済ませておいた方がいい。 それを口癖のようにしつこく語ってくれ…

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お部屋を片付けてたらなんか出てきた

おはようございます。デッポコちゃんです。 最近体調がカスなので、小説書かなきゃと思いつつ…

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短編小説「ふしぎな神様とチョコレートトッピングましましワッフル」

山の天気は気まぐれだ。 今朝は雲ひとつないくらい晴れていたのに、昼を待たずに爪の先くらい…

短編小説「ランタンの灯」

その日は、冬にはまだ早い季節にしては朝から凍えるような寒さだった。空を分厚い雲が覆い、早とちりな雪を降らせてくる。 最初こそ物珍しさで家族みんなで空を眺めていたが、雪は次第に多く大きくなり、やがて吹雪となり、窓の外を真っ白な銀世界へと変えた。銀世界は翌日には空と大地を分断する巨大な蓋となり、3階の窓から見下ろす世界はなにもかも押し潰されたかのようだった。 雪は残酷にもすべてを奪いながら手を休めることなく、飢えと寒さと雪に支配された人類は、新天地を求めて故郷を捨てて、誇りを捨