木越純

会社勤めの傍ら、武蔵野美術大学大学院クリエイティブリーダーシップコースを一期生として修…

木越純

会社勤めの傍ら、武蔵野美術大学大学院クリエイティブリーダーシップコースを一期生として修了。研究テーマは「アートとビジネス」。アートがもたらすビジネスやビジネスパーソンへの効用を探求中。鉄道趣味と掛け合わせ「Art & Railways」として課外活動をゆるゆると進めています。

最近の記事

美術批評 デジタルネイティブ・ナカミツキ考 木越純

現代アーティスト ナカミツキ:1997年兵庫県生まれ、2018年度三菱商事アート・ゲート・プログラム奨学生、2020年京都教育大学美術領域専攻卒業。 画学生、中光希 現代アート、特に若手の日本人アーティストに興味を持ち始めた2019年秋に、筆者はとある藝大美大現役学生のオークションに参加した。大手企業や財団から奨学金を受けるか各種展覧会で賞を取っている所謂「注目株」と言われる現役学生が20名ほど招かれていた。作品を一通り見て回った後、アーティストの卵達が順番に自己アピール

    • 美術批評 静物:毛利悠子の《Decomposition》 木越純

      路地の奥にある古びた集合住宅を改造したアートスペースの最上階の一室が、お目当ての展示場である。鉄の扉を開くなり、呻くような音響が鳴り響いてくる。日当たりの良い部屋に入るなり、甘ったるい果物の腐臭が押し寄せてくる。色々な果物の匂いが混じりあっているが、一番優っているのはバナナに違いない。見ると部屋の奥の木机の上に、古典絵画の静物画の様に何種類もの果物が置かれている。何日もテーブルの上に置きっぱなしにされているのだろう、リンゴやオレンジはかろうじて原型を保っているがバナナは完全に

      • 弥次さん喜多さん、ゲルハルト・リヒター展に行く

        弥次さん:喜多さん、喜多さん、見てみねぇ、なんだかわかんねぇが、豪快な襖だね。この上にこれから何んか描くのかね? 喜多さん:知らないのかい、弥次さん。今お江戸で評判の「ビルケナウ」という西洋画さ。絵師のリヒターさんは、海の向こうではなんでもすごい人気で、競りでは日本橋のおおだな(大店)が買えるくらいの値がつくそうな。 弥次さん:そりゃすげえ。でその「ビルケナウ」ってえのは、いったいぜんたい何なんだい? 喜多さん:またの名をアウシュビッツと言って、昔獨逸国の暴君が気に入ら

        • 線路は続くよどこまでも−鉄道パラダイス—

          本日は、ご乗車頂き誠にありがとうございます。終点まで脱線は最小限に運行してゆくつもりですので、宜しくお願い致します。 思えば、子供の頃から電車が好きでした。宝物は祖父や父が買い与えてくれたカツミの鉄道模型。実家の近くにある三鷹電車区跨線橋から、夕日を浴びながら電車を眺めるのが好きでした。そんな鉄道趣味も大人になるに従って忘れてしまいましたが、初心を思い出させてくれたのは、ロンドン・ビジネス・スクールへの留学でした。ロンドンが世界のマネーセンターであるとすれば、イギリスは世界

        美術批評 デジタルネイティブ・ナカミツキ考 木越純

          「還暦の美大生」、人生リデザイン、その行方は?

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ(CL)コース・一期生  木越 純  あとひと月で美大生もおしまい(2月28日現在)、「卒展」に向けて準備にいそしんでいるところです。美大の大学院ですが、CLでは作品制作ではなく学術論文が課せられています。私の修士論文テーマは「金融機関による企業戦略としてのアート・プロジェクトの事例研究」。平たくいえば、アート・パワーで日本の金融を元気にしたいという問題意識から取り組んだテーマです。様々な取り組みをしている6社にインタビュー

          「還暦の美大生」、人生リデザイン、その行方は?

          "Design for All"、ユニバーサルデザイン総合研究所代表、赤池学(あかいけまなぶ)さん

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第14回赤池学さん、2020年8月17日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純 今日は、ユニバーサルデザインに基づく製品開発や地域開発を手がけ、また地域の特産品にそれなでにない視点で付加価値をつけて地域経済の活性化を図るなど、幅広く活躍されている赤池学さんをお迎えしました。赤池さんは元々昆虫発生学を研究されていた生物学の研究者でしたが、DNAに支配されない発展性のあるデザインに目覚めます。

          "Design for All"、ユニバーサルデザイン総合研究所代表、赤池学(あかいけまなぶ)さん

          ”アフターデジタル", ビービット社コンサルタント、藤井保文(ふじいやすふみ)さん

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第13回藤井保文さん、2020年8月10日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純 今日は昨年出版されベストセラーとなった「アフターデジタル」の著者で、UX/DXコンサルタントの藤井保文さんをお迎えしました。藤井さんは、1984年生まれ。東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 修士課程修了の後、2011年ビービットにコンサルタントとして入社。2014年に台北支社、2017年から上海支社に勤務

          ”アフターデジタル", ビービット社コンサルタント、藤井保文(ふじいやすふみ)さん

          "伝統と先端”、金沢のアーティスト集団Secca代表、上町達也(うえまちたつや)さん

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第12回上町達也さん、2020年8月3日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純 今日は、先端の3Dデジタル技術や新素材に金沢で育まれた伝統工芸技術を掛け合わせて新しいものづくりを追求している、Secca(雪花)の創業者で代表取締役の上町さんをお迎えしました。 上町さんは岐阜県出身、金沢美術工芸大学卒業の後にニコンに入社、プロダクトデザイナーとして当時ニコンが新規参入したミラーレス・NIK

          "伝統と先端”、金沢のアーティスト集団Secca代表、上町達也(うえまちたつや)さん

          "Made in Local", 3.11復興の石巻と世界を結ぶ建築家、芦沢啓治(あしざわけいじ)さん

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第11回芦沢啓治さん、2020年7月27日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純 今日は芦沢啓治建築設計事務所代表の芹沢さんをお迎えしました。芹沢さんは、本業は建築家ですが、一般家屋やホテル、商業施設などの設計建築をする傍ら、インテリア、家具やプロダクトのデザインと領域を広げ、工房運営や展示会デレクションまで行っています。お見受けするところ左利き、もしかしたらレオナルド・ダ・ビンチの様な多

          "Made in Local", 3.11復興の石巻と世界を結ぶ建築家、芦沢啓治(あしざわけいじ)さん

          ”あるものを進化させるから、無いものをつくる”、インフォバーン・京都支社長、井登友一(いのぼりゆういち)さん

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第7回井登友一さん、2020年6月29日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純 今日は、デジタルによって企業のイノベーションを支援するデザイン・ストラテジスト、インフォバーンの井登さんを講師にお迎えしました。お仕事の傍ら、京都大京都大学の経営管理大学院博士後期課程で、サービスイノベーション&デザインを研究されている学徒でもあります。 最近企業から依頼されるテーマが、「今あるものを進化させ

          ”あるものを進化させるから、無いものをつくる”、インフォバーン・京都支社長、井登友一(いのぼりゆういち)さん

          ”それぞれの居場所を見つける処”、アメ横は呑める魚屋・魚草店主の大橋磨州(おおはしましゅう)さん

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第8回大橋磨州さん、2020年7月6日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純 今日は、アメ横で「呑める魚屋・魚草(うおくさ)」を営んでおられる大橋さんをお迎えしました。大橋さんは、元々は慶應義塾大学から東大大学院に進み文化人類学を専攻していた学究の徒でした。修士論文の「フィールドワーク」のつもりで訪れていたアメ横で、ビールケースのお立ち台に乗って叫ぶ売り子のパフォーマンスや、ものとカネが文

          ”それぞれの居場所を見つける処”、アメ横は呑める魚屋・魚草店主の大橋磨州(おおはしましゅう)さん

          ”失敗とは判断しないこと”、災害対応専門家の佐伯潤(さえきじゅん)さん

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第9回佐伯潤さん、2020年7月13日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純 今日は、国士舘大学、防災・救急救助総合研究所の佐伯潤さんをお迎えして、防災・災害対応の備えについて伺いました。佐伯さんは東京都のご出身、東日本大震災の折に帰宅困難者の応急手当てなど支援活動をする中で、災害に対する日頃からの備えが大切であること痛感されたとのことです。その後、防災・減災活動のプロとして、民間企業によ

          ”失敗とは判断しないこと”、災害対応専門家の佐伯潤(さえきじゅん)さん

          " ひととものを介して地域文化の経済循環を図る ", 地域文化商社・うなぎの寝床代表の白水高広(しらみずたかひろ)さん

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第10回白水高広さん、2020年7月20日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純 白水さんは、1985年佐賀県小城市生まれの35歳です。大分大学工学部福祉環境工学科建築コース卒業後、厚生労働省の雇用創出事業「九州ちくご元気計画」にプロジェクトの主任推進員として関わります。同事業は2011年のグッドデザイン賞商工会議所会頭賞を受賞。ここで得たアイデアを発展させる形で、2012年7月にアンテナ

          " ひととものを介して地域文化の経済循環を図る ", 地域文化商社・うなぎの寝床代表の白水高広(しらみずたかひろ)さん

          ”デザインを哲学する”、哲学者の古賀徹(こがとおる)さん

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第6回古賀徹さん、2020年6月22日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純 今回の講師は、九州大学芸術工学研究院の古賀徹教授、ご専門の近現代の欧米の哲学を起点に哲学とデザインの関係性を追求されており、九州大学では未来構想デザインコースを立ち上げておられます。今日は「ポストインダストリアル時代のデザインとリーダーシップ」と題してお話しいただきました。 21世記に入り「ポストインダストリア

          ”デザインを哲学する”、哲学者の古賀徹(こがとおる)さん

          ”創造的な場を支える仕組みを作る”、メディア・アーティストの江渡浩一郎(えとこういちろう)さん

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第5回江渡浩一郎さん、2020年6月15日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純 今日は、メディア・アーティストの江渡浩一郎さんをお迎えしました。江渡さんは、現在国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)で知能システムの研究をされていますが、まだ大学生だった1990年代から、まだ世の中に知られていな買ったウェブの可能性に注目し、メディアアートをいう新しいアートを創り出し幾つもの作品を発表

          ”創造的な場を支える仕組みを作る”、メディア・アーティストの江渡浩一郎(えとこういちろう)さん

          "豊かで快適な生活を実現する", 川上デザインルーム代表、 川上元美(かわかみもとみ)さん

          武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第4回川上元美さん、2020年6月8日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純 今日は、日本を代表するデザイナー、川上 元美さんをお迎えしました。川上さんは、東京芸術大学美術学部工芸科(ID専攻)のご出身。学生時代に出会った作品集からアンジェロ・マンジャロッティに魅せられて、イタリア語を学び奨学金を獲得してイタリアに留学し、念願のアンジェロ・マンジャロッティ建築事務所で修行を積むました。GE

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