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【朗読】アオイヨル【ひとり声劇】

☆所要時間:約3分
☆人数 :1人用



世界はすぐに
行き止まりになってしまうと思っていた

だって私は
日が暮れれば
厳重な城へ戻らなくては行けないし

朝が来れば
学びの館へ閉じ込められる

その箱の中で
決められたルールに沿ってのみ
「自由」だと紐を解かれるのだ


もう
何処にも居たくなかった


私の声にならない悲しみは
誰にも届かない


ひとり
無限のような夜に
溶けてしまいたかった


門限を破った時点で
あとどれだけの「ワルイコト」をしたって
罪の重さは変わらないと思った


どうにかしたいのに
なんとかする方法も知らなくて
どうにもできなくて

こんなにも
無策で
無謀で

それでもここに
意味を求めることを
やめられない

私のように
暮れた街に漂っている人は
他にもいるのだろうか


充電は53%

ひとりぼっちの私を支えてくれるのは
音楽だけなのに

あと何分
その音色は寄り添ってくれるだろう


音が消えた夜には
何を指針にして歩けばいいのだろうか


切り離したはずの
罪悪感が肩を叩く

振り切るように見上げれば
すっかり暗くなった空が囁くんだ

「自由は、怖いかい?」


あたたかさが僅かに残った風が
湿った草の香りを届けながら
強ばる私の髪をなびかせた

私はギュッと
拳を握りしめ

ありったけの勇気を込めて
この先を睨みつけた


風だって 草だって 石ころだっていい

私はここに、意思表明をするんだ


私は、私が居たくない場所には帰らない。

私は、私で居られる場所で生きるんだ。


無知で無力な私には

先のことなど分からないけれど

それでも

この囲いを出ようと決めたから


私は生まれて初めて

夜の闇を抱きしめた


End


〜マコのひとりごと〜

それは、いつかの青い頃。


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