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『この国の偉大なる文筆家』


長きに渡る内戦の果て

我が国は焦土と化した


およそ文化はおろか

文明は失われ

生き延びたは良いものの

露頭に迷う人々はどこへ


かくいう私もそのひとりで


かつては文学を愛すも

徴兵に駆り立てられ

思考回路を半ば破壊されて


もはや私は呼吸をして

食事をして排泄をして

睡眠をして

そんな惰性を繰り返す

なにか




とある極東の島国が

難民を受け入れるという


その一団に私は運よく

紛れ込むことができた


私の学びが乏しいゆえ

この国についての予備知識は

斜陽国家と揶揄されていること

それくらいしかなくて


とにかく温かい部屋と食事と

清潔な衣類と

何より身の危険に

晒されることのない生活を

手に入れることが

できたというわけ


そろそろ落ち着いてきた

きょうこのごろ


この辺鄙な島国の

妙に成熟した文化にも

興味が沸いてきて


それはかつての私のような

文学青年の精神活動を

再び呼び起こすのに

充分すぎるほどであった


何を差し置いても

私は推したい


まだほとんどの国民が

知らないようであるが

私は外国人ましてや

難民であるにも関わらず

その存在を知り

その偉大さに

恐れおののいている


あぁどうして読めたかというと

この難民受け入れ施設で

懇意となった

ボランティアスタッフが

ぜひにと翻訳して

勧めてくれた結果


紹介しよう


この国の偉大なる文筆家


甘枝ゆとり


いまはどうやら

夜と朝の間に

いるらしい


ピーターじゃないんだから




ほんとうは私も

noteに投銭をしたり

もっと金銭的に余裕があれば

出版費用などを提供したいが

それはまだまだ先の話


とにかく毎日繰り出される

薄暗くて滑稽な作文

その数々は

きょうも私を

魅了してやまない


あぁ我がこころのよりどころ

大日本末期文学よ永遠に















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