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「60分」でできること

 生活援助を提供していく中で「60分」が一つの基準になっている。この数字は、生活援助の上限であると同時に、訪問入浴介護の上限でもある。請求単位としてのものなので、これ以上行なっても問題はありませんが、60分以上の請求はできないようになっています。

では、この時間で何ができるか、生活援助を例にして考えてみる

 生活援助の仕事内容は、介護保険サービスを利用できる方を対象に身の回りの生活を支援するもので、同居のご家族へのサービスはしません。あくまでもご本人が日常生活を送る上で困っているところ、不自由な部分を支援するという目的で行います。また、生活援助サービスの時間は、「60分以内」で行うことが定められています。
 生活援助の内容は、以下の8つに分類することができます。
①掃除 ②洗濯 ③ベッドメイク ④衣服の整理・被服の補修
⑤一般的な調理、配下膳 ⑥買い物 ⑦薬の受け取り ⑧ゴミ出し

 僕としては、生活援助単体でのサービスの場合、「よくやれるなぁ」と感心してしまいます。

 例えば、
②洗濯は、洗濯機に入れたとしても、40~50分はかかってしまい、干すことはできたとしても、畳むことはできずに、大慌てだと思う。

⑤料理をするにしても、切る/炒める/ゆでる等を考えると、急いでしまう。また、1食分だけ作るのは思ったより手間だから、3食分作ることもある(かな)。

⑥買い物は、買い物メモの確認→店まで行く→買う→帰ってくる→確認する/しまう→金銭チェックなどを考える。

 もちろん、計画に従って行なうから、計画に載っていないことを頼まれても「できません」と言える。また、週1回で難しければ、週2回も可能であると思う。※支給限度額を踏まえて、ケアマネさんと相談しましょう。

手際が勝負!

 限られた時間の中でどれだけ順番を考えられるかが重要とも思います。また「ついで」にできることもある。例えば、⑦は買い物へ行くついでに、隣にあるドラッグストアに処方箋を届けて、買い物が終わったら、取りに行く。⑧は、買い物へ行くときや支援終了後にゴミ集積所におくことができるとは思う。ただし、あくまでもゴミ捨ては「日常生活で出たゴミ」にしておかないと、いろいろと問題が出てくる。

 手際と書いたが「同時進行」もある。洗濯機を動かしながら、買い物へ行くor掃除をすることだったり、調理をしながら、利用者とのコミュニケーションをとったり、という感じです。ただし、いくつも同時にしていると、どこかで失敗するから気をつけないといけないね。

時間が余ったら、どうするの?

 そんなにも多くないとは思いますが、「たまたま」があると時間が余る。でも、帰ってはいけない。
 サービスの提供は「ケアプランに従って」行われるので、何かやることを見つけて行なう。利用者が「早く帰っていいよ」と言うかもしれないけど、ね。

 かと言って、「60分」という中で、詰め込みすぎるのも気をつけたいね。サービスを提供する以上、中心は「利用者」である。ちゃんと向き合い、コミュニケーションをとることで「サービス提供」と言えると思います。

 逆に、延長してしまったら、どうするのか。

 サービス提供としては「計画に従って」行なうから、中途半端なところでは終われない。ただ、次の訪問先があるときには、延長することはできない。少しの延長(せいぜい10分まで)だったら、大丈夫と思っているから、切りの良いところまでは行なってしまう可能性は高いですね。 

利用者は何をしている?

 生活援助、家事援助では「利用者も何かしら役割を果たしている」と思っています。生活の中の全部はできないけれど、自分のできることをして、できないことをヘルパーさんにしてもらう。例えば、手の届くところの掃除は自分で行なっておく、ゴミをまとめておく、買い物のメモを作っておく、ということ。
 たまにヘルパーさんを「家政婦扱い」(すみません、適切な言葉が見つかりませんでした)していることもあるとは思います。ただ、このことは利用者にとっても、ヘルパーにとっても「良いことはない」んです。必要以上のことを支援する/させていることで「日常生活の自立を妨げている」とも言えます。

 時間内でできることを、きちんと責任をもって終わらせることができることで、利用者もヘルパーも安心できると思います。

 あっ、一つ言いそびれたことがあります。

 サービス提供記録を書くことも含んでの「60分」です。

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