見出し画像

80.イリヤ・カバコフの作品に会いたくて


 緊急事態宣言がでようとしている頃、越後妻有で開催している大地の芸術祭のイリヤ・カバコフの「16本のロープ」の特別先行展が見たくて、スターパインズカフェで毎月公演しているマンスリーヒカシューの後、吉祥寺に一泊して、関越道を走った。
 昼頃に津峡渓谷トンネルに到着。トンネル全体がアート作品になっているマ・ヤンソン/MADアーキテクツ「Tunnel of Light」をまず見学した。全長750mのトンネルは、赤、青、緑とライトが変わり、途中には合わせ鏡のインスタレーションがあり、突き当たりは、薄く張られた水面と突き当たりの景観が相まって、鮮やかな光の映像に出会う。
 たぶんここだけ見ても、かなりの満足感が得られると思う。
 それぞれの展示が、離れたところにあるので、クルマで回らないととても見ることができない。トンネルから、クルマでジェームス・タレルの「光の館」まで、30分かかる。泊ることもできるアート「光の館」は、ジェームズ・タレルの作品。伝統的な日本家屋に光の作品を融合し、瞑想するための空間としてつくり上げられている。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』に想を得た作品で、屋根が動くところが、驚愕の作りだ。
 2000年に発表以来、現役なのだから、しっかりと作られ、管理されてきたのは、素晴らしい。コロナ禍の平日としいうこともあり、来館者は、ほかになく、開かれた屋根の四角く空いた青空を存分に味わうことができた。
 それにしても、2000年に第一回大地の芸術祭がはじまって、十日町の野外コンサートに出演して以来、大地の芸術祭に多く関わってきたが、ネット上に、その痕跡が現われない。大地の芸術祭のサイトでは、音楽はないことになっているようだ。これはとても残念なことだ。
 ぼくの記録では、山下洋輔、梅津和時とHOBOサックスカルテット、巻上公一、天鼓、 堀川久子、金井英人ユニット、内海信彦、アンサンブル・トゥバクィズィ、 十日町大太鼓、新保広大寺節保存会が出演。司会は何故か女優の真野響子だった。
 2003年には、ぼくがオーガナイズして、「北東アジア音楽祭」をマウンテンパーク津南で開催した。その年の春に高橋悠治から電話があって、北川フラムが「北東アジア音楽祭」をやって欲しいと言ってるんだけど、巻上くんのが詳しいかと思って・・云々。
 結局、高橋悠治は、会場にピアノがないという理由で参加しなかったが、程農化(二胡) 、包興安(馬頭琴) 、磯嶋恵美子(ムックリ)、鄭明子舞踊団などが参加してくれた。これもサイトに記録されていない。悲しいことだ。この年は、2回目の開催で予算も半分に削られていたようで、お金のない中で、こちらも協力して開催したのだから、是非、アップしていただきたい。
 そして、目的のまつだい郷土資料館に到着したのだが、なんと火曜日と水曜日は、定休日。お目当ての「16本のロープ」は見れなかった。その代わりイリヤ・カバコフの作品「棚田」が、修理中であるところを見れたのは、貴重ではあるが。

 2021.4
巻上公一


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?