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花ニ嵐ノタトエモアルゾ

サヨナラダケガ人生ダ、「勧酒」井伏鱒二、大好きな訳詞です。

離婚を迷う人は多いと思います。
私は離婚を経験しました。その経験を文字にすることで、同じく離婚を考える人の後押しやストップになれば良いと思い、この記事を書いています。
おおむね女性向けですが、良ければ男性も目を通してみてください。女性が何に限界を感じて行動を起こすのかの気づきになりそうです。
もちろん離婚を考えていなくても、記事が目に止まった人は少しだけお付き合いください。後半が私の経験です、7220文字!長いかなぁ。

1)結婚生活における幸せの定義

二人は幸せに暮らしました、おしまい。
不思議ですよね、物語は結婚後の二人のことは「幸せ」の一言で説明を終わらせてしまう。
実際に結婚をすると「幸せ=穏やかな暮らし」ではないことはわかります。だって二人分の人生の問題が降りかかってくるんですもの、問題は目白押しです。家族が一人増えれば三人分。ご親族と関係の深い人同士が結婚をするなら、当人+ご親族分の問題をみんなで解決していくことになる。
なので私は、物語で言う「幸せ」とは「固い協力関係」だと思います。あなたの問題を一緒に解決します、ということ。
「幸せに暮らしました、おしまい」で物語が終わってしまえるのは、二人はいつまでもお互いの問題を一緒に解決する姿勢を崩しませんでした、良かったね。という意味です。

だからね、問題を見て見ぬふりをする相手と幸せになることはできません。

この文章は、過去の私の経験を記録するものであると同時に、今この段階で離婚に迷っている人の天秤を、一方向へ揺らす手助けになればと思って書いています。
途中から有料記事に変わってしまいますが、そこはごめんなさい、私も自分が行うことに対しての価値を知りたいのです、これは求められている考えなのかそうではないのか。
少なくとも離婚を決意したい人は、無料部分だけで充分行き先を予見できると思います。離婚したくない人は、もう少しだけ深掘りして読んでみてください。


2)味方を探す

離婚したいって話をすると、大体の人が「良く考えてみたら?」と苦い顔をします。
身内ほどそれは顕著で、離婚を考え出した方=一緒にいる我慢を放棄しようとした方が短慮と見なされる。
身内が否定的な理由は単純で、結婚生活では誰もが大なり小なり望まぬ妥協をするのが一般的だからです。果たして、世に一度も離婚を夢想しない夫婦がいるでしょうか、いないのです、それで考え直せと言う。気持ちが切り替わればあっさり離婚を諦めることを、自分の経験としてみんな知っています。

加えて身内は、あなた自身のわがままさも知っている。
勘違いしてはいけませんよ、身内は相手のわがままさは知りません。あなたのわがままな部分は、付き合いの深さによって知っているのです。
身内は最初からあなたに対して厳しい、パートナーには甘めの評価です。

なので、離婚を考えている人に私が最初に伝えたいこと。
相談は身内にしてはいけません。信用のおける友達や、プライベートを話せる仕事仲間にしてください。
物事をあなたと同じ立ち位置で見てくれる人です。けれども、あなたの人生には責任のない相手が良いと思います。そういう人は、良くも悪くも遠慮のない意見を聞かせてくれるでしょう。年齢は近い相手の方が、ご自身の価値感とずれが少ないかもしれません。
相談する相手は少なくとも二人以上です。できればもっと。話を聞いてくれる人全員に話してみて欲しいです。

ただですら迷っているのに、意見がいくつも出ると更に迷うと思いますか?
違います。誰が相談相手でも、どんな意見を突きつけられようとも、最終的に「私が」こうするという主張ができなければ、離婚は無理です。
友達や仲間に話す行為で練習してください。自分を強く主張するためにも、練習段階であなたの理解者を手に入れてほしいのです。

あなたは身内やパートナー以外にも味方を作ることができます。
まずその現実を知ってください。
味方は二人以上欲しいです。
離婚届けに二人分他者の署名がいるからね!というのは半分冗談ですが、でもまぁいざとなった時に書面に誰の署名をもらうか悩むよりは、応援ありがと!記念に名前書いて!くらいのノリで頼めた方が気楽だと思いますよ。


3)自分一人で立つための準備

さて、離婚が決定したならやることはひとつです。
自分の居場所を新しく作ってください。
これ、難しそうに聞こえますが、離婚するよりずっと簡単です。少なくとも戸籍や本籍は新しく作れます。本籍なんか本当に自由です。やりたい人は富士山のてっぺんでも登録できるでしょう。でも戸籍謄本など取り寄せの条件が難しい書類があることを考えると、あまり縁のない土地に本籍を置くのはおすすめしません。
生活の土台を考えてください。できるだけ安定したものを基盤に据えましょう。
その人がおかれている環境によって必要なものが変わってきます。家なのか仕事なのか資金なのか。全部を一度に揃えようとしたら失敗します。ひとつずつ揃えていきましょう。一人で全部やるのではなく、人にも頼りましょう。離婚が決定したあとこそ身内にも甘えてください。仕方がないなぁで済む相手には済ませてもらってください。

まずは一人で立つところまで。
助けを頼んで当たり前です。最初から一人で全部できるわけありません、だってそれまで曲がりなりにも二人だったんだもの。
認めたくないかもしれませんが、あなたは確かにパートナーがいることで守られていた部分があったのです。私たちが生きるこの世界は、複数人で問題の解決にあたる方が有利なのです。
でもあなたは一人で立つことを選びました。
立てたら歩けます。なので、本当に頑張らなければならないのはここです。一人で立つことにまず慣れてください。

一人なので、あなたが持ってきた荷物はあなたが持たなければなりません。
旅立ちには、できるなら一番身軽な状態を私はすすめたい。けど、そういうわけにもいかない人がいることは想像できます。その場合は、パートナーだった人にも、人としての協力を頼んでくださいね。また資金も貰える人は貰ってください。貰わなかった人は貰わなかったことを誇りに自由を謳歌してください。
苦労しても結果的に一人で立てたなら、あなたの選択は正しかったのです。
旅人は新たな町を目指して歩き出しました、めでたしめでたし!


4)問題はどこですか

さて、ここから話は遡ります。
離婚することは正しいのかそうではないのか。迷っているあなたのところまで、もう一度戻るんです。

今度は私の経験を聞いてください。
私は過去、離婚を決意しました。その段階では決して間違っていなかったと思っています。けれども離婚を経験したことによって、もうどんな相手とも結婚はしないのではないかと思ったし、現在進行形で、結婚で形が完成するような関係が怖いです。
理由は、結婚生活が破綻したのは、私も悪かったと気づいたからです。
わかりやすい離婚の非は相手にありました。でも私も悪かった。

最初に書きました。
問題を見て見ぬふりをする相手と幸せになることはできません。
相手がそうだったから私は絶望したのですが、私もそうだったから、手の施しようがなくなるまで問題が育ってしまったのだと思うのです。

私は23歳の誕生日直前に結婚しました。
相手は、私が新卒で就職した会社の、直接の上司にあたる人で、6歳年上の男性でした。
今振り返ってみても短慮の極みだと思うんですが、出会って3ヶ月程度で結婚してます。
23歳の私?、どう考えても社会経験は足りていないし、人との付き合い方だって学生くささが抜けていない時期ですよ。

それでも結婚してしまったので仕方ありません。
結婚後にいろんな現実が見えてきて、一年後くらいには離婚したいと友人相手に口走るようになるし、親にもそういう話をして馬鹿扱いされます。
しかし、間もなくパートナーが社内監査の仕事についたことで、平日は出張状態になりました。約4~5年に渡り、お互いに近づきすぎない距離感を学び、猫も飼い始めて共通の話題ができ、関係がゆっくりと安定していったのです。

安定はしましたが、不安材料は次第に増えていきました。
私視点で見る、一番の問題は、彼の飲酒習慣でした。

彼は、私と出会う以前から、飲酒で急性膵炎を繰り返していました。
彼にとって膵炎は痛むけれどすぐに治る病気でした。大体2~3年に一回の頻度で入院し、一週間程度で退院を果たすのがパターンです。

彼は油断していましたが、私もこの病気を深く考えませんでした。
彼の健康面よりも、入院のたびに仕事を休んで立場を悪くすることを心配していました。結果的に彼は転職を繰り返すことになるので、私の心配も的外れではなかったかもしれません。

彼は一旦酒量を控えたりはするものの、しばらくすると元の酒量に戻してしまう。
年齢と共にアルコールに弱くなり、悪酔いしているように見える時期もありました。玄関をトイレと間違って用を足してしまうくらいだったので、私は本当にお酒を飲むのをやめてほしかったです。

私自身、彼には日常的に酒量を控えるよう言っていたつもりでした。今度同じ病気にかかったら離婚しようという話も三度しています。三度離婚を思いとどまって彼を甘やかした私も悪かったけど、本当にまったく言葉が伝わっていなかったのだ、ということは、あとになって知りました。


5)膵炎という病気

一体何度彼は急性膵炎を繰り返したか。正確な数は覚えていませんが、最終的に今から10年ほど前、私が34歳くらいの頃、彼は重傷急性膵炎という、国からも難病指定を受けている病気にかかりました。

約半年間、彼は入院し、絶食状態にありました。
意識も混濁し、臓器に水が溜まり、呼吸も上手くできず、私は医師から覚悟してくださいという言葉を複数回聞きました。

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