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情シスの業務範囲が広すぎてキャリアパス迷子になるので整理してみた話

 自身のキャリアの棚卸しをしていると、前職でも現職でも情シスを創設しているということに気づきます。情シス作りがちな人生です。今回は情シスの業務範囲を整理し、経営層には情シスの認知を、既に情シスの人にはキャリアパスのヒントになればと思って書きました。

情シスの変遷

 情シス。社内SEなどとも呼ばれたりはしますが、今となってはコーポレートエンジニアと呼称することも多くなってきました。

 2000年代までは「社内のPCに詳しい人が担当する」職務でした。待遇もそんなに良くない時代が長いたのは情シスとしては辛いところです。

 情シスの持つ役割が強くなったのは2004年頃ではないでしょうか。個人情報漏洩事件が増え始め、専門的な知識に基づいた管理が叫ばれ始めました。

 2007年頃になると個人情報漏洩は企業の責任問題に発展するようになり、企業の上場における情報統制の比重が高まり、情シスの持つ管理面での意味合いも強くなっていきました。実際、上場から逆算して2年くらい前に急に情シスを作るベンチャーは多いように思います。

 2010年代になると対象となる情報端末がPCだけではなくタブレットやスマートフォンが登場します。そしてSaaSに代表される社外サービスの登場。AIの皮を被ったRPAなど社内にはITソリューションが溢れるわけです。このようにして情シスは守備範囲広すぎ問題を迎えます。

 2020年。CISO以外にも情シスでも高給取りが現れ始めました。DevOpsができる人材です。サービスインフラ並みにAWSマネージドサービスを駆使し、社内システムを自動化し、プログラムを書く面々です。そしてコロナウィルスの影響で下火になりつつある研究開発としてのAIブームに入れ替わるように登場したDX。ここでも情シスはなくてはならない存在になりますが、これは次回に譲ります。

 今年の年初に勉強会にて発表させていただいた資料も貼っておきます。今回はその延長です。余談ですが学部生時代の大学での講義代行から数えると、人前でスライドを前に話すのはカレコレ20年弱やっていますが、このときほどスライドを撮影されたことはありませんでした。

情シスのお仕事 4+1

 早速ですが先のプレゼン資料から発展させた情シスの業務範囲図です。今回はキャリアパスを意識して分類をより明確に意識したものになります。早速各分類を見ていきましょう。

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1)社内インフラ

 歴史的に情シスの領域に数えられてきた項目です。先に述べたように年々守備範囲が広がっていったために、「PCが詳しい人がなる」役職から「ITリテラシが一定以上求められる」役職へと変化していきました。

 中でもネットワークで言えば無線LANは設定はできる人は多いものの、トラブルシューティングやオフィス移転時の周辺環境の変化への対応、BYOD込で柔軟に運用できる人材は少ないです。外部委託しても強いとは限らないのが辛いところです。

 パブリッククラウド。これはインフラエンジニア、DevOps、SREにも共通して言えることですが、パブリッククラウドエンジニアには3世代あると考えています。

第一世代)オンブレミスをそのままパブリッククラウド上に移行
第二世代)マネージドサービスを駆使
第三世代)サーバレス

 一般的にパブリッククラウドを使うからには第三世代が望ましいとされているように思いますが、パブリッククラウドに寄りすぎるのは当該サービスとの心中を意味します。外資ばかりですし。マネージドサービスなどを表層だけ捉えて使うのではなく、裏で何が動いているのかOSSだけでなくパケットの動きまで込で終えるよう低レイヤに興味を持ち、言及できるようになることが中長期的には必要です。

2)ヘルプデスク

 ヘルプデスク。これは情シスたるもの一度は通る道でしょう。やがて新入社員に任せたり、外部委託したりする人も多いかと思います。寄せられた問題を解決するための業務知識などは必要ですが、大前提となるのはホスピタリティとストレス耐性です。

 特に後者のストレス耐性については「客先常駐のサーバエンジニアから情シスに転身希望を出される方」を中心に誤解を抱いている方が多いようです。「社内で身内が相談に来るのだから優しいだろう」と思いがちなのですが、基本的に困っている・ただちに何とかしてほしい方からのコンタクトなので非常にトゲトゲしているケースが多々あります。このあたりが入社時/配属時ギャップになりがちなので注意が必要です。

3)外部管理

 機材関係の購買に伴う取引先との調整や、内容によっては社内インフラの外注のようなものもあります。ERPに見られる大型のプロダクト導入のように、他部署と濃密に連携が必要なケースもあるでしょう。

 外部管理の業務の中でも一番の花形はオフィス移転だと考えています。今使っている環境をそのまま新しい場所で再現する。右から左にカット&ペーストすれば良いというものでは有りません。今動いているものを把握仕切る網羅性、今後の成長戦略を踏まえた+αの施策策定が試される難易度の高さがあります。

 これは自慢ですが、前職でオフィス移転を取り仕切った際はネットワーク周り苦情0件でした。社員が褒めてくれないと落ち込んでいたら業務委託の人が讃えてくれました。こういうところ、経営層はちゃんと見てあげましょう。

4)管理

 これもまた異なる能力が必要です。普段運用しているものを将来の展開を見据えて文書化していく作業です。一般的にエンジニアもリサーチャーも嫌いな仕事です。たまに生き生きと取り組む人を見つけたら、それはレアキャラなのでマークしておくようにしています。

5)開発・業務効率化

 労働人口の減少に伴い、業務効率化が叫ばれるようになりました。主にAIや機械学習が華々しいソリューションとして売り込まれ、どさくさに紛れてRPAツールがAIの顔をして混じっていたりもする領域です。しかしその実、多くの経営者はRPAツールで事足りていたのではないかとも実しやかに囁かれたりもしていました。

 そんなRPAツールを駆使したり、ERPとの連携を始めとしたVBA、VB.NET、GAS、Python、C#.NETなどがバックオフィス周辺に存在するようになりました。特にVBAやGASでは見様見真似でそれっぽくプログラムを書ける人は増えているという印象です。しかし実務運用を考えるとバージョン管理やレビューをプロダクト開発と同等にしなければインシデントに繋がります。主に担当者の退職時に。

 こうした開発経験を足掛かりにしてプロダクトに回るもよし、プロダクトから情シスに転向してくるも良しかと思います。市場感的には情シスの数ある仕事の中でもCISO・情シス部長などに次いできちんとプログラミングできる人物というのは市場価値が高い傾向にあります。

キャリアパスをどうしていくか

 最も攻めやすいのは上図の同一カラーを攻めていくことでしょう。業務範囲を広げやすいと言えます。管理は組織や上場スケジュール、事業の性格などによっては機会がないかも知れません。

 気をつけなければならないのがヘルプデスクでしょう。ヘルプデスクは件数が多いと仕事した気持ちになりがちです。目の前の人に感謝されることで一定の達成感も得られます。しかしこれを繰り返していくとキャリアが前進しない可能性を多分にはらんでいます。具体的には下記のようなアプローチをすべきでしょう。

・Chat botやCSソフトウェアを導入してFAQについて社員が自己解決するように促す
・FAQとなるところをシステム的に潰す
・アルバイトなど自身以外のリソースを導入する

 これは情シスに限ったことではないですが、年に1−2回は転職の予定がなくても職務経歴書に実績を書き記しておくことです。情シスの業務は差し込みが多く、慌ただしく過ぎていきます。その中で積んできた実績などは豆に記しておきましょう。割と大きなイベントでも忘れがちです。特に情シスは忘れます。インパクトあった高難易度な障害対応とかもコンプライアンスに反しない範囲で書いておくと良いです。

情シスの価値を経営層に訴える

 料金表を開示している例としてユナイトアンドグロウさんのWEBページを紹介します。相見積もりにも良いかと思います。

情シス同士で繋がる

 情シスSlackなるものがありまして、先日1周年を迎えました。以前勉強会にも参加させていただいたのですが、情シスがインターネット上で横軸で繋がるというのは非常にメリットを感じます。

・IT企業に限らないため全国に居る
・社内で戦力が少なく頼れる人が少ない
・悩みどころが共通

 よく「一人情シス」などと呼ばれますが少人数で問題解決をしなければならないところを、外に頼れるというのは大きなブレイクスルーでした。なんでいままでなかったんですかね。基本的に話題のシェアがしやすい職種ですし、そのメリットはプログラマより大きいです。WindowsUpdateについての相談などは象徴的です。

 近年シェアリングエコノミーの一環で「社員のシェア」が模索されていますが、情シスなどはコンプライアンスにさえ気をつければどんどんシェアして然るべき職種だと考えています。それこそ町中の店舗のインターネット接続のトラブルシューティングにクリック一発で駆けつけるみたいなことはそろそろ出てきていいと思っています。

まとめ:情シスは総合格闘技

 これまで述べてきましたように、情シスの守備範囲は年々拡がっています。ともすれば日々の業務に追われているうちに年月が経っている…というケースが存在します。そのような事態はキャリアを考えると避けねばなりません。

 私自身、研究職・インフラエンジニア・SRE・情シス部長・開発部長・人材紹介事業技術顧問と担当してきましたが、情シスは深めようと思えばどこまでも深まりますし、広げようと思えばどこまでも広がります。

 普段の混み合った業務の中から自分は何者なのか、そして上図で言うところのどこが塗りつぶせているかを意識していく必要があるでしょう。

 さて、次回はDXです。多分。まとめるのがすごく大変です。ここでも活躍のキーワードとして情シスは出てくる予定です。

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エンジニアはどこから来てどこへ行くのかが現在の研究テーマの博士(IT)/LIG BiTT開発←レバレジーズほぼVPoE・レバテック技術顧問←Omiai SRE・情シス部長←高学歴ワーキングプア研究職

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多様化を極める現代の企業組織において、売り手市場が極まるITエンジニアを中心に個人のキャリアも、組織の構成も複雑さを極めています。人的資源(HR)のみならず、AIも業務に組み込まれ、労働を巡る環境の変遷も発生しています。 構造的なアプローチなくしては中長期的なプランも立てられない状況です。 人、AIといった労働資源を最大化する論理が求められる中、それを労働資源工学と呼び、まとめていきたいと思います。 参考:Human Resource Engineering (HRE) https://tech.leverages.jp/entry/20191225hre https://www.slideshare.net/mobile/makaibito/20200203-hre-human-resource-engineering

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