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「すぐに」行動することのリスク

 利用者からすると、相談をしたからすぐに行動してくれることを期待している。問題が目の前にあり、解決を急ぎたい。

だけど、
①すぐに行動できないこと
②わざと行動しないこと

もあると思っています。

 利用者としての「すぐに」とは、大げさに言うと「1週間後には」解決していることだと思うのだけど、相談員や支援員としては「すぐに」と言われたときには、利用者には「早くとも1か月後」と伝えています。
 利用者としてはガックリしてしまうけれど、実際には「1週間後」には無理である。もしも、翌日にでも解決している場合は「制度外での利用か」「自費での利用」と考えてしまいます。そのことが全く駄目とは思いませんが、制度内で使うことと比べると、費用面や本人へのサポートで少し不安なところもあります。

解決したいこと

 相談の内容や本人の状況にもよりますが、

①手帳の申請の場合・・・早くとも3か月後
②サービスの新規利用(認定調査から)・・・とっても急いで2か月後
③ケアプラン(サービス利用計画)の作成・・・とっても急いで1か月で出来上がる
④サービス提供事業所を探す・・・早くて3日
⑤サービス提供開始・・・サービス担当者会議を開催してから

 と考えたほうが良い。いろんなところと連絡を取り合って、状況確認をして、書類を書いて、印鑑をもらって・・・としていると、それなりに時間がかかる。そして、窓口に書類を提出したとしても、すぐにOKが出ることはない。少しでも不備があれば、電話がかかってくるし、修正が必要なこともある。
 サービスを提供する時には、認定区分がはっきりしない中でもサービス提供は可能ではありますが、事業所としてはあやふやな状態ではやりにくいところがありますね。

急いでいるのは誰か?

 急いでいるのは、相談の内容からしても十分に分かります。ただし、支援員が本人にどれだけ電話してもつながらなかったり、時間がないから別の日にしてほしいと言われることがある。そう言われてしまうと「本当に急いでいるのか」と疑問に思ってしまいます。

 そうしているうちに、A事業所で「すぐには難しい」と言われたと思い込んで、「だったら別のところでやってもらおう」とB事業所に相談したとしても同じことを言われることがある。その場合、事業所が変わった時に、申請もリセットされてしまい、また最初から行なうことがあり、余計に時間がかかることがある。事業所間での連携ができていれば難しいことはないと思うけれど、書類によっては最初から「書き直し」ということもある。

 そんなに急いでいるのは何故だろうか?

 家族間での問題があり、「緊急性」がある時には、ケアマネや相談員に相談して、何とかネットワークを駆使して、市役所と協議をしていくとは思いますが、これまでの支援の中で「緊急性がない」と見てしまうこともあるし、何だかおかしいと直感的に感じることがあります。本人や家族での突発的な事態もありうるので、きちんと面談はして状況を把握しますが…。
 ただ、どこから見ても緊急と言える状況が見えない。よくよく聞くと「Aさんがサービスを使っているから」「テレビで早めに申請するように言っていたから」「Bさんが言っていたから」ということらしい。

 内容にもよりますが『そんなに急がなくてもいい』『そんなに急いでできない』こともあります。
 例えば「住んでいる地域によって進め方が違う」「申請、受付の期間が決まっている」「書類がまだ届いていない」などである。書類が届いていなくとも、ダウンロードできることもありますが、添付書類が分かりにくい事があります。

こんなことありました。。

一つ目!
 新規で障害福祉サービスでの就労支援サービスを利用したいと相談に来たAさん。市役所での手続きを進めていくと、年齢が65歳以上で介護保険サービスの対象であり、本人がサービス利用を断念。

二つ目!!
 精神障がい者であり、サービス利用をしたいと本人から電話あり。本人と面談していく中で、障害者手帳の期限が切れていることが発覚する。通院も1年くらいしていないとのことで、主治医の意見書や診断書の手配が必要だと分かり、サービス利用を断念!

三つ目!!!
 サービス提供に緊急性があり、関係者が集まって方向性を確認してから、いざサービス開始となったにも関わらず、本人から「少しサービス開始は待ってほしい」と言われてしまう。定期的に連絡をとるが、2か月たってもサービス開始ができないため、サービス提供事業者が離れていってしまう。

「わざと行動しないこと」

 サービスは必要な人には「適切な」時期と、関係者と、方法で提供することが良い。だけど、あまりにも本人が強引だったり、せっかちだったりすると、「わざと」ゆっくりと…じゃなかった慎重に進めることがある。「裏を取る」というか、「何故、急ぐのか」を考えてみる。背景が分かることもあるし、そうでないこともある。
 それでも期限があるので、間に合うようには支援していく。

最後に、

 サービス提供には「スピード感」は大事なことではありますが、ただ「早くする」ではなくて、「場面によって速さを変えていく」ことや、本人や周りとの「(支援の)スピードを合わせていく」ことも大事なことだと思います。
 慎重すぎると、お互いにイライラしてしまうこともあるのかもしれませんが…。

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