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製造業以外の社長も必見!         5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の本当の意味とは?①

経営戦略策定のご依頼をいただきました製造業でのお話です。

社長、執行役員にトップインタビューを実施、会社設立から現在までの簡単な経緯など様々なご質問をしました。

社風についてお伺いすると、お二人とも口を揃えて「うちは社員が自発的に何かをするという社風ではなくてね」とのこと。

人事的な問題を抱えているのかな、とイメージした上でその後、工場現場を視察。

皆さんコミュニケーション取りながら業務されているし、工程管理もしっかりできている。

人に問題ねえ、と思いながら工場をぐるっと見回ると通路に仕掛品が置かれていたり、壁に清掃用具のシールが貼られているのに清掃用具は作業台に立てかけられている。

5Sができていない状態でした。

5Sと人にどんな関係が?


1.5Sとは

5Sは、整理・整頓・清掃・清潔・躾をローマ字にしたときの頭文字がSで始まる5つの取り組みを表します。単なる片付けや掃除のことではありません。

5Sとは、仕事に必要なモノだけに絞り、仕事を行いやすくすることによって、職場の抱える課題を解決するための改善活動です。

(1)整理 (Seiri) - 不要な物を取り除く

整理は、必要なものと不要なものを明確に区別し、不要なものを捨てる作業です。

このプロセスは、作業環境を整頓し、無駄を排除することで効率性を高めます。

"1Sする"とは、この整理作業を指し、一般的に「整理をする」という意味で使われます。

整理を行うことで、作業場がスッキリとした状態になり、必要な物がすぐに見つかるようになります。

(2)整頓 (Seiton) - 物の配置を最適化する

整頓は、作業環境や場所にある必要なモノを整理し、必要な時に必要なモノを誰でもスムーズに取り出して使えるように整えることを指します。

"2Sする"とは、一般的に、整理と整頓の両方を行うことを意味します。

整頓された環境は、作業効率を高めるだけでなく、安全性や快適性も向上させます。

(3)清掃 (Seiso) - 場所や機械を清潔に保つ

掃除と清掃は異なります。何が違うのでしょうか?

それは、掃除とは、掃き汚れを取り除くという動作であるのに対し、清掃とは、掃き清めることをいいます。つまり、ただ形だけの意味のない掃除、隅々までやり遂げるという意志のない掃除は清掃とは言えません。

(4)清潔 (Seiketsu) - 整理整頓と清掃の習慣を維持する

整理整頓清掃(これを3Sといいます)された状態が心地よいと感じるようになると人は、それを維持しようとします。

清潔とは、汚れや異常を目立つようにして整理整頓を崩したくない気持ちを醸成し、維持させる心を育てることです。

表示方法などを統一して、規律遵守、一体感が感じられるようにします。
縦横や大きさ、色などが統一されていると、みんなが、ルールを守っていることを実感します。

(5)躾 (Shitsuke) - 規律を守る、習慣化する

躾とは、ルールを守ることを習慣化させて、お互いに信頼でき、協力し合う組織風土をつくりあげることです。

ルールは、文書で、ただ、示すのではなく、仕掛けによって、守る道具や、環境を用意します。

細かなルールをすべて記憶しておくことはできません。作業の中で守るべきルールが何であるか、わかるようにします。

自らチェックして、自ら直すことを、習慣化させます。
人に指摘されて直すのではなく、自ら正しい状態にしようとする気持ちを醸成します。

お互いに褒めて、称え合うことで、やる気を導き出して、成長させます。

2.5S活動の本質的な意味

5S活動も躾までくると見えてきた本質的な意味合い、それは「自らチェックして自ら直す」「自ら正しい状態にしようとする気持ちを醸成」することです。

つまり、自律した社員の育成にあります。

自律とは、自分を律することでいつでも誰に言われなくても、会社の方針や職場の決まり事を守って行動することです。

社員一人一人が自律して仕事をするようになることに5S活動の目的があり、これにより5Sの効果が現れてきます。

(1)5S活動が進まない理由

よくある「3S(整理、整頓、清掃)で止まってしまう」状態は中小企業においては良くある状況で、決して特別な状況でありません。

3Sは目に見える活動であり分かりやすいですが、これだけでは活動の効果は環境改善の域にとどまります。

本当に効果を得たいと思うのであればその先の清潔・躾まで進み社員の自律まで活動を展開することです。

①そもそもやりたくない

社員は変える、変わることを嫌い、積極的ではないことが多いです。

そもそも今のままで良いじゃない。とか面倒くさいということが本音だと思います。

②目的が明確でない

ただ単に、現場を綺麗にしましょう。というだけでは5Sの本質にたどり着くには程遠いです。

5S活動の先には何があるのか、5S活動をすると職場がどうなるのかなど、目的を明確にする必要があります。

③部下に丸投げしている

5S活動は個人で取り組むべきものではなく、全社一丸となって取り組むべきものです。

社長が陣頭指揮をとって進めるべき活動であるべきところ、社長が部長へ「やっといて」と指示を出し、部長は課長へ「やっといて」と指示を出し…。

これでは5S活動は浸透しないでしょう。

⑤ルールがない、ルールが守られていない

5S活動がなかなか定着しない最大の理由として、「ルールを守らない人がいる」「そもそもルールがない」ということが上げられます。

5Sの本質は「ルールを決めて、守ること」で、これが「躾」につながってきます。

捨てる、捨てないの判断が各自でできなかったり、モノの置場所が決まってなかったり、当番が決まってないから人任せ。

仮にルールを決めても全員が把握していなかったり、ルールを上司が守っていなかったり。

その結果、だんだんと活動に対する考えがユルくなって、フェードアウトしていってしまうことになります。


次回は5Sの浸透、定着。さらに継続する方法について記載します。

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