見出し画像

福祉職の退職と利用者の虚しさ

 介護職や福祉職で仕事をやめるとはどういうことなのか?

 僕は2回退職している。

 僕は「(介護職や福祉職で)仕事を辞める、退職することはマイナスではない」と思っている。むしろ『色んな経験をしてスキルが上がる』と思う。

 と言ったものの、自分のモヤモヤしていることがある。

 辞めてしまう理由はどうだろう。「一身上の都合により」という曖昧な言い方ではなく、
 ①家族の介護、経済的理由のため
 ②仕事によるストレスのため
 ③職員間の関係悪化のため
 ④結婚、寿退社
 ⑤他にやりたい仕事ができた
 ⑥ほかの施設からの引き抜き

 かな・・・

 いざその時になると「本当にその退職でスキルアップするのか」「今、辞めていいのか」と言われたこともあります。
 金銭面も、条件も、経験も変わってしまう。それでいいのか。
 気になってしまうことがあっても堪えることはできないか。

 でも、辞めるしかなかった・・・と自分に言い聞かせていました。

 辞めるときには周りが見えていなかった。関わっていた利用者のことも。だから、辞める日に何を言われても「ごめんなさい」としか言えなかった。 

 ところで、利用者は福祉職(スタッフ)が辞めることをどう思っているのだろう?

 僕の勝手な考えだけど、喜んでいる人はほとんどいないと思う。
 自分が置いていかれるような感覚、「疎外感」を感じる利用者もいると思う。利用者としては、職員が辞める理由はどうでもいい。
 苦手な人や嫌なことを言ったり、手を出された人は辞めてくれた方が良かったと言う人もいるけれど、全員ではないと思う。
 その一方、施設や事業所に長く利用している利用者は「辞めていく職員」を多く見すぎているから、慣れてしまったこともあるのか。

 福祉スタッフは辞めようと思えば、辞めることはできる。ころころ職員が変わる福祉の世界では悲しいけれど、あること。
 でも、利用者については「辞める」と言ってもすぐに辞めることができない。家族や事業所との兼ね合いで辞めることはできない人もいるとは思うが、もう十分訓練をして、社会に出てもいいはずなのに、辞めさせてくれない。
 まるで、鎖につながれているかのように、身動きが取れない。利用者がどこで何をしているか分かってしまうこともある。
 1人の利用者が「辞める」と言い出したら、ありとあらゆる方向から辞めるのを阻止(?)しようとする。主治医、面会もろくに来ない家族、相談員などなど。
 また、利用者に「得」を見せて、辞めたくなくなるように誘導する。

 事業所は利用者に「辞めてはいけない」という暗示(洗脳)をかける。「事業所に背くと、どこにも行くところが無くなるよ」と言わんばかりに。

そんなことはない!!

 強引にやめる人もいる。僕も相談員として強引に辞める手助けをした人もいる。もちろん、代表から恨まれた。でも、利用者のストレスとこれからの生活と計画を考えるとそうしたほうが良いと思ったから、そうした。
 また、何も言わずに、相談員も知らずに、別の事業所を利用していることもあった。後で知ることになるが、ちょっとイラッとしてしまうが、「なってしまったものはしょうがない」と思うことにしている。

 ただ、職員も利用者も「辞める」と言い出したら、その気持ちは簡単には無くならない。胸の中にギュッと押し込めて、辞めさせてくれなかった悔しさを抱えていると思う。
 「辞める」のは悪い事ではないと思う。それは、職員も利用者も同じ。もっとプラスになるような生活や訓練をしたい、という気持ちはあると思う。ただ「自分が嫌だから」という理由でいくつも事業所や職場を変わるような状態だと、辞めてしまう理由を考えてしまうし、周りは信用できない。

 利用者と職員は同じ生活をしているわけではないから、どんな生活をして、どんな思いでいるのかは分からないから、一方的な押しつけはしてはいけない。だれでも理由はある。その詮索してはいけない。

 理由を知る(話す)だけの勇気がありますか?
 理由には知りたくない真実があるかもしれないしね。
 でも、利用者には何をどう伝えるかは考えてしまう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?