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5年担当してわかった移住のその先

1.まずは移住希望者に寄り添う

移住担当となってから
早5年が経過しようとしています。

はじめての足カフェではゲストとして参加。
ほぼその日に次年度から移住担当とのお話。
ま、転職もしてるし、
都内で暮らしていたこともあるし、
そんな気持ちで移住担当となりましたが
何から手をつけていいのか、
正直、全くわかりませんでした。
私が生まれた昭和52年
足利で生まれた人は2000人強
今、成人式を迎える人たちは1500人弱
そして昨年は900人しか生まれていない。
一方、亡くなる方は1900人。
この差し引き(自然動態)で1000人減/年の状況です。

結婚して子供を産もうにも
その子供が大学などへ進学するだろうと思うと
なかなかたくさん産むわけにもいかず…という人も

ちなみに、自分の同級生が何人地元に残っているか
数えてみてください。
かなりの人が地元を離れているのではないでしょうか?

そこには地元の田舎臭さが嫌で
とにかく都内へという人もいるだろうし、

大学などで専門知識を勉強したことで
地元にその専門知識を活かす就職先が見つからない
という人もいると思います。

また、結婚する相手が別の町出身で
パートナーの町へ引っ越す人もいるだろうし

家を建てるとき
なんとなくショッピングモールの近くがいいかなと
隣町へ引っ越す人がいるのかもしれません。

地元を離れる人の背景はさまざまです。
なので、
これをやったら転出する人が必ず減るという
正解はないのではないかと思っています。

と思いつつも、どんどん人口は減っていくので
行政として何か手を打たなきゃと
『移住して家を建てる人に補助金』から発展し
『(移住と関係なく)家を建てる人にも補助金』
という状況。

そのほかにも
『子供が生まれたらお祝い金』
『都内へ通勤してくれている人に特急券補助金』
けどそれって…
補助金があるから移住するという人はいないのではないか
ま、もらえた人はラッキーでしょうけど。

さて、そんな状況下、移住担当となり
とにかく何が必要なのか知るために
移住しようとしている人の話を聞こうと、
とりあえず個人の携帯番号を記入した名刺を
セミナーや相談の時お会いした移住希望者に渡して
いつでもご相談にのりますのでご連絡ください。
というスタートを切りました。

2.移住って『よいじゃねぇ』

一言で移住希望者の相談と言っても
悩み事はさまざまです。
大きく分けると
すまい、しごと、まちのことと3つに分かれます。

すまいと言っても店舗、住居などの種別は違うし
どの不動産屋へ行ったらいいのかわからない
そもそもどのエリアがいいのだろうか?
地名やエリア名を聞いてもピンとこない

売買なのか賃貸なのか…
これもなかなか難しく
どちらでもいいとなれば対象物件は広がりますが、
あらかじめ賃貸と絞られてしまうとはまらない。
けど、本当に賃貸じゃないとダメですか?
賃貸だと自分でいじることに制限がありますよ。

古民家がいいというが…
リノベーションするには意外とお金はかかるもの
自分でやりたいという気持ちはあっても
実際にはインパクトドライバーも使ったことはない


そして
相談されるご夫婦や家族の意見が一致していない
そんなことも多々あります。

移住ってこれまでの生活や暮らし方が変わってしまう大きな節目です。

みなさんいろいろと悩んでいます。
たとえばAさんの場合
都内で10数年飲食店で修行し、私生活では結婚し
いよいよ自らのお店を始めたいなと考えた時
物件情報を見て賃料を確認し
それからリノベーション費用を算出し、
運営資金などを足し込み…
そして家族も増えているので家の家賃もあり、
ふーむ結構かかるな…と(悩)

きっと地元の方が家賃は安いだろうから
トータルコストは抑えられると思うけど
どこの不動産に相談すればいいんだろう?
なんか知っている人だったら気まずいな…

そもそもしばらく地元を離れているので
地元の今ってどんな状況なんだろ?
地元じゃない地方もおもしろそうだな…
けど、お客さんは都内の方が来てくれそうだし…(悩)

そんな時、地元のことについてゆる〜くお話する場
『足カフェ』というイベントに参加し
今の地元で活動している人たちと直接話をする。

すると、その人たちの暮らし方が
なんとなく自分とシンクロする。
自分のちょっと先が見えたような…そんな感覚。

次の足カフェは足利での開催。
これに参加するために
盆や正月などの帰省以外での久々の帰省。
実際に地元の人たちの暮らしを五感で感じる。
まちを案内してもらった時、挨拶を自然と交わす
都会では忘れていた、なんとなく知り合い感が
とても心地よく感じられる。
同世代で同業を営む人に会ってみる。
ライバルなのになぜか温かく
これまでモヤッとしていた地元での暮らし方が
リアルに感じられるようになる。
決して雑誌のようにかっこ良すぎない
自分で切り開いていけそうだなという
なんとなく道が見えてくる。そんなイメージ。


その上で、改めて不動産屋のHPで情報を漁り、
不動産屋に自ら行き、内見などを重ね…
ようやく移住となるわけです。

移住するってとても大変なものです。

移住相談を受けるこちら側にとっても
とても重い仕事です。
人の人生に寄り添うわけですから。

さて、そうやって時間をかけて
ステップを踏み、移住が決まる頃には
市の移住相談窓口だけではなく
先に移住した方や市内で活動する人などに
相談できるような関係が芽生えています。
家族でもない、クラスメイトでもない
地域の人に相談ができるそんな関係。

次の足カフェでは移住を考えている人に
自身の経験などから相談に応じる側に。

こうやって
緩やかなコミュニティが生まれています。

3.本当に必要なのは流出防止かも

とは言う間にも人口は減っています。
恐るべき速さで減っています。
移住が決まるまでにこれまでの感覚ですが
数年はかかるもの。
その間にも毎年高校を卒業し市外の企業へ就職
大学などへ進学した人たちが都内の企業などへ就職
という具合に転出しています。

例えると
釜飯をイメージしてください。


米を研ぎその上に、具材(海老など)を乗せていくが
釜だと思っていた入れ物は実は網目の荒いザルで
気がついたら大量に米が流出してしまっている。
そんな感じ。

入れ物は『市や地域』です。
具材は『移住者』
米は『この町で生まれ育った市民』です。

どーしたらいいか。

まずは、大学生に実際のところを聞いてみよう!
そこで大学生のフィールドワークや
インターンシップなどで大学生に会った時
大学生から事情聴取をしてみました。

Q1 地元と都内どっちに就職したい?

Q2 暮らすなら地元?都内どっちがいい?

大学生たちの反応はポカーンでした。

大学生は『地元』というカテゴリーを重要視して
就職先を探していません。

もちろんみなさん地元はあるのですが、
それは生まれ育った場所が地元であり
両親が暮らしいてるのが地元というだけであって
これまで学んできたことを活かせる仕事を探し、
就職先を探しており、結果として都内になる。
または大学のある場所で就職する。
もしかしたらたまたま探していた仕事が
地元で見つかるかもしれない。そんな感じでした。

たしかに。
さっきのquestionは移住担当の発想だったなと。

一方で
大学生と向き合いこちらの取り組みや悩みなどを
お話ししていると大学生は向き合ってくれます。

『とてもいい取り組みじゃないですかー』
『わたしも参加したいです!』
『もっと広めましょうよー』

そして、自分と比べるのもなんですが
今の大学生たちはとても賢く、純粋です。
とても大人の立場や考えを真正面からちゃんと
聞いてくれる。理解してくれる。
とてもありがたいものです。
となると、こちらも真剣です。

地域で様々な人と関わりたい
自らチャレンジしたいという
大学生たちの希望や夢を
叶えてあげなくてはなりません。

そこで、令和元年度地域おこし協力隊の拠点である
移住定住相談センターをふるさと支援センターとし
地域おこし協力隊が地域コーディネーターとなって
地域の人々と大学生をつないでいこう!と
地域体験・交流プログラムをスタートさせました。
・映像のまちってなんだろ?
・まちなか暮らしって?
・自然豊かな里山暮らしって?
・循環型農業って?
・アーティストが暮らしたいと思う環境って?
・空き家を活用した取り組みって?

などなど
実際に地域おこし協力隊が
地域の人たちと関わりながら活動している現場を
体験してもらう。
すると大学生たちは目をキラキラさせながら
喜んでくれました。

令和元年度 70名以上の参加。
令和2年度 コロナ禍ですがほぼ同じ数の参加です。

この流れは新型コロナウイルス感染症が拡大して
大学がオンラインとなっている中
今後更に加速していくのではないかと思います。

そこで
足利とのかかわり方サポートプログラム
『わがまちスイッチ』というパンフレットを
作成しました。

4.移住のその先

大学進学。
わざわざ知らない土地で一人暮らしせず
自宅もしくは地元のどこかの学習センターで
スマホや、PCを活用して、
自分の望んだ授業はきちんと享受する。
論文を書くための図書などは大学から送ってもらう
もしくは地元の図書館を活用する。
そして、地域はフィールドワークを
地元の企業ではインターンシップを
しっかりと地域・企業が受け皿となり行う。
そんな未来がすぐそこにあるような気がします。

地域の未来を創っていく
地域の子供達を、地域みんなで育てていく。


これが移住担当となり
5年が経過する中で見えてきた
移住の、その先です。

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