『「|甘甘デクレッシェンド《アマデク》」の』
ビビったビビったビビったビビった
マジかマジかマジかマジか
俺がガチのマジで推してる
「甘甘デクレッシェンド」の
ゆりんちゃんが
俺のバ先に来るって!
なんかテレビのロケで
うちの商品食べるらしい
うああああ!
店長に日付聞いたら
俺がシフト入ってない日
見に来ていいすかって聞いたら
邪魔だから来るなって
テレビ局にも
うちの本社にも
そう言われてるって
うああああ!
マジかよっつって
じゃあ俺シフト入ります
って言ったら
それは構わないけど
デレデレしたり
妙にタッチしたり
そういうこと少しでもしたら
◎すからなって言われて
ぜったいしませんからって
俺は宣言して
なんと見事に
アマデクの接客できることになって
うああああ!
ゆりんちゃんと話せる
さいこうかよ
--
熱が出た
当日の朝になって
40℃近い
熱が出た
でも俺は一世一代の
大勝負と思って
這いつくばって
バ先に向かった
そしたら店長が
そんな具合悪そうなやつ
表に出せないとか
言いやがって
まあそうかもしれないんだけど
オマエ普段なら
仮病で休むじゃんとか
正論ぶつけてきやがって
それについても俺はぐうの音も
出ないんだけど
とにかく俺はがんばるからって
無理やり店長の反対を押し切って
店頭に立ったわけ
ほんの10分くらいだったけど
ゆりんちゃんと近くに居られて
それからほんの一言だけど
お話もできて
マジで幸せだった
熱あることもすっかり忘れてた
カメラが止まったあとに
ゆりんちゃんのほうから
握手してきてくれて
俺はもう
◎んでもいいと思った
剥がされない握手が
こんなに幸せだなんて
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血の気が引いた
取材の日のシフト無事こなして
なんとか帰宅して
それで一晩寝たら
俺はすっかり治ったんだけど
ゆりんちゃんが体調不良で
その日から休養だって
ドームコンサート欠席だって
俺が40℃の熱あったってのは
俺と店長しか知らないから
店長から
ぜったい黙ってろよって
L1NE来た
言うわけねーだろ
でも俺の熱が
ゆりんちゃんにうつって
それでコンサート欠席って
なんか俺が独占してるみたいで
少し嬉しい
って話を
誰にも言うなよってことで
妹にだけ話したら
俺の思考回路が
めちゃくちゃキモいって言われた
◎ねって言われた
そんでソッコー
地元に広まった
店長からガチキレL1NE来た
俺もうバイト辞めたい