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経験に勝る価値はなし。今の経験を多くの人に伝える大人になってほしい

株式会社スリーハイでは日本の企業数の99.7%を占めるといわれる中小企業の発展的未来のために、小学校から大学まで各年代の教育機関で講演やイベントを行っています。今回は神奈川県横浜市青葉区の桐蔭横浜大学にて「神奈川の中小企業家研究」というテーマでお話してきました。

2024年1月30日桐蔭横浜大学にて「神奈川県の中小企業家研究」の講義を担当

桐蔭横浜大学について

桐蔭横浜大学は横浜市青葉区にある私立大学です。 法学部、医用工学部、スポーツ健科学部があり、2023年から現代教養学環が新設されました。現在は1学環3学部で約2200名の学生が学んでいます。スリーハイのある横浜市都筑区からは、車で20分ほどの距離。一番近い大学かもしれません!

また近頃話題の「部活動の地域移行」に関して、指導者の養成にも取り組んでいるそうです。

【桐蔭横浜大学】「地域部活動指導者資格認定プログラム」を開始
(2024年2月6日PR TIMES プレスリリース)

人生の点と点をつなぐのは自分次第

今回の「中小企業家研究」の授業には、1年生から4年生までさまざまな学部の学生さんが参加されていました。スポーツを頑張る学生さんが多いそうです。でも全員がずっとスポーツだけしていくわけではないと思います。生計を立てるために会社に入って働く、そいういう場面がきたときに、今頑張っているスポーツや、こうした授業での学びが、大いに役に立つことを覚えておいてほしいのです。

故スティーブ・ジョブス氏が米国スタンフォード大学卒業式で行ったスピーチのこんな言葉を知っていますか。

「将来、何らかの形で点がつながると信じることだ。」

興味のある人は論文全文も見てみてください(字幕付)

私も人生において、点と点が線につながるという体験をしています。

私はもともとサラリーマンで、大きな企業に勤めて、仕事をきっちりして、退職金をもらって老後を過ごす、そんな人生をイメージしていました。しかし父が経営していた株式会社スリーハイを事業承継することになり、今にいたります。いわゆる”2代目社長”ですね。

私は小学校の頃からずっと野球が好きで、プロ野球選手を目指していました。スポーツ強豪校である東海大相模の付属中学へ進学し、高校生にまじって中学の3年間は朝から晩まで野球漬けの日々。まるでスタジアムのような充実した設備が学校にあって、高校生と一緒に練習しました。高校生の本格的な練習の仕方は、とても勉強になった思い出があります。しかし中学3年間で野球はやり尽くしてしまった感があり、高校ではバレーボールをやりました。スポーツが好きでスポーツ三昧な学生生活を送りましたが、今の職業は、スポーツ選手ではありません。

でもそんな数々の経験が今の会社経営につながっているという実感があるので、そんな背景にも共感してもらえたらと思っています。

スリーハイの会社・事業紹介

さて本題に戻ります、スリーハイは産業用ヒーターを作る会社です。

ものづくり企業の本領発揮「社会を」温める
スリーハイは日常生活で目にするオーブントースターやドライヤー、ストーブといった「ヒーターそのもの」ではなく、会社の工場設備に使うような産業用ヒーターを作っています。

ジェットコースターのレールの凍結防止や病院で食事を運ぶ配膳車の保温、バットのグリップや卓球のラバーをつける際に温めるものなどにも、私たちのヒーターが使われています。ヒーターそのものを売っているわけでなく「裏方で活躍する」製品です。

スリーハイはオーダーメイドで製品を作ります。作り方、設計、納期、数量もバラバラなので、常に自分で考えて行動しなくてはなりません単調な仕事ではない、やりがいのある仕事です。 作り方を間違えてもいい、でも同じ失敗を繰り返さないようチャレンジできるのが当社の仕事の魅力です。日本は製造業で成り立っている国ですから、皆さんも1/3くらいは、将来製造業に携わるかもしれませんね。

当社のお客様は、北海道から沖縄まで約7000社。取引先とのやりとりは電話やFAXで済ませることもできるのですが、まずはお客さまのご要望を聞きに現場を訪れ、どんなお困り事に当社の技術が役に立つかをしっかり考えます。そんな「フットワークの軽さ」「とことん顧客本位」「ソリューション型(提案型)」が当社の強みです。

スリーハイは私の父が作った会社です。創業者として掲げたこだわりの
「技術」「接客術」「創造術」の3つのHighが社名の由来です。

本業以外も注力「地域を」温める
また、地域貢献も大切にしています。 本社がある横浜市都筑区の東山田地域80の会社と協力して、地域の小学生がそれぞれの会社をめぐる「こどもまち探検」を10年以上続けてきました。

「こどもまち探検」の訪問先は、工場だけに限りません。何十万円もする高価だけれども一生使える家具を作る家具職人さんを訪ねたこともあります。私も普段は皆さんが知っている“お値段以上”の家具を愛用していますが、大量生産ではない、一生使える家具の良さを知るいい機会となりました。

スリーハイのビジネスはお客様と地域の皆さんを「温める」会社です。

こうした地域活動をスリーハイでは“越境学習”と呼んでいますが、なぜ行っているかわかりますか?

それは家の中、学校の中、地域、社会などさまざまな場所における「自分」を学ぶためです。会社にいれば会社での自分の役割はわかりますが、ふと外に出ると、社会の中で自分がどういう存在なのかを考えることを、社員の皆さんにも学んでほしいと思って取り組んでいます。

また今回の授業もそうですが、自分の経験談を後世に伝える役割も重要だと思っています。皆さんも私くらいの歳(50代)になったら、こどもたちや若い人に、ご自身の体験談をぜひ伝えてあげてくださいね。仕事のことでも、サッカーでも、野球でもいいんです。自分の経験したこと、体験したこと、学んだことを、自分たちの次の世代に伝えてほしいと思っています。

こうした取り組みは広く認められるようになり、2020年度には内閣府特命担当大臣表彰を受賞しました。

人口減少や産業構造の変化で日本の国力は落ちていきます。皆さんも海外で働くようになっているかもしれません。その時にふるさと日本はどうなっているかわかりません。私は少しでも自分が知っている知識や経験を未来に伝えていきたいので、今日のような講義を行なっています。

スリーハイの存在価値=バリューは“「温める」をつくる”こと

会社は他人の集まりで、いろいろな価値観を持った人がいます。でも会社で働いている間は、みんなが同じ方向に向かって意思統一していなければなりません。そこで企業は「会社は何のために存在しているか」「何をやっているか」わかるようにするためにバリュー(価値)を掲げます。

スリーハイではお客様から「熱」に関する困りごとの相談を受け、現場へ行き、問題を理解、解決策の提案をします。そして要望にぴったりのオーダーメード品を作り、出荷という流れで仕事を進めていきます。

最近では飛行機の翼の下にある大きなファンに当てるヒーターや自動車の塗装のためのホースを温めるヒーターを作りました。4メートルくらいのホースを通る塗料は、塗料の温度が60度でないとむらなく綺麗に塗れません。ただのホースだと流れるうちに温度がわずかに下がってしまいます。温度が下がると固まって、詰まってしまうんです。ですからタンクからホースの中、出口でも同じ温度となるよう、スリーハイのヒーターで温めます。

中小企業はこういう「直接は見えないけれども、なくては困る裏方の仕事」をしていることがとても多いです。桐蔭横浜大学の皆さんにも、ぜひ知っておいてほしいです。

売上を伸ばし、従業員数も年々増加しているスリーハイでは、障がい者やインターンを積極的に受け入れています。

インターンはだいたい2~3週間くらいの期間で、直近ではオランダから半年間、台湾、日本の大学からも将来の選択を学びに来ています。中小企業でありながら、国際色豊かな労働体験もできる企業です。

「ものを想う。ひとを想う。」を経営理念とするスリーハイでは
私たちが生み出す価値とは何かを常に自問しながら、
ステークホルダーの皆様に向けて、公開・発信をしています。

その他スリーハイについての詳しい情報は年に一度発行される「アニュアルレポートOMOU」にてご紹介しています。

代表・男澤の人生グラフ|予想と現実の交差点

さてここからは、私の人生の話になります。
日本の人口減少は止められそうにありません。国力が次第に落ちていく中、これからの時代をどうやって生きていけばよいでしょうか。 私自身は30歳のころは、以下のような人生を予想していました。ネットワークエンジニアを目指し、海外赴任を経験し、50歳ごろリタイアかな、と。

しかし現実は父の病気や母の事故の後、会社を継ぐという予想と全く異なる人生を歩んできました。父の会社に転職し、それから間も無く大手取引先が倒産。いきなりの借金生活が始まりました。会社としても個人としても苦しい生活でした。

このままではダメだ、と会社のホームページを開設し、貯金を削りながら生活していた苦しい時代です。父から代表を譲り受け社長交代するものの、リーマンショックでドン底の雰囲気でした。
「一体どうやって生きていったらいいものか」
と悩んでいた時に、私は経営塾に入りました。

経営塾では経営の勉強はもちろんですが、人を雇ううえでのマネジメントや心理学なども学びました。

30代の頃に思い描いた人生とは全然違うけれど、2つのグラフを重ねると、たどりついたところは大体同じ感じになっていたのが興味深いです。

このことから私が学んだのは、
いわゆる人生のターニングポイントでは
「腐っちゃえば終わり」ということ。

その時々のマイナスをプラスに変える姿勢がとても大切です。

精神科医のウィリアム・グラッサー博士が言っていた
選択理論(選択理論心理学)の

「すべての行動を選択できるのは自分だけであり、
他人は行動を直接選択できない」


という言葉に感銘を受けました。
人生は選択の連続であり、自分で選んでいくしかなのだ、と。

選択理論もっと詳しく知りたい人はこちら↓

「すべての行動を選択できるのは自分だけ」という言葉を胸に、
腐らずコツコツやるしかありません。
私のターニングポイントは下図の黄色の点線でした。

そしてターニングポイントでとったのは下図の緑の字で描かれた行動です。

私が人材採用の際に見ているのは、履歴書ではありません。
面談重視、その人の経験が大事だと考えています。
なぜなら経験から人となりがわかるからです。

皆さんには、大学の4年間にいろいろな経験をしてほしいと考えています。 人生にはさまざまな経験が点在します。もちろん今日の授業も点です。
それを活かすも無駄にするのも自分次第です。

今日の授業も大人になった時に
何かにつながると信じ続けてほしいと思います。

私の人生も同じです。サラリーマン人生を目指した。
借金生活もあったけれど、
スリーハイに入って良かったと、今は思っています。

スタンフォード大学のクランボルツ教授の
「プランド・ハップンスタンス(計画的偶発性)」では、
個人のキャリアはその8割が「予期しない偶然の出来事」によって形成されるといわれています。

ですから、思い通りにならない方が多いのです!そう思って取り組んでいれば、多少嫌なことがあっても大丈夫。キャリア形成においては「まずやってみる」という気持ちが大切です。まずやってみないと、クランボルツ教授の言う偶然すら起きません。偶然が起きないと個人のキャリアも積み重ならないんですね。

そして自分がとった選択を正解にしていくことに意味があると考え、
選択をどう活かすかが大事だと思います。

【質疑応答】まず声に出す!脳をポジティブにしよう

それでは質問を受け付けます。一番手はとっても嬉しいことに、インターンへの参加方法についてでした。申し込みを楽しみにお待ちしています!以下に質問と回答を列挙します。

Q. 障害者雇用、留学生雇用を行うようになったきっかけはなんですか?

A. 多様性を大切にしているからです。 昔はなにかと揃えたがるものでしたが、一人ひとり違っていいという時代になりました。ハンディの有無、違う考え方、海外の価値観など。 私は英語の勉強も始めました。英語はやったほうがいいです。働く人が減っていくなか、これまで以上に海外の力を借りることになるでしょう。中学程度でもいいので、伝えようとする気持ちを身につけてほしいと思います。

Q. 人生のターニングポイントを乗り越えた経営者の言葉は何ですか?

A.「腐らない」ことですね。 先輩や上の人から何か言われたときに「そんなのわかってるよ」と思うこともあるでしょう。そこでプラスに考え、「ありがとうございます」「勉強になります」など、言葉に出す。そこから脳がポジティブに変わってきて、行動も変わる。寄ってくる人も変わるのです。

【グループ討論】札幌営業所を開設し、売り上げを積み上げるには?

グループ討論では
「今月に北海道に営業所を開設することになりました。この知らない土地で売り上げを積み重ねていくためにどんな方法があると考えられますか?3つ考えてください。」
というお題を出しました。

アイディアが採用されたら、当社でプレゼンの機会を得られます!
我々サイドでは気づかないことを考えてほしいです。
ちなみにお題は実際のお話で、スリーハイでは札幌営業所開設の手続きをしたばかり。ただ営業所は作りましたが、今のところ人は置かない予定で、転送電話で現地の状況・ニーズをウォッチしていこうとしています。 その理由は、最初から人を置くにはリスク(人件費が発生する)があるからです。人を雇うなら月に1500万くらいの売上がほしいと考えています。

学生さんからは酪農や暖炉、岩盤浴、スタジアムのベンチにヒーターといった製品アイディアとともに「富裕層”をターゲットにしたらいいのではないか」という意見が多くみられました。

たしかに札幌は土地の値段が高騰しており、5倍くらいになっています。
中国からの投資やビジネス、大きな半導体工場もできるそうです。

ビジネスを進めるために大切なのは仲間づくりだと思っています。
講義に参加した学生さんの中に、
北海道札幌市出身の方がいらっしゃいました。
お友達も多数もいらっしゃるそうです。
当社の札幌営業所に来てくれたらうれしいですね。

経験にこそ価値がある。人生の点をつないで

今回は会社の話、私の人生の話の2つを聞いてもらいました。
これからは皆さんが社会に参画していく側になります。
インターンという形でもいいですし、
どこかでお会いできることもあるでしょう。
そこで私が伝えたいのは

経験にこそ価値がある。ということです。

学業、スポーツ、アルバイト、プライベートなど、
いろいろな体験、経験をしてください。!

またどこかでお会いできることを祈っています。
本日はありがとうございました。


株式会社スリーハイ



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