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自分勝手な愛だけど


この記事の続き。

サバイバル・ウェディング2』という本を読んで感じたことを書こうとしたのだけれど、母との関係を書いていたら、思いのほか長くなってしまったので第2部です。

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この本の主人公は、男より稼ぎ、男より酒を飲み、ファッションも旅行も大好き、仕事もプライベートも充実している広瀬麻衣子35歳。

仕事も出来て、バイタリティもあって、お金もあって、海外志向。キャリアウーマンという言葉がぴったりの麻衣子。そんな「結婚しなきゃダメですか?」が口癖の彼女が色々な経験を通して、結婚と向き合っていくお話。

相変わらず編集長の名言は冴えているし、「仕事か、結婚か」その二択に悩む女性心理がすごく丁寧に描かれていて、まるで自分が麻衣子になったような気持ちで、感情移入しっぱなしだった。けど、読み終わって、


「私は、麻衣子のようには、生きてはいけない」


素直にそう思った。
最終的に、麻衣子は驚きの決断をするのだけれど、その決断も含めて、麻衣子のように第一線で働きながら生きていくのは、私には無理だと思った。

確かに仕事は好きだけれど、キャリアウーマンとして男と張り合うほどの資質もなければ、そのモチベーションもない。好きな仕事を自分のペースでやっていければ、それでいい。結婚も、今はやっぱり考えられない。

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それはこの本を読む前からわかっていたこと。
結婚や出産の幸せそうなSNSを見ては、焦っていた時期もあった。けれど、今はどうしても自分と結婚を結びつけることはできない。その必要もないと思えた。
なのに、どこか釈然としなかった私の想い。その理由をこの本は教えてくれた。

それは、まぎれもなく「母の存在」だった。

母との関係は上手くいっていて、結婚や出産を無理強いをしてくるようなこともない。けれど、街中やテレビで、ふと出会うおばあちゃんと孫。それを見つめる母親は、もちろん何も言わないけれど、その姿はいつもどこかさみしそうだった。
その姿がずっと私の頭に残っていた。

「やっぱり、孫が欲しいよね」

私たちが周りの結婚や出産に焦りや引け目を感じるのと同様に、母世代は孫の存在に焦りや引け目を感じるのだと思う。いくつになっても、誰かの幸せそうな姿を見れば、羨ましく思うのは当然だから。

たぶん私は、母親に、孫を抱かせてあげられない

私が結婚しないのはいい。子どもがいないのもいい。
けど、それが、それだけが、ずっと気にかかっていたんだ。

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実は最近また、母親といるのが少ししんどくなっていた。
母親は何も変わっていない。だた、私がその気がかりをなんとか別のもので埋めようとして、勝手に苦しくなっていただけだった。

そのことに薄々気付き始めていたとき、こんな台詞が目に飛び込んできた。

「お母さまはあなたではないでしょう。あなたの幸せをお母さまが決めることは絶対にできない」

結婚を迫る母に悩む麻衣子に、編集長の母親が言った言葉。
そして彼女はこう続けた。

「あなたのお母さまだって、あなたに幸せになってほしいだけでしょう。だったら、あなたはこれがわたしの幸せだって自信が持てる自分の幸せを見つけるの。それで、わたしは幸せだと伝える。それで、お母さまにも幸せになってほしいと愛を伝えればいいの。親子だからって黙ってたら何も伝わらない」

孫を抱かせてあげられない私が悪いわけじゃない。
もちろん、母のさみしそうな姿が悪いわけでもない。

私自身が自分の幸せを見失っていたから、苦しかったんだ。

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私は今の仕事が好きだし、楽しい。
それは麻衣子のようにたくさんお金を稼げるわけではないけれど、やってみたいことはたくさんあるし、私のペースで夢を叶え続けていきたいと思ってる。

英語が苦手で、苦しんでいる子たちにとことん寄り添った共感型の英語指導法を確立したいし、受験や就職で自分の道を決める人たちの意思決定のサポートもしたい。エッセイやフォトブックを出版して、自分の世界観を認めてもらいたいし、それが誰かの力になってくれれば嬉しい。

ターゲットも、詳しい手段も、今はわからないし、
結婚や出産、孫なんて言葉に沈むこともあるけれど、

今、私は幸せだし、
この先もそうである気がしてる。


それと同時に、母親にもそうであってほしいと思う。

旅行やプレゼントも、結婚や孫も、1つの手段にすぎなくて、いくら大切な人だからと言って、できないことを無理にやるのは違う。私にできるのは、まず「私」自身が今、幸せであること。そして、それをちゃんと伝えることなのだと思う。だって、どう頑張ってもやっぱり今の私には、孫は想像できない。


母さん。
今、私は幸せです。
だから、母さんも幸せでいてほしい。

産んでくれて、育ててくれてありがとう。
そして、これからもよろしくね。



自分勝手かもしれないけれど、これが私の精一杯の愛。
人間が完全にわかりあうことなんてできないように、きっと誰かを幸せにすることなんてできないんだと思う。

僕等にできることは、まずは自分が幸せでいること。
そしてそれを分かち合って、相手の幸せを願うこと。

たぶん、それくらいだ。
だけどそれが私の、自分勝手で精一杯の愛。

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