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夢幻鉄道 君と見る景色

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夢幻鉄道 キングコング西野さんの未発表の絵本の二次創作を書きました。ホスピタルアート活動をテーマにした小説です。https://note.com/maki0806/n/n1ef2… もっと読む
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記事一覧

夢幻鉄道 君と見る景色 1

夢幻鉄道 君と見る景色 1

 連載小説です。今取り組んでいるホスピタルアート活動をテーマにした小説になります。マガジンに追加していき、マガジンをフォローいただけると追加が通知されます。

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夢幻鉄道 君と見る景色

 駅のホームに緑の電車が停車した。すぐに車両に乗り込み、端の空いていた座席に僕らは座った。すぐに僕は鞄から本を取り出し、母さんは手に持っていた電話の画面に視線を落とす。この

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夢幻鉄道 君と見る景色 2

夢幻鉄道 君と見る景色 2

  連載小説。マガジンに追加していきます。1はマガジンから見れます。

 
 こっそりと学校の音楽室横にあるトイレで腹痛を素早く解決した。ここは授業終わりには誰も入って来ない穴場スポットだけど油断は禁物。ビクビクしながら今日も終わらせた。手を洗い、さっと廊下に出る。良かった、見つからなかった。ここでやっとほっとする。とぼとぼと下足に向かう。ある程度みんなもう帰っているからか、人はまばら。靴にはきか

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夢幻鉄道 君と見る景色 3

夢幻鉄道 君と見る景色 3

 連載小説になります。 
 マガジンから前回分が読めます。

 月一回の通院が楽しみになった。

 僕は検診が終わるとアスカが待っている所に直行する。アスカは先に席に着いていた。
「お待たせ、待った?」
「ううん、今来たとこ。診察終わり?」
「うん、終わり。いつも通り」
「注射、痛かった?」
「そりゃあ、ね。痛いよね」
 アスカの前では本音が出せる。
「頑張ったね、えらい!」
「ありがとう。アスカ

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夢幻鉄道 君と見る景色 4

夢幻鉄道 君と見る景色 4

連載小説です。前回はマガジンから読めます。 

 僕は今日も、順番が来るまで本を読む事にした。3冊のうちの、まずピンクのぽっちゃりクマさんが主役の本を選び、ページを開いた。
 青々とした木々が目に入る。壮大な大自然がここにある。僕はこの絵が大好きだ。出てくるキャラクターはみんなかわいいし、そしてそれぞれ魅力がある。クマはおっとりしているだけに見えて、実はとんでもなくかっこいいし、友達を助けるシーン

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夢幻鉄道 君と見る景色 5

夢幻鉄道 君と見る景色 5

 連載小説です。
 マガジンから初回から読めます。

 検診が終わると、僕らはエレベーターで別の階に移動した。そこに入ると、もう友達のエル君がお母さんと待っていてくれた。
「久しぶり!」
「久しぶりだねー」
 嬉しくて大きな声をあげた。
 アスカを通じて最近仲良くなった彼も、同じくここで寝泊まりしていた。
 エルというのは本名ではない。名前は全然違うものだけど、好きな漫画のキャラクターの名前で呼ん

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夢幻鉄道 君と見る景色 6

夢幻鉄道 君と見る景色 6

 連載小説です。
 マガジンから初回から読めます

 僕は、茶色の天井を見上げていた。布団に入ってからどれだけ時間が過ぎたのだろうか、時間を推測しようと、窓を見た。その窓から光はまだ届いている。これにより、夕方ではないのは確か。まだ夜にもなっていない。
 目はつぶるが、意識は消えてくれはしない。寝たいのに寝れない。腹痛と全身から力が抜ける苦しみが、寝る事を許してくれない。
 僕はこうやって体調が悪

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夢幻鉄道 君と見る景色 7

夢幻鉄道 君と見る景色 7

 連載小説です。
 マガジンから初回から読めます

 家のチャイムが鳴った。
 ドアを開けると、エル君が立っていた。
「あれ?もう退院したの?」
「うん、そうだよ」
「手術はどうしたの?」
「大丈夫。それより、海に行こうよ?」
 エル君はそう言って僕の腕を掴んだ。
「え、今から?」
「そうそう!」
 そのまま僕は家から出た。
「ちょっと待って、お母さんに言わないと」
「いいから、いいから」
 エル

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夢幻鉄道 君と見る景色 8

夢幻鉄道 君と見る景色 8

 連載小説です。マガジンから初回から読めます

 僕らはめいいっぱい遊んだけど、やっぱり母さんに出掛けているのを伝えていないのはまずい事に気づき、それを伝えると「そうだね、そろそろ帰ろうか」となった。

 少し歩くと電車が視界に入った。僕らは車内に飛び乗り、空いている席に座った。ほかの席は人で埋まっているけど、またしても静か。みんな、友達同士ではないのかな?どうしてお喋りしないんだろう。喋りたくな

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夢幻鉄道 君と見る景色 9

夢幻鉄道 君と見る景色 9

連載小説です。マガジンで初回から読めます。

 エル君の見たい生き物を今すぐに見せたくなった。じゃないと、もう二度とエル君に会えない気がした。嫌だ、お願いします。
 目をつぶってそう祈った。

「わー!すごーい!」
 エル君が叫んだ。 
 あわてて目を開けると、壁の一角に海の写真が現れていた。どうやって?と驚いた。さっきまで何もなかったはずの壁に、写真が沢山ある。魔法?夢?けど、きっとここは少し変

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夢幻鉄道 君と見る景色 10

夢幻鉄道 君と見る景色 10

 連載小説です。マガジンで初回から読めます。

 走りに走った。病院の廊下を走るなんて普段なら絶対怒られるけど、今はそんなの関係ない。誰も僕を止められない。角を曲がるともうアスカの部屋になる。もうすぐだ。
 部屋の前にたどり着くと、ドアの横に「面会不可」という札が目に入った。
 そんなの、関係ない。
 勢いよく僕はドアを開けた。
 誰もいない。
 けど、少しも驚かない。なんとなくここにはいないと予

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夢幻鉄道 君と見る景色 11

夢幻鉄道 君と見る景色 11

連載小説です。マガジンから初回から読めます。

 アスカは、「疲れた」と言って泣いた。その気持ちが手にとるようにわかるから、僕は言葉に詰まった。疲れた、よね。僕も口には出さないけど同じく思っていた。いつまで続くかわからない検査、何度も何度も受ける注射、減る事を知らない薬、もう、うんざりだ。全部もうしたくない。僕はアスカにどんな言葉をかけたらいいのだろう?ここでお別れはしたくない、そんなの嫌だ、けど

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