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未来を紡ぐ。児童虐待防止月間。

11月は児童虐待防止月間。
早速先週ある市町からの依頼で、児童虐待防止研修の講師のお仕事。

私が自分の育って来た環境が、児童虐待に当てはまると気付いたのは大学生の頃。何気なくボーッと眺めていた24時間テレビ。虐待経験のある人の特徴が自分に当てはまっていた驚き!
そして、番組では「児童虐待は世代間連鎖する」話が。この番組を見て私は、「連鎖は食い止めなくては!絶対に子どもを作らない!」と心に決めたのでした。

それから何年かして結婚して、息子くんが産まれママになりました。
感情的に怒ってしまった後で、泣いている息子くんを見る度に
「やっぱり私なんかがママになってはいけなかったんだ」
と、何度も何度も落ち込んで・・・。

息子くん達が小さい頃、仕事を辞めて臨床心理士養成の大学院に行きました。この頃の私はまだ、授業で児童虐待について取り上げられると心がざわざわ、ざわざわ。落ち着かない気持ちになることがありました。

大学院を卒業し資格をとって、市役所の家庭相談員を7年間勤めました。
家庭相談員とは、0才から18才までの子どもを育てている世帯の、児童虐待対応やDV相談、発達や不登校、家庭内暴力など、あらゆる子育て相談を受けるお仕事です。(市町によっては多少内容が異なります)

そこで沢山のママ達(たまにパパ達)と出会いました。
皆さんとの出会いから改めて感じたことは、児童虐待は「遠くの誰かの話」とか「特別なこと」ではなく、「誰でも起こりうる」ことなんだということ。
子どもに手をあげてしまう、きつく叱責してしまう、そんな悩みを持つママ達が、普段から鬼の形相をしている訳でも、子どもに愛情がなく非情な方でもありませんでした。皆さん子どもを心から愛し、どう育てたら良いのか悩みながら、一生懸命頑張っているママさん達ばかりだったのです。

泣きながらこれまでの辛さを話してくれたママさん達。その話を聴いていると、私の目にも涙が込み上げて、泣きながら、笑いながら、「何で土居さんまで泣くの」と笑われる。

家庭相談員の仕事をして、いつしか私自身が子育てで、ひどく落ち込むことが減っていきました。
ママさん達とつながりお話が聴けて、一緒に心もつながれた体験は、私の子育てにも影響し「自分なりに試行錯誤しながら頑張っているんだ」と自分で自分を認められるようになっていったんだと思います。

児童虐待の世代間連鎖についての調査では、連鎖が起こるのは3割程度。残り7割のママ達には連鎖は起こらないのです。
この違いは、ママが『孤立』しているかどうかが重要なポイントの1つ。
一人で子育てを抱え込んでいないか。周りに助けてくれる人がいるか、SOSを出せる人がいるか。夫婦で子育てについて話が出来ているか。ちょっとした愚痴が漏らせる相手がいるか。
例え被虐待の経験があったとしても、『人とのつながり』の中で連鎖は断ち切れるのです。

児童虐待は、心の問題だけではなく、希薄になった『人とのつながり』を紬なおす、つながりの不足している環境を整えていくことも大切。そう考えて、『人と人』や、『人と制度』、『人と環境』を繋げていく社会福祉学も学びソーシャルワークも実践しています。

大人になってから、母と当時の辛い状況を一緒に振り返ったことが一度だけありました。
DVを含めて家庭内暴力はまだまだ「家庭の中の問題」とされていた当時。(「夫婦喧嘩は犬も喰わない」に象徴されるように)
ひどい暴力が起これば、警察は対応してくれましたが、相談にはのってもらえませんでした。勿論、行政にも相談窓口はなくサポートしてくれる民間の団体もありませんでした。
「あの時にね、たった一人だけ一生懸命相談にのってくれた人がおったんよ。市役所の若い女の職員さん『自分には話を聞くくらいで何もできないけれど』と言いながら、一生懸命一緒に考えてくれた。あの人だけだったね親身になってくれたのは。本当にありがたかったなぁ」

子どもの頃の私は、自分の父親のことで苦しんでいる家族に対して、何もできない自分が悔しくて。何もできない自分が不甲斐なく、無力でダメな人間だとずっとずっと。口には出さず。心がずっと感じてた。
『いつか母を助けたい!』
そんな思いからか、いつしか「大きくなったら困っている人を助けられる、人の役に立つお仕事に就くぞ」と考えるようになっていました。

子どもの頃の私の、体験や想いは『今』の私につながっている。
これまで相談に来てくれたママさん達とのお話が『今』の私を作ってくれている。
研修のお仕事で出会えた皆さんとの出会いは、わたし達と子ども達の未来につながっていく。。。

児童虐待防止月間。
虐待の加害者も被害者も作らない、安心してつながり合える未来を皆さんと一緒に作っていきたい。そんな想いを紡いで繋げてみた今日のnote。
あなたとわたしの未来につながれ!



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