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読書「ISSUE DRIVEN③」~絵コンテづくりが効率性を高める~

新人の頃は上司から振られた仕事に対して成果を出すことに努めてきました。最近、この仕事ってホントにやるべきこと?と自問することが増えてきました。そんななか、ネットニュースで紹介されていたのが安宅和人さんの本書となります。安宅さんはシン・ニホンを書かれた方であり、最近ではコロナ関連の討論会などでも発言されており注目されております。

※以下、本書に書かれていることに関して私が学んだと思う内容を抜粋しております。感想を「終わりに」に書きます。

・絵コンテづくりのフレームワーク

イシューとストーリーラインづくりが終わったら分析イメージを作っていきます。この分析イメージづくりでは絵コンテを作っていくのが効果的です。絵コンテは以下の5つから成り立ちます。
・サブイシュー(ストーリーライン上の仮説)
・分析イメージ(サブイシューを結論づけるために必要な分析)
・分析手法、情報源
・担当者
・締切り
分析イメージを設計するために必要なことは、どのような分析結果が欲しいのかということを意識することです。

・絵コンテづくりの第一歩は分析軸の整理から

絵コンテづくりは始めに分析の軸を整理していく必要があります。分析とは対象を比較することであり、結論を出すための対象とその比較軸を見極めることが重要です。
比較における分析手法は以下の3種類しかありません。
比較:何らかの共通軸で2つ以上のものを比べること
構成:全体と対象部を比べること
変化:同じものを時間軸上で比べること
分析手法は上記の3つですが、表現手法はさまざまです。コラム、バー、分布図、ヒストグラム、パイ、ライン、レンジなどの手法のなかで最も効果的に表現することが大切です。

・前倒しで分析結果をイメージする

軸の整理が終わったら次は具体的な数字を仮に入れて分析・検討結果のイメージを前倒しで進めていきます。これを行うことによって軸の範囲などを明確にイメージできるようになり、作業効率化に繋がることになります。
実際の分析検討の前にあらかじめ仮説を立ててイメージを具体化することによって必要となる検討の細かさまでが事前にわかります。その際に比較による意味合いを明確に示すことが必要になります。
・差がある
・変化がある
・パターンがある
というように最終的にほしい意味合いを分析イメージに書き入れることが大切です。そうすることで結果が出なくても落胆せずにすみ、諦めてはならないラインも明確になり、何を結論付ければいいのか?といった悩みも回避できます。こういう結果がほしいと思いながら楽しみながらやることがコツです。

・分析方法を考える

最後にどうやってデータをとるのかという方法を明示することが重要です。どんな分析手法を使うのか、どんな情報源から得るのかということを分析イメージすることが作業を効率よく進めるカギとなります。大きな発見には大きな手法の解決が存在することが多く、イシューから始めることで大胆な手法の開発に繋がる可能性が高まります。

・理解と記憶について脳の仕組みから考える

人間の脳神経系には留意すべき4つの特徴があります。
①閾値を超えない入力は意味を持たない
人間の知覚はある一定のレベルを超えないと認識されないようです。臭いにしても音にしても人によってレベルの差はありますが、ある強さを超えると急速に感じられるようになります。
②不連続な差しか認知できない
脳はなだらかな違いは認識できず、異質あるいは不連続な差分だけを認識します。脳は異質な差分を強調して情報処理するように進化しており、少しの違いにはなかなか気づきません。分析においても明確な対比で差分を明確にすることによって脳の認知度合いは高まります。また、脳は異質な差分しか認識しないため、同じ形のグラフやチャートを続けるのは良くありません。そのため相手に伝えるためにはチャートの表現レパートリーを多く持ち、同じ形が続かないような工夫が必要です。
③理解することは情報をつなぐこと
脳は2つ以上の意味が重なり繋がったとき「理解」します。すなわち理解することは情報をつなぐこととなります。分析において比較軸は複数の情報をつなぐものであります。同じ基準から異なるものを見ることによって情報と情報とのつなぎを発生しやすくし、理解につなげることが大切です。
④情報をつなぎ続けることが記憶に変わる
理解させた情報を記憶させるためにはその情報を繰り返すことが重要です。何度も情報のつながりを認識させることによってその情報は忘れなくなります。ただし、きちんと相手に覚えてもらうようにするには同じ言葉の繰り返しでは意味がありません。これとあれは確かに関係しているという情報が実際につながる理解の経験を繰り返さなければ相手の頭には残りません。

~終わりに~

本章を読んでこれまでは手法がわからず(自己流で)仕事に当たることが多く、なかなか前に進まなかったり手戻りが起きたりしていました。これまでは「時間が不足していたから、頑張らなかったから」というような根性論で考えてしまっていましたが本書を読んで、イシュー設定とストーリーラインづくりが上手くいかなかったからということに気づきました。これからは「さあ分析を始めよう!」と勢いづく前に一度止まってこれらの手法を実践していきたいと思います。

また、数字を具体的にイメージすることがいかに重要かということも新しい学びでした。世間ではゴールを決めることの重要性が説かれていますが、ゴールを具体的な数字のイメージまで落とし込むことが大切なのだなと感じました。最終的にゴールとなる数字は変わっていくと思いますが、漠然とした状況のなか手探りで進めるのとは効率性が大きく違います。

脳の仕組みにおける認識と記憶の記述に関して、「あ、そういうことだったのか」とこれまでの体験を振り返って納得することが多々ありました。数学や漢字の反復学習もこれに当たると思います。本書で書かれた4つの脳の仕組みを意識して生活することで仕事だけでなく様々なところで活かされるのではないかなと感じました。

著者は「世界で誰も知らないという喜びを感じられるようになる」という表現をされていました。誰も知らないことに対する喜びを意識することも、これらを継続させる上で大切なんだなと思いました。

また、安宅さんの文章を見ると「カンタンそうだな」と感じてしまうから不思議です。文章の節々に読者の気持ち(ex.「難しそう」と感じられるかもしれませんが)を書いており、読み手を引き込ませるテクニックに優れた方なんだなと思いました。

本章では新しい発見が多々あり、長くなってしまいました。こうした賢人の知恵を効率よく吸収できるのが読書の醍醐味だと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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