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88.「オルタナティブ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動」

 神田末広町近くに3331 Arts Chiyodaがある。2010年に、旧千代田区立練成中学校を改修して誕生したアートセンターである。

 3331って妙な名前だなって思ったが、シャンシャンシャンという江戸一本締めから取ったとのこと。三回手を打つことを三度、合わせて「九(苦)」となり、最後の“シャン”でその苦を払い、「九」に一画加えて「丸」になる=丸くおさまる - おめでたい席で感謝の意を表す風習だそうだ。さすが江戸の神田である。これは、災難除けの九字切りも連想する。

 その地下に佐賀町のアーカイブがある。

 佐賀町アーカイブとは、佐賀町エキジビット・スペースの活動と資料、作品コレクションを検証するためのショーケースとして2011年に設立されたものである。

 1983年、小池一子が江東区佐賀町に開設した非営利のオルタナティブ・スペースが佐賀町エキジビット・スペースである。

 なんとも趣のあった1927年竣工の近代建築「食糧ビル」の3階をリノベーションし、展示スペースにしいて、「いま生まれつつあるアートを発信しよう」というコンセプトのもとに、森村泰昌、杉本博司、廣瀬智央、内藤礼、大竹伸朗などのアーティストを積極的に紹介した。まさに日本におけるオルタナティブ・スペースのはじまりだった。

 その中心人物、小池一子の活動を振り返る展示会が、「オルタナティブ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動」というタイトルで、3331 Arts Chiyodaで開催されている。

 ぼくは、佐賀町で1987年に「なにもかも踊れ」というパフォーマンスをロンドンのロイヤルバレエ出身の振付師ニコラス・ディクソンと美術家の小竹信節とともに上演した。それから「OPEN WIDE」という催しで、建築家のキャサリン・フィンドレーの作品に音楽を付けた。そんな縁であるが、今回は、小野真弓監督による「小池一子ドキュメンタリー」の音楽を担当した。

 小池一子は、西武デパートや、パルコ立ち上げ時の宣伝コピー、そしてアートディレクターであり、無印良品のコンセプトを作った。

 なぜぼくが小池さんと知り合いなのか。それはわからない。


小池一子さんと

巻上公一


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