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65歳になったら

 福祉の世界では「65歳」は、いろいろと区切りとなる年齢である。

高齢者になる!

介護保険の第1号被保険者になる!

 定年は65歳とは限らないですね。

 障害福祉サービスから介護保険サービスへの切り替えが行なわれる。それに伴い、例外はあるけれど、相談支援専門員から介護支援専門員への切り替えが行なわれる。

 65歳に近づくと、介護保険サービスの認定調査の依頼が来る。これまでの障害福祉サービスを利用していたから、認定調査をしたことはあるけれども、ちょっと調査をするときの視点が違う。例えば、「精神・行動障害」や、認知症の症状の聞き取り方が異なってくる。
 認定調査の依頼が来たことを本人に伝えると、「この前も調査を受けた」と文句を言う。障害福祉サービスの認定有効期間は基本「5年」、利用開始時期によっては、認定調査が続いてしまう。
 そして、「介護保険」ということを伝えると、急に不機嫌になり、拒否をする。何だか特別なことをされるようで嫌だと言う。

 本人「認定調査を受けたくない」
 相談員「でも、受けておいたほうが良いと思うなあ」(希望的観測)

 と、こんなやりとりを続けるが、本人は納得しない。無理に進めてしまうとますます頑固になるから、ほどほどにしておく。だからと言って、そのままにするわけにもいかず、市の介護保険課と障害福祉課に連絡する。本人の状態を伝え、現状のままでのサービス利用で話をまとめるが、本人のこれからのことを考えてしまうと不安はあります。

「介護保険優先です」

 自分のことをまだまだ訓練ができると思っている人もいる。これまで障害福祉サービスで利用できていた就労系サービスは介護保険サービスでは使いにくい。
 介護保険サービスと障害福祉サービスを両方使える場合は「介護保険サービスを優先する」と言われています。そのうえで、介護保険サービスで足りないところは、障害福祉サービスの利用をするという流れです。でも、この場合も、計画(ケアプラン)は介護支援専門員が作成するようになっています。相談支援専門員も連携していきながら「加算」も取得できるようになってきているはずです。
 もう一つ悩ましいのは、自己負担。障害福祉サービスでは「0円」で利用できていたものが、介護保険サービスでは「原則1割、もしくは2割」になるかもしれない。
 「通院等介助」を障害福祉サービスで利用していた場合、介護保険サービスでの利用になり、これまでのヘルパー事業所では使えないかもしれない。
 その一方で、本人の体調の変化がなく、落ち着いており、「3か月に1回」の受診の場合は、『介護保険サービスでは使えない』と市役所では言われたことがあります。その時には、引き続き障害福祉サービスが利用できるんだけどね。
 それと「居宅介護(訪問介護)や重度訪問介護が使いにくくなった」とも言われています。これまで通りにサービスを使おうとすると、本人の障害支援区分によって違いがあるにしても、サービスの内容は変わらないにしても、本人の希望する時間では足りず、介護と障害を併用することもありますね。

 併用すると、ケアプランが2つ出てきて、請求作業も2つに分かれてくる。「居宅介護」(Aとする)、「訪問介護」(Bとする)を例にすると、A事業所とB事業所が同じ事業所でも、違う事業所でも、サービスの振り分けをしなければいけなくなり、ヘルパーにもサービス提供記録の書き方が違うことを説明しなければいけないかもしれない。曜日や時間によって、ABのどちらで請求するかも考える必要がある。

 身体の変化、気持ちの変化、生活の変化、金銭面の変化、人間関係の変化など、様々な変化が現れてくるなかで、本人への負担も考えないといけない。本人は何となく分かっているつもりが、どこか受け入れたくない。

 そんな戸惑っている利用者を誰が相談に乗るのか。 

 これまでの関係性やネットワーク、本人の状態をよく分かっている「相談支援専門員」か、
 年齢による認知機能の低下などに対応でき、これからを支えてくれる「介護支援専門員」か、

 もちろん、家族がいれば「家族」に、また、どちらでも相談出来たらいいが、障害者が65歳になってから、しばらくは落ち着かない日々が続くかもしれない。

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