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『そういうところだよ?』


パパはわたしの発言を耳にした途端

フォークとナイフをパタリと止めて

ハの字にお皿へ置いて


そしてそれならば

おまえの意志は尊重するし

気持ちの奥では応援するが

経済的な支援は一切しない


また

帰郷を許さないのはもちろんのこと

連絡も絶つ

と言って退けられた


別にかまわないけど


というのが

そのときのわたしの思い


そりゃ他よりは多少は裕福でしょうけど

こんな田舎町で

ろくに外出も認められないから

友達も作りようがない


いっそのこと都会に出て

自由になるんだ

って

思っていたから


パパ

今までひとりで

わたしを育ててくれてありがとね


実はね

パパはもう何年も会っていないどころか

連絡すらしていないみたいだけど

わたしは

ママと仲良し


だから都会のママの…

いいえ

別のパパの

おうちに行くんだよ


とまではさすがに言えなかった


貧しい思いをしても

せいぜい頑張るから

って

そう伝えて


お夕食を頂いたあと

荷造りの仕上げを済ませるために

早々にお部屋へ戻ったの


気になってリビングを覗いたら

パパはテーブルに伏して泣いていて

わたしもつられそうになったけど


ほどなくすると玄関のベルが鳴り

いつものオンナのご登場


泣き顔は晴れて

早々にパパのベッドルームに消えていく


ねぇパパ

そういうところだよ?













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