泣きべそ革命

失敗はしょっぱい涙の味。

最後に泣いた日を思い出せるだろうか？
それも、涙腺がバグを起こしたかのような号泣を。

私は気持ちを内に内に押し込める癖がある。
無意識にその作業を積み重ね、ある日突然気持ちが爆発する。

今でこそ、そんな自分に目を向けコントロールが多少できるようになったが、この溜め込み癖は大切な人の前ほど発揮してしまう。

あぁ、これが拗らせってやつか！
まぁいい、目を背けず分かっただけでも花丸だ。
と、褒める基準は低めに設定。
セルフ叱咤激励だ。

この癖はまるで猫背のように、矯正してもスルっと元に戻りやすいので目下訓練中。

そんな訓練生、久々に暴発。
パートナーの呟いたひと言で、訓練内容は全て忘却の彼方へ。

よくよく振り返ればいじらしい本音が隠れていたものの、さすが訓練生そこは見事に見落とす。

ものすごく失礼なことを言われた！
腹立たしい！悲しい！私ばかみたい！！

この感情が、サザエさん本日の3本柱ばりに突き上がり、どうにもこうにも制御できない。

ウッウェェェェェン！！！
大の大人が、床に体操座りをして鼻水を垂らしながら大号泣している姿はなかなかに異様だ。

泣き始めると止めどころが分からず、もう何が原因で泣いていたのか分からない。

「あのさぁ！えぐっホントはさぁ！！」
恥も外聞も捨て、布の服一枚でフィールドを飛び出した訓練生。

嗚咽を交えながら途切れ途切れに伝えた言葉は、なんとか相手の耳に入ったようだ。

困り果てながらもボソッと返事したパートナー。
あれ？いまなんかすごく良いこと言ってなかった？

聞き取ろうにも自分の嗚咽がうるさくて聞こえない。
「うぐっえぐっ…さっき…なんて？」

モソモソ…ボソッ

ようやく返事が耳に入り「お主それを先に言えよぉぉぉぉ！」とまた涙が出る。

もう、大暴発。
気持ちコントロール なんて言葉は雲散霧消。
真に受けない☆聞き流す♪等の実体験を供わない付焼き刃はすぐ折れるものだ。

ただ、この大暴発がなければ自分と相手の本音も引き出せなかった。

日頃から感情にフタをしないことはもちろん大切だ。
だけど、それが上手くできない自分を責めなくたっていい。
できないもんは、いきなりはできない。

自転車のように、繰り返し練習して身体でコツを掴むしかない。

今日もダメだった と落ち込んだ時には、ここに暴発した訓練生がいることを思い出してほしい。

幾万通りのセオリーも、鼻水大洪水裸一貫アタックも、嬉しくなる結果が最終的に手の平に舞い落ちたら儲けもんだ。

ぶつけられる相手がいなければ、失敗も学びも得られなかったのだから。

そんな経験のあとこそ、コミュニケーション指南書の言わんとすることが体感としてわかるのかもしれない。

考えるな！感じろ！
を身を以て体験した令和の秋。

本日も訓練生はフィールドへ足を踏み出す。

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