みっことさかみち団地⑤
「みっことヒカルくん」
みっこの家のちかくで、赤ちゃんがうまれた。
団地にはたくさんのちいちゃいこどもがいるから、みっこはおねえさんになったきぶんだ。
「ヒカルって名前なの。仲良くしてね。」
道ばたで出会ったヒカルくんのお母さんは、そう言ってにっこり笑った。
ヒカルくん、ヒカルくん…
からだがピカピカひかっているのかもしれない。
みっこはまだ顔を見たことのないヒカルくんのことをたくさんそうぞうした。
きっと手も足もちいちゃくて、ぴょこぴょこうごくんだ。
えーん えーんっていっぱいないて、おっぱいたくさんのむんだ。
ふわふわで、あったかいんだ。
生まれたばかりでまだ会えないのだけど、みっこはウキウキしながらふとんへもぐった。
その夜、みっこはゆめをみた。
まっくろなうみのなかを、ヒカルくんはスイスイおよいでいた。
目はおおきくて、くちはキュッとしている。
からだはちいちゃいのだけど、おさかなみたいにおよぐから、うみいっぱいにヒカルくんがいるみたいだ。
りくのせかいで あおうね
みっこおねえちゃん
ヒカルくんはうみのなかで、くちをパクパクうごかしてわらった。
からだからピカピカひかりが出ていた。
目がさめると、ヒカルくんの手をにぎっていたみたいにみっこの手もまるまっていた。
カーテンのすきまから、ちいさくおひさまがのぼってきた。
きっと ヒカルくんとなかよしになれる
みっこはうれしくなって、手をギュッとにぎりまた目をつむった。
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