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映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のこと

原題:Black Panther: Wakanda Forever
公開:2022年

前作は4回目を観たばかり。今作は消化不良や御都合主義も否めないが、色色な想いや考えを巡らせる濃密な時間を体験できた。喪失と継承。憎悪と慈愛。破壊と調和。現実と虚構。

あらためてチャドウィック・ボーズマンに哀悼を捧げます。

🛑ここからネタバレ🛑


🟣唯一無二のティ・チャラの喪失とどう寄り添い受け継ぐのか。成長したシュリを筆頭に、彼女や彼らが間違いながら藻掻きながら真摯で誠実な姿を見せてくれた。ティ・チャラをシュリが、チャドウィック・ボーズマンをレティーシャ・ライトが簡単に受け継ぐことはできない。辛苦を振り払えず不安定で不格好なありのままをさらけだし寄り添ってゆく、というメッセージ。珠玉はラスト。シュリが即位儀礼を欠席してひとりハイチの海辺で涙を流す。ナキアの子、兄の忘れ形見と出逢う。私の心も熱くなった。

ワカンダでは死は終わりではない。
ワカンダでなくともそう唱えたい。

🟣MCU映画で初めて国と国の戦争(規模はともかく)を描いたのでは?
シュリとネイモア。ワカンダとタロカン。共感、交流、協調できたはずの国同士が略奪と殺戮にまみれる。戦いたくない者まで最前線に送る。ワカンダの闇が浮き彫りにされたなか「ワカンダ・フォーエバー」の掛け声が時々虚しく聴こえたのは私だけだろうか。

家族を守りたい、家族の敵を討ちたい、育った故郷を救いたい、先祖の尊厳や子孫の未来を汚したくない。そういう正当な理由で誰かの親や子や友や愛する人を殺しあうのが戦争。ナキアがシュリを救うために殺したタロカンの少女、やさしそうだったのに。

おそらく撮影時に起きていなかった「現実」とのリンク。映画で結ばれた終戦協定は「現実」ではあってほしくてもありえないから哀しさが跳ね返る。


🟣気になったあれこれ
・前作のヒロイン エヴェレット・ロス再登場に喜び。でもヴァルが元妻でCIA長官にびっくり
・タロカンをもっと掘り下げてほしかった、でもCG制作費が
・米国潜入で一般人に混じったオコエとシュリの画の強さ
・ラモンダの焦燥はわかるが、オコエを叱責して解任したのは寒々と
・アイアンハートはシュリと同性同年代ギークとして貴重。手作りアイアンスーツはおいくらするの、富豪パパでもいるの
・キルモンガーさん!俺たちのキルモンガーさんが!なるほどこの再演は巧い、ぞわっとなった
・好戦的なエムバクが「戦争はしたくない」と訴え、シュリが却下する。残酷な時の流れ
・シュリがネイモアに槍で貫かれたのに回復反撃できたのはブラックパンサーの能力?


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