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『っていう算段をしている』


出会って20秒で


「明後日にはまたニューヨークのオフィスに戻らないといけないから、時間が作れてよかったですよ」


落ちた


「あぁそうだ、もし親しくなったら…ですが、今度ニースの別荘に遊びに来ませんか。あるいはマイアミでも構いませんけど…」


うっとりとした表情で



「どうですかこのお店センスがいいでしょう?それに味も悪くない。実はウチの傘下なんですよ」


俺を見つめる彼女


「でもちょっと味付けが濃いかな。あとで注意しておきますよ」


玉の輿まっしぐら

っていう算段をしている


だから申し訳ないけど

不合格


カネ目当てのオンナは

願い下げだ


「ちょっと失礼…」


そう残して席を立つ


手洗いに向かうと思わせて

非常階段から

ダッシュで逃げる


虚言や誇張で信頼をなくし

ついには職まで失った俺


そんな自分に残されたシノギは

これしかなくて


ひとまず今夜も

腹は膨れた


明日の晩も

カネ目当てのオンナと

会う約束になっている


所詮は向こうもカネ目当て

こっちも生きるのに

必死なんだ

何が悪い


身バレが怖いから

そろそろ整形でもしないとな


費用は明日のオンナに

出させよう













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