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#映画
『中村屋酒店の兄弟』
劇場を出て、偶然にも白磯監督を目の前にした時、
「ありがとうございました」
と発していた。
「おもしろかったです」とか映画の感想ではなく、感謝の言葉だった。
もしかしたら、普通のことかもしれない。
監督、俳優を目の前にしたら、よくあることなのかもしれない。
だけどあの日の自分にとって、
まだ映画の感想がまとまっていなかった自分にとっては、
それが直感的な感想、捉えた感情だったんだろう。
◇
『ちょっと思い出しただけ』
なるほど、ちょっと思い出したのは、
その人・その場面だったのか。
同じ日を6年間遡る。
結末を知っているだけに、苦い思い出から、
出会った頃の甘い気持ちまで振り返る、
その順次がむしろ残酷だ。
だけど、苦くても、当時の思い出は鮮明に、その感情を伴って思い出される。
観ている私たちもそうだ。
照生と葉の、限定的な数日間だけでも、
2人の関係性がありありと描かれる。
たった数日間なのに。
何がきっ
『花束みたいな恋をした』
花束を構成する花々の名前を、私は知らない。
劇中で、絹は麦に「花の名前を女の人から聞くと、男の人はその花を見るたびにその女の人のことを思い出すんだって」と言っていた。
それを聞いた麦は「じゃあ教えてよ」と言うが、絹は教えない。
友人と会った帰り道、電車に揺られながら絹は「カップルでタトゥー掘るって、一生別れない自信があるってことだよね」と言った。
麦は「なに? 絹ちゃんは自信ないの?」と尋ねる
まだ終わっていない朝鮮戦争のこと―― 1本の映画から考える
文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda
今回取り上げるのは、EXOのD.O.が主演した『スウィング・キッズ』(’18)。
朝鮮戦争時の捕虜収容所で結成されたタップダンス・チームに集ったのは、背景も動機も違う男女4人だった。黒人の下士官ジャクソン(ジャレッド・グライムズ)は、クリスマス公演を目指し、彼らのダンスを指導する。凄惨な時代を映画とともに振り返りながら、SDGsの「目標16:平