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IT人材トレンド予測2021:キーワードは費用対効果

 2020年はコロナウィルスの影響でリモートワークが大いに進みました。面接時間も以前は19:00スタートだったのが日中が多くなったように思います。何故でしょうね :)

 雇用の流動化、フリーランス化、そして未経験層を対象にしたビジネスの拡大などが2020年のトレンドだったと考えています。では早速2021年を予測していきたいと思います。

若手のフリーランス激化

 この流れは彼らが受けてきた教育、経験してきた景気、環境を踏まえるとどう考えても止まらないです。企業に残って出世したいという明治から続いてきた感情設計は潰え、ある調査に依ると今や四人に一人(恐らくは今は更に下がっている)しか出世欲はありません。詳細は下記をどうぞ。

大手を除く採用合戦の熱の低下

 ITエンジニア経験者層を巡る採用熱が最大化したのは2019年上旬まででした。

 現在、企業が採用時に意識すべき点は下記です。

・先に述べたように「企業に残って出世することを良しとする」のは四人に一人以下で且つ年々下がっている
 →幹部候補を想定しての若手採用について難易度は上がっている
・採用合戦はITエンジニアについては継続して加熱している
 →予算投下は避けられないし、極端なエンジニアだとお金がないのが悪いと思っている
・新卒に内定を出しても来るとは限らない
・「新卒の代わりに未経験エンジニアを」という代案は2018年頃に流行したが、現在は1-2年でフリーランスになるリスクがある
 →教育コストを回収できるかどうかは不明

 特に新卒における内定辞退率はしっかり把握すべきです。辞退理由、どこに行ったか、可能であれば何きっかけなのかを抑える必要があります。「他社の内容を持っている人を狙い撃つ紹介会社」もあります。「あの企業の内定を持っているなら大丈夫だ」「あの企業がマインドセットしてくれたなら大丈夫だ」という目安になるので横取りする企業からしてみたら良質なフィルタが存在するという意味で旨い話です。

 企業はこれらを意識し、立ち振る舞わなければ人材輩出企業になるだけならまだしも、高騰する採用フィーだけドブに捨てる流れが出てきます。

 こうした流れに対し、採用に飽きている企業が登場しています。私も採用コンサルをしながらも、こうした採用シーンに辟易としている一人なのでしっかりネガティブ情報としてお伝えしています。事業は人を採用することが目的ではなく、前に進めることが目的です。そのためには最初から既に必需品から贅沢品となっている採用活動に投資をするのではなく、良きパートナー会社と組んでしまうのが効果的です。ある程度営業利益が確保できたらコストを掛けて採用に踏み出せば良いと考えています。

CXO、VPの転職冷え込み

 経営層と話していると「CXOが居なくなり経営的に窮地に立たされた」というエピソードが聞こえてきます。そこから警戒してCXOを置かなくなった/(知人からそういう話を聞いたので)最初から置いていないという企業が出てきています。上場・非上場問わずに見られる事象です。特に一部CTOのジョブホッピング具合は激しいですからね。

 一方、そうした企業の中にも「CTO候補」などとする求人票は継続してあり、入社したら入社したで「いつCTOにしてくれるんだ」という話から拗れる話も聞こえてきます。何らかの事情で関係性を拗らせたCTO・CTO候補ができるエンジニアを引き連れて転職するケースも少なくはありません。

 更にこうしたポジションは「当該組織がなりたいと思っている組織に居た人」を採用する傾向にあるため、オープンに求人票を出していても無意味です。企業名決め打ちでヘッドハントしたほうが早いです。

 組織的にも頂点であるCXO。それ故に「いつかはCXO」を夢見て居られる方も居られると思いますが、動向がどうなるのか、そして自分はそのトラックに乗れそうかということはくれぐれもご注意ください。多分、創業メンバーになるのが一番早いです。エンジニアのキャリアを考えた際に分かりやすく最高峰のキャリアパスではあるものの、先人が需要の先食いをしてしまった気さえします。案外寸詰まり感が強いキャリアパスにすら思えます。VPoE候補として転職していて見えてきたのは「先人が土地を荒らし過ぎていてペンペン草も生えない」光景でした。

ミドルのフリーランス化

 既に問題なく現代の環境に適用できる学習習慣のあるミドルは先のフリーランスになる傾向が強まっています。詳細は下記をどうぞ。

ミドルのリラーニング(闇を含む)

 フリーランスとして立ち回れるかどうかは学習習慣、知識のアップデート(リラーニング)の習慣に関わってきます。例えば非情報系からSIerに入り、そこから指示に従った実装のみを行い、特に知識のアップデートがないまま45歳に差し掛かった場合には入社時研修 + αくらいのレベルである可能性があります。SIerで入社時に受けた研修の質や、チーム入場した際の兄弟子の質が問題になってきます。

 以前の記事で触れたように、ミドルが所属するソフトウェアハウス(小規模SIer含)のM&Aによる他社への吸収の動きがここ数年起きています。こうしたM&Aのケースについての情報を掘っていくと「知識がある」「経験がある」といったポジティブな声より「若手より辞めにくい」という根も葉もないドライなものが集まってきます。

 これまでは真っ白な新卒を教育前提で採用してきたのが大前提でした。しかしその若手採用が困難な今、これからは旧世代エンジニアをアップデート(リラーニング)前提で採用することが起きていくでしょう。

 どうやってアップデートするかがビジネスになっていくことが予想されます。ここを虎視眈々と狙っている情報商材寄りのプログラミング学校が攻めてくるんじゃないかを気にしています。45歳を前に整理されると焦るミドル相手に70万円とか払わせてRoRやらせる動きを感じてなりません。

未経験エンジニアの脱落と次の市場

 年末にTwitterで話題になった毛呂さんのTweetをご覧になったことは多いのではないでしょうか。私自身も厳しいことは把握していましたが600応募は果てしないですね。600応募するスクリプトを書いたほうが良いかも知れない。もっと作戦立てれば少なくて済むと思いますが、それはまた別のお話。

 注意して頂きたいのは新卒はここまで厳しくはないということです。ある程度できる新卒エンジニアについての接待のような事象は別格としてありましたが、そうでなくても素養が感じられれば企業選びを誤らなければ問題ないです。ただ同じ素養であっても一度卒業してエンジニア転職しようとすると非常に厳しいです。

 実際問題として、未経験エンジニアを採用しようという企業の数は減っています。ITエンジニア不足が声高に叫ばれていますが、あくまでもできる人材が不足しているのであって、なりたい人を取りたいわけではないのです。新卒は別。パンを求めているのに小麦粉が来ても困るのです。パンにするスキル、時間、パンにした上で評価が高かった実績が企業にないと厳しいということです。そして未経験エンジニアの諸先輩が1年でフリーランスになるので純粋に馬鹿らしいというのもあるのです。

 ではこの溢れた人達はどこへ行くのかが気になります。YouTuberになりたい人を支える動画編集あたりかな?とは思っています。

まとめ

 普通、この手の未来予測は希望を感じさせるものが多いのですが、希望だけでご飯は食べられないので楽観的なのは好きではありません。勢いなんだか辛口な内容になりましたが、想定されるリスクには備えるべきだと考えます。

 今年もこんな調子の当コンテンツですが、宜しくお願いいたします。

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