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『オーバーヒート』

哲学者・千葉雅也氏の著作。二作収録されているのだけど、それを知らなくていつの間にか終わった一作目。二作とも読み終えた後も気づかず「変な終わり方だなあ…」と思ってすみません(笑)

文体がぼくの思考に馴染むまでは異物を身体に接種している感じがしたけれど、慣れてしまえばパンキッシュな文体が心地よくもあったり。

内向的な主人公は自らの内側に湧き上がる言語の海に溺れている。
それをそれらしくパッキングしてツイートして吐き出す。ある種のマスターベーション。勝手に共感を覚える。

彼は同性愛者であり、ただ落下していくように生活する。オーバーヒートして路肩に停車した車のように、往来する車たちが無いもののように高速で往来する。最後には、淡水魚が海水にうまく適応するように、車線(=世界)に合流したように感じるエンディングだった。


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