『ほんとはサンタさんなんて、いないんでしょ…?』
ほうら、待ってけどやっぱり来ない。
それに、気付いたらまた夏だ。
ほんとうにいるのかな、サンタさん。
僕はサンタさんを待って、指折り数えて、さんじゅうねんくらい経つよ、もう疲れたよ。
ねぇパパにママ…
ほんとはサンタさんなんて、いないんでしょ…?
そんなこときいても、無駄だってことはわかってる。
ねぇパパにママ…
どうしていつのまにか、亡くなってしまったの?
僕がサンタさんをまっているあいだに、僕のことなどおかまいなしに、天国へ、そっちには、サンタさんはいますか?
さいきん僕のところへ、しらない大人のひとが来る。
具合は大丈夫ですかって。
僕は健康だし、おばあちゃんがお金をくれるから大丈夫なのに。
そっか、おばあちゃんがこないだ入院したから、そのかわりか。
でもその大人の人は、ごはんも作ってくれないし、お金もくれない。
おばあちゃんのタンスのお金が、どんどんなくなるよ。
ねぇパパにママ…
サンタさんがいないのは、もう僕もうっすら気づいてる。
だから、お金をちょうだい。
おねがいだから。
(あとがき)
いつもの文体を崩してみました。
どうしてもこうじゃないと、この悲哀が出なかったので。
やきうで言ったらチェンジアップみたいなもんです。