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”失敗とは判断しないこと”、災害対応専門家の佐伯潤(さえきじゅん)さん

武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第9回佐伯潤さん、2020年7月13日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純

今日は、国士舘大学、防災・救急救助総合研究所の佐伯潤さんをお迎えして、防災・災害対応の備えについて伺いました。佐伯さんは東京都のご出身、東日本大震災の折に帰宅困難者の応急手当てなど支援活動をする中で、災害に対する日頃からの備えが大切であること痛感されたとのことです。その後、防災・減災活動のプロとして、民間企業による「防災衛生会議」を立ち上げ、企業を中心に身に付く防災・減災訓練プログラムなどを提供されています。

まずZoom画面の向こうの、引き締まった体躯を戦闘服に包んだ佐伯さんのいでたちが印象的でした。冒頭のクイズからぐいぐい巻き込む語り口と明確なメッセージ、一目瞭然でデザイン性の高いスライド、ただものではありません。

冒頭のクイズは、武蔵美市ヶ谷キャンパスのMUJI店内で人が複数倒れ込んでおり、嘔吐している人や助けを求めている人に気づいた、、、、さあ、あなたならどうするでした。慌てて救助に飛び込むのは下策、1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件を念頭においた設問でした。正解はまずは自分の安全を保った上で直ちに救急(119番)を呼ぶことです。こうした場面では、まず自分の安全を第一に、その上で、逡巡して決断をしないことが最も避けなければならないことです。

防災・救急の際には絶対的な3つのルールがあると言います。1)自分自身の安全が最優先、2)復旧・復興後の役割も意識する、3)個人の無謀が被害を広げることを忘れないことです。防災の究極の目的は、復旧し平時を取り戻すことです。平時に求められる役割が沢山ありますので、その場で人助けと思っても訓練もしたことのない救助行為をして、自分を危機に晒すだけでなく他の被災者の救助・救援活動の妨げとなることを避けなければなりません。

防災グッズについて、1)備えるだけでなく使ってみる、2)流用が借用にならないように使えるようになる、3)日頃から訓練を積んで折角の資機材がいざという活きるようにしておくことが肝要とのこと、なるほど早速我が家の防災グッズを確かめてみようと思い、帰宅してひっくり返してみました。

繰り返し繰り返し、まずは自分自身の安全を最優先すること、それがあってこその人助けと復旧があると擦り込まれました。また居住しているマンションや勤務先での防災訓練が、いざという時の備えになるかどうか疑問に思えてきました。今年も各地で水害の被害が出ていますし、東京でも震災がいつ起こっても不思議ではないとの指摘もあります。防災・減災そしてその後の復興に備えて、日頃から意識して生活をし機会を捉えて訓練を積んでおくことが重要だと感じました。(了)

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