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poconen
『居て、飲む人ら』
(これの続編です)
5155…
8702…
ここで飲むようになって
そろそろ半年になるか
6921…
0394…
熱燗なしには
なかなか厳しい時候
5408…
1870…
なんだかさいきん
清ちゃんが俺の耳元で
ぼそぼそと…
7673…
「あっ!」
暗証番号だ!
来る人来る人の
暗証番号を!
清ちゃんときたら
暗記しているのか!
「清ちゃんそれはよくないぜ!」
俺はたまらず口を開いた
はてなんのことやら
といった表情で
俺のほうを見返す清ちゃん
「それみんなの暗唱番号だろう?」
ちがうちがうとんでもないと
焦った表情を見せる清ちゃん
そもそもずっと遠巻きに
俺たちは飲んでるじゃないか
覗き見をしようがないでしょって
清ちゃんはそういう主張
「まぁたしかに…そうだな…」
俺たちは朝から晩まで
ATMの前に陣取って
安酒をくらっているけど
お金の人が来たとき
お金をおろす人が来たとき
そのときにはちゃんと避けて
もっとも
少し前までは
俺たちのことを警戒してか
お金をおろす人は
まばらだったけど
この秋くらいから俺たちは
風景に馴染んだおかげか
お金をおろす人も
訪れるようになった
6264…
9017…
まだ清ちゃんはぶつぶつと
例の数字を呟いている
2278…
4750…
「そしたらさ清ちゃん…」
5239…
1014…
「それ…何の数字なの?」
俺たちがATMから避ける先は
決まって古い電話ボックス
こっちはほとんど人がいないから
必ず空いていて
そこに置いてある電話帳を
片っ端から暗記して
清ちゃんは暗唱してたんだって
0297…
5382…
「清ちゃん…それほんと?」
ほんとだって言ってる
ほんとかなぁ