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教育に焦点を―奈良の学習法に学ぶ

2023/5/25(木):教育に焦点を⑥
 今日も開いて下さってありがとうございます。
 木曜日の今日は子どもたちの教育について考えておきましょう。

 今日は前回に引き続き、実践家の気付きの中から学びを得ていきましょう。

ほんとうに子どもを育てるとは?―奈良の学習法

 大正時代から「ほんとうに子どもを育てるとはどういうことか」と問い続け「自分で自分の学習を創っていく子どもを育てる「奈良の学習法」の実践・研究に取り組んでいる学校があります。それが奈良女子大学付属小学校であり、その中心的な教師が小幡肇(おばたはじめ)という人物である。
 奈良の学習法の特徴的なポイントは「他律的教育から自律的教育へ」の意識の改革であるといえよう。つまり教師主導で行われる教育から、子ども主導への切り替えである。

奈良の学習法の重要点

 奈良の学習法の実践の上でとりわけ大切にされているのが以下の5点である。

①自律的学習を前提とし、子ども達一人ひとりが自立的学習の主体者である
②独自学習→相互学習→さらなる独自学習の順序ですすめる
③学習とは「学習者が生活から出発して、生活によって生活の向上を図るものである」
④子どもの全人格の発展に向けて、学習に発動性・創作性・努力性・歓喜性の四要素をもたせること
⑤指導については指導言や介入による直接指導ではなく間接指導をとること

「時代を拓いた教師たち」田中耕治 編著 P179~

 この実践の一つとして取り上げられたのが「『気になる木』の『はっぱ』をふやそう」という単元である。

奈良の学習法の実践

 活動内容としては、
①子ども達はそれぞれ自分で決めた訪問先にインタビューに出かけ、一人で調べる
②調べたことをもとに話し合いを行う
③話し合いをふまえて、再度一人で調べ直しに取り組む
…というものである。
 
 話し合い活動は教育の現場で一般的な取り組みでもあるが、奈良の学習法の特記すべきことは、話し合いの元に自分一人で振り返ることで他者の意見を要素として取り入れることができること。
 また、その活動のすべてが教師主体で誘導されるものではなく、子どもが主体であるということである。

 では以降、この小幡の実践の解説と、それに伴って成長する子どもたちの姿について触れていく。

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