MAKIBRI

voice blue sky peaceヒカシュー巻上公一によるnoteです。

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マガジン

  • MAKIGAMINEWS スケジュール

    巻上公一 関連のスケジュールを掲載しています。

  • みんな旅をしてる

    マジカル・ヒカシューツアー!! フリーペーパーZipang Newsに連載中! 2013年12月から現在まで  ヒカシューやぼく個人の 海外の旅の話を書いています。

  • ヒカシュー

    ヒカシューのさまざま

  • 真帆片帆

    追風で走る真帆、横風を受けての片帆。 他のマガジンとは別テーマを集めました。 p.s. 嘗ての1970年代小田原高校新聞一面のコラムの名から取りました。

  • 虚空を掴む

    こぼれてしまった ことばをあつめてみる

最近の記事

巻上公一6月のスケジュール(2024)

5月3日から2週間ほど、スコットランド、イギリス、フランスに行ってきた。 グラスゴーでは、指揮者のイラン・ヴォルコフが企画するTectonics Glasgowに出演。 BBCスコットランドオーケストラの本拠地の中にいくつか会場がある。 オーケストラと即興演奏のフェスティバルというのは、珍しい。 ぼくは、ベテランのドラマー、Roger Turnerとのデュオが組まれていた。 場所は、 Old Fruits marketというかつての古い市場跡で、とても雰囲気のあるところ。 ロ

    • 88.「オルタナティブ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動」

       神田末広町近くに3331 Arts Chiyodaがある。2010年に、旧千代田区立練成中学校を改修して誕生したアートセンターである。  3331って妙な名前だなって思ったが、シャンシャンシャンという江戸一本締めから取ったとのこと。三回手を打つことを三度、合わせて「九(苦)」となり、最後の“シャン”でその苦を払い、「九」に一画加えて「丸」になる=丸くおさまる - おめでたい席で感謝の意を表す風習だそうだ。さすが江戸の神田である。これは、災難除けの九字切りも連想する。  

      • 87.JAZZ ART せんがわ番外編「輝け即興大作戦」

         先日、JAZZ ART せんがわ番外編「輝け即興大作戦」というイベントを、調布市仙川のフィクスホールで2022年の2月に3日間開催した。  これは東京都がコロナ禍のイベントを支援するために企画した「アートにエール」の一環として行われた。コロナを理由に、ライブの延期や人数制限を強いておきながら、ライブを応援するという、ジレンマに満ちたものであるが、少しでもミュージシャンの助けになるのであるならば、ありがたいものだ。  JAZZ ART せんがわは、年一のイベントで、調布市せ

        • 86.ヒカシュー『虹から虹へ』

           今月(2022年)は、先月だけど出たばかりの自分のバンド、ヒカシューの新譜の紹介をする。年越してしまった・・。  タイトルは『虹から虹へ』 英語タイトル「LA LA WHAT」。  前作から丁度1年。25枚目のオリジナルアルバムである。昨年の「なりやまず」は、コロナ禍のはじまった頃にエストニアで録音した。「なんてこった」という事態を反映したアルバムになっていたかと思う。  吉祥寺のスターパインズカフェで、ヒカシューは月一で(無観客とかもあったけれど)ライブを続けてきた。  

        巻上公一6月のスケジュール(2024)

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        記事

          85.クリスチャン・マークレーと小田原で

           美術家のクリスチャン・マークレーは、ニューヨークの音楽シーンでジョン・ゾーンと共に活動した。70年代後半、ターンテーブルを楽器としてステージに乗せた先駆者としても知られている。ブロンクスでヒップホップが誕生したのとほぼ同時期であるが、アプローチが異なる。クリスチャン・マークレーは、ダダやジョン・ケージからの影響で、レコード盤を扱い、サウンドをコラージュしていた。  東京都現代美術館ではじまった大規模な国内初の個展「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]

          85.クリスチャン・マークレーと小田原で

          84.世の中の理解というものは、誤解からはじまる。

           長野県の松本といえば串田和美である。  20年わたり、まつもと市民芸術館の芸術監督を務めてきた。縦横無尽なプログラムを企画。自ら出演し、演出し、クラリネットを吹き、ポスターのアートワークまでもこなしてきた。  その串田和美は、現在79歳(2021年のこと)。あと2年で芸術監督を引退することを発表した。後進のために継続可能な演劇を中心とした手作りのフェスを何か残そうと、フェスタ松本なるイベントを立ち上げた。2021年の秋、市内各所で29のイベントを10月の10日間で行うという

          84.世の中の理解というものは、誤解からはじまる。

          83.ホルストの水星にたどり着く。

           埼玉県の富士見市に市民文化会館きらり☆ふじみがある。開館20周年を迎えた事業のひとつとして、毛色の変わったコンサートを企画したいとのことで、ぼくに出演のオファーが来た。2021年のこと。  新しく就任したふたりの芸術監督田上豊と白神ももこの企画は、『モガ惑星』というタイトルだった。 七つの惑星を大編成のオーケストラによって壮大に描く、ホルスト作曲の組曲『惑星』を主題にして、ときいた時、ぼくはそのオーケストラのどこに参加するのだろうかと考えた。 「巻上さんには、水星を担当して

          83.ホルストの水星にたどり着く。

          82.カバコフは、「夢見ること自体に意味がある」と言っている。

           新潟の松之山温泉に泊まった。ここの温泉は、通常の火山性の温泉ではない。1200万年前の化石海水だという。  世界一の豪雪地帯としても有名な松之山の濃度の高い温泉に浸かる。  毛穴という毛穴に太古の海水がしみ込んで、肌はいつまでも温かい。  700年ほど前に、一羽の鷹が毎日同じところに舞い降りるのをみた猟師が、こんこんと湧き出るお湯を見つけたということで、鷹の湯と呼ばれている。   コロナのせいで露天風呂はぼくひとり。大自然の湯を独占できたが、都会もさぞかし大変だろうが、地方

          82.カバコフは、「夢見ること自体に意味がある」と言っている。

          スコットランド、イギリス、フランスに行ってきた。2024年

           5月3日から2週間ほど、スコットランド、イギリス、フランスに行ってきた。 グラスゴーでは、指揮者のイラン・ヴォルコフが企画するTectonics Glasgowに出演した。  BBCスコットランドオーケストラの本拠地のビルの中にいくつか会場がある。オーケストラと即興演奏のフェスティバルというのは、かなり珍しい。  ぼくは、ベテランのドラマー、Roger Turnerとのデュオでの参加だ。  場所は、 Old Fruits marketという古い市場跡で、とても雰囲気のあると

          スコットランド、イギリス、フランスに行ってきた。2024年

          81.オノマトペがざくざく

           日本語にはオノマトペ(擬音語、擬態語)が多いとよくきく。ぱらぱらといろんなものを読んでいると、擬音語もさることながら、擬態語がざくざくあるのだそうだ。  CM作曲家の桜井順は、面白い本を書いている。「オノマトピア―擬音語大国にっぽん考」である。軽妙な文章で、古事記の天地混沌をかきまわす音「コヲロコヲロ」から野坂昭如の「ジンジンジンジン血がジンジン」まで登場する。  桜井は、「オノマトピア」とは「オノマトペ=擬音語」と「ユートピア=理想郷」の合成造語である。と言っている。「オ

          81.オノマトペがざくざく

          80.イリヤ・カバコフの作品に会いたくて

           緊急事態宣言がでようとしている頃、越後妻有で開催している大地の芸術祭のイリヤ・カバコフの「16本のロープ」の特別先行展が見たくて、スターパインズカフェで毎月公演しているマンスリーヒカシューの後、吉祥寺に一泊して、関越道を走った。  昼頃に津峡渓谷トンネルに到着。トンネル全体がアート作品になっているマ・ヤンソン/MADアーキテクツ「Tunnel of Light」をまず見学した。全長750mのトンネルは、赤、青、緑とライトが変わり、途中には合わせ鏡のインスタレーションがあり、

          80.イリヤ・カバコフの作品に会いたくて

          79.レディー・ガガの金色のマイク

           ワシントンで行われたバイデン新大統領の就任式典で、レディー・ガガが国歌を歌った。赤いスカートに、長袖の黒い上着、和解への希望を示したという巨大な金色の鳩のブローチ、そして金色のマイクに金色のコード。 「あれは、どこのマイクだろう」  なんとなく自分も使っているゼンハイザーのe935(単一指向性、ダイナミック)に似ているので、たぶんゼンハイザーには間違いないだろうと思い、「レディー・ガガのマイク」で検索をかけた。どうやらゼンハイザーは合っていた。だが聞き覚えのないMD43

          79.レディー・ガガの金色のマイク

          78.テルミン100年を記念して

          テルミンを演奏して何年になるだろう。 シンセサイザーの生みの親であるボブ・モーグ博士が、1996年にEtherwaveという名で、コンパクトで存分な性能を備えたテルミンをbig Briarブランドから発売したのを聞きつけた。注文したのは、翌年あたりだろうか。製造番号は50番だった。  テルミンは、ソビエトのテルミン博士が100年前に発明した世界初の電子楽器である。当時ニューヨークでも話題となり、クララ・ロックモアの素晴らしい演奏で、数々の映画音楽に使われている。  19

          78.テルミン100年を記念して

          ヒカシュー45周年座談会

          ヒカシューの45年は着実な歩みの積み重ねだった。その間ヒカシューは、解散も休止もなく、毎年活動を続けていた。そしてその歩みは、世界的な大事件にあっても止まることはなかった。 前回の40周年と同じ場所、同じ顔ぶれで行われた座談会は、この5年間を振り返るものになったが、それは自然と、あの出来事に触れるところから始まった。 (聞き手 安達ひでや) ――40周年の座談会から5年が経ちましたが、その間に大変な出来事が起きました。新型コロナウィルスの流行によって世の中が一変し、ヒカシュ

          ヒカシュー45周年座談会

          5 旅人は誰もが、文化大使である

           黒澤明監督の映画「デルス・ウザーラ」は、ロシア人探検家アルセーニエフのシベリア探検記で、案内役の猟師デルスとの交流を描いている。設定では、デルスは先住民ゴリドであるが、デルスを演じた俳優マクシム・ムンズクは、トゥバ人である。  そのことを知ったのは、1995年にロシア連邦トゥバ共和国を訪問した時だった。ソ連邦の崩壊から4年。まだ新しいロシア連邦には22の共和国があることすら、ぼくは知らなかった。  ソ連時代の唯一の飛行機会社アエロフロートが分割されて、いくつかの飛行機会社が

          5 旅人は誰もが、文化大使である

          2 海の嘆きを映すランプシェイド

           何年前だったのか、「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展という美術展をみた。そこに知り合いのヨーガン・レールが参加していた。残念ながら展覧会の少し前に急逝してしまい、この展覧会が遺作展のようになった。  ポーランド生まれのドイツ人ヨーガン・レールは、ナチュラルな素材の着心地のいい服のデザイナーとして知られ、「ヨーガン レール」「ババグーリ」というふたつのブランドを持ち、オーガニックな野菜中心のメニューの社員食堂はつとに有名だ。彼は石垣島に暮らしていて、海岸に流れ着

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