おもてなしを学ぶ/株式会社KICKs

株式会社KICKsは、京都大学観光MBAメンバーを中心とした観光戦略デザインファームで…

おもてなしを学ぶ/株式会社KICKs

株式会社KICKsは、京都大学観光MBAメンバーを中心とした観光戦略デザインファームです。 有名老舗旅館に伝わる「おもてなし虎の巻」を紐解き、おもてなしを学ぶ様子をnoteでは公開しています。 HP: https://kanko-innovation.com/

マガジン

  • 金沢まち歩きが楽しくなる「おもてなし」

    金沢まち歩きに関する「おもてなし」をまとめています。 少し変わった角度から、金沢について学んでみませんか。

  • 茶の「おもてなし」

    茶の「おもてなし」に関する記事をまとめています。お茶をより深く楽しむために、少し学んでみませんか?

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お茶の「おもてなし」

第一章:お茶の種類と歴史日本茶は、その豊かな歴史と多様な種類で知られています。煎茶、玉露、抹茶、番茶、玄米茶、釜炒り茶など、それぞれが独自の製法と特徴を持っています。煎茶は摘んだ茶葉をすぐに蒸して発酵を止め、手で揉んで撚りをかけた茶です。深蒸し茶は煎茶の一種で、蒸す時間が長いため、味や色が濃く出るのが特徴です。玉露は新芽を日光から遮り、1ヶ月ほど育てた茶葉から作られ、その名は製造業者「山本山」が江戸時代に出した商品名に由来します。 抹茶は碾茶を石臼でひいて粉末にしたもので、

    • 供物や熨斗の「おもてなし」

      第1章:供物の心得供物は、故人への敬意と感謝の気持ちを示す大切な行為です。適切なタイミングで、相応しいものを贈ることが、真心を伝える基本となります。 タイミングと手配 供物は、通夜の前日までに届くよう手配し、葬儀当日には遺族に渡すことが基本です。通夜の供物は午前中まで、葬儀の供物は前日中に手配します。購入時には必ず弔事用であることを伝え、適切な水引や表書きを用意してもらいます。届ける際には、遺族や受付係に渡し、勝手に祭壇や霊前に供えるのは避けましょう。 供物の種類

      • 金沢まち歩きの「おもてなし」 -工芸編-

        第一章: 金沢の工芸の歴史金沢の伝統工芸は、加賀藩の歴代藩主が文化政策に力を注いだことから始まります。加賀藩は、各地から優れた名工を招き、漆器や染色などの技術を金沢の地に根付かせました。この歴史的背景は、金沢の工芸が日本有数の高品質なものとなった理由の一つです。 第二章: 蒔絵の装飾が映える「金沢漆器」金沢漆器の技術は、加賀藩3代藩主前田利常が京都から名工・五十嵐道甫を招いたことから発展しました。漆器は茶道具を中心に、日常使いの食器や調度品まで幅広く制作されており、その美し

        • 石川の風土と「おもてなし」

          1. 加賀・能登の風土や工芸を知る石川県は加賀と能登という二つの地域から成り、その風土が独自の文化と工芸を育んできました。特に、輪島塗や九谷焼、加賀友禅などは、日本国内外で高く評価されています。これらの工芸品が生まれる背景には、石川の特有な風土が大きく関与しています。 例えば、木曾漆器の産地である平沢の職人が、「技術では引けを取らないが、デザイン感覚では輪島にはかなわない」と語っています。彼らは一部の高級品を輪島に送り、仕上げを頼んでいると言います。石川の風土が持つデザイ

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        • 金沢まち歩きが楽しくなる「おもてなし」
          6本
        • 茶の「おもてなし」
          5本

        記事

          江戸の「おもてなし」

          第1章:日本人のおもてなしの心江戸時代、東京(当時の江戸)は日本の中心地として、多くの人々が暮らし、交流する場所でした。その中で育まれたのが「江戸しぐさ」という、おもてなしの心を象徴する文化です。江戸しぐさは、江戸の庶民が互いに気持ち良く暮らすために生まれた、細やかな心遣いや気配りの習慣です。江戸っ子とは進歩的な人間主義者で、和を重んじ、誰とでも付き合い、新人をいびらず、権力にこびず、人の非を突く時は下を責めず上を突く、外を飾らず中身を濃く、といった思想を持っています。こうし

          輪島塗の「おもてなし」

          第一章: 輪島塗の特徴輪島塗とは、石川県能登半島の輪島で生産される漆器のことを指します。輪島塗はその丈夫さと美しさで知られており、長い歴史の中で培われた技術と工法によって、他の漆器とは一線を画しています。 材料と製法 輪島塗の製作には、生漆と米糊を混ぜたものを厚手の木地に貼り付け、その上に焼成珪藻土を混ぜた下地を何層にも施す「布着せ」技法が使われます。この方法により、輪島塗は非常に強固で耐久性が高い仕上がりとなります。また、上塗りには精製漆を使用し、沈金や蒔絵といった加

          輪島塗の「おもてなし」

          茶の歴史と文化と「おもてなし」 伝来~室町時代前期編

          はじめに茶は、日本の文化に深く根ざした飲み物であり、その歴史と風習は多様な形で発展してきました。本エッセイでは、茶の起源とその伝来から、平安時代から室町時代前期にかけての日本における茶の発展について探ります。特に、仏教行事としての「引茶」や、栄西禅師がもたらした新しい茶の点て方、そして室町時代における武士や庶民の間での喫茶の普及まで、茶の文化がどのように形成され、広がっていったのかを詳述します。茶の歴史を通じて、当時の社会や文化、そして人々の暮らしぶりに触れることができるでし

          茶の歴史と文化と「おもてなし」 伝来~室町時代前期編

          能登まち歩きの「おもてなし」-能登半島 紹介編-

          第1章: 能登半島の外浦・内浦対照的な外浦と内浦 能登半島は、外浦と内浦という二つの異なる顔を持っています。外浦は日本海に面し、荒々しく男性的なイメージが強い一方で、内浦は富山湾と対峙し、静かで優しい女性的なイメージが漂います。 海と波の様子 外浦の冬は厳しい日本海の風景が広がります。空が厚い雲に覆われ、荒れ狂う風と高い波が絶え間なく打ち寄せるその姿は、厳しくも壮大な美しさを誇ります。特に、垂水の滝は山から海へと流れ落ちる35メートルの高さを誇り、強い風に吹き上げられ

          能登まち歩きの「おもてなし」-能登半島 紹介編-

          着物の「おもてなし」

          はじめに日本の伝統文化の中でも、着物は特に魅力的で独自の美しさを持つ装いです。その歴史は古く、時代と共に進化し続け、多様な種類と着こなしの方法が発展してきました。「おもてなし」としての着物は、日本の美意識と心のこもったもてなしの精神を象徴しています。このエッセイでは、着物の基本的な知識から、具体的な着こなし、そして着物に込められた技術と美学について、四つの章に分けてご紹介します。 第1章: 着物の常識と着こなし着物は、日本の伝統衣装としてその文化や歴史を反映しており、私たち

          金沢まち歩きの「おもてなし」 -建築編-

          金沢は、その歴史と文化が反映された多様な建築物が点在する町です。古き良き伝統と現代の斬新なデザインが共存する金沢の建築物は、訪れる人々に深い感動を与えます。今回は、金沢の代表的な建築物を巡る4章立てのエッセイで、その魅力を紹介します。 第1章: 歴史と文化が息づく建築物尾山神社 尾山神社は、加賀藩の祖、前田利家公とその正室お松の方を祀る神社です。二代藩主前田利長公が建立した卯辰八幡宮を起源とし、加賀藩主の主祭神として重要な役割を果たしてきました。神門は日本・中国・西洋

          金沢まち歩きの「おもてなし」 -建築編-

          不思議な日本語の「おもてなし」

          第一章: 言葉の背景と文化日本語には、多くの言葉が日常生活に深く根付いていますが、それらの言葉には時に不思議な語感や背景があります。その一つが「おもてなし」です。この言葉は、単に「もてなす」こと以上の意味を持ち、心からのお迎えやお世話を表しています。言葉の奥深さを理解するには、その文化や背景に目を向ける必要があります。 例えば、「ぐうの音(ね)」という表現があります。これは、相手に言い負かされて一言も弁解できない様子を指します。「ぐう」は苦しい時に出るうめき声を表しており、

          不思議な日本語の「おもてなし」

          茶懐石の「おもてなし」

          第一章: 茶懐石の心と四季の移ろい茶懐石は日本の食文化の精髄とも言える存在で、ただの料理以上に豊かな感性とおもてなしの心を含んでいます。堅苦しい作法や難易度の高い料理という先入観を捨てて、茶懐石が持つ合理的で美味しいエッセンスの宝庫を感じてみてください。 茶懐石の心は、正式なお茶事の席でいただくだけでなく、日常の食卓にも息づいています。四季折々の食材を使い、その時々の季節感を大切にすることで、私たちの生活に彩りを与えてくれます。食材に触れるたびに、季節の移ろいを感じ、器や

          茶懐石の「おもてなし」

          金沢まち歩きの「おもてなし」 - ミステリー編

          はじめに金沢は、日本の歴史と文化が息づく美しい街です。風光明媚な景観、豪華な城郭、そして情緒あふれる庭園など、訪れる者を魅了してやみません。しかし、金沢の魅力はその表面的な美しさだけではなく、その背後に隠された数々の謎や伝説にあります。これらのミステリーを紐解くことで、金沢の本当の姿が見えてくるのです。 このエッセイでは、金沢まち歩きの「おもてなし」 - ミステリー編 - と題して、兼六園や金沢城にまつわる不思議な話や、隠された歴史を四章に分けてご紹介します。第一章では、兼

          金沢まち歩きの「おもてなし」 - ミステリー編

          夏の「おもてなし」

          夏の「おもてなし」 夏の「おもてなし」は、日本の風土と文化が織り成す季節の行事や祭りを通じて、地域社会の絆を深める重要な役割を果たします。夏の始まりを告げる「半夏生」や京都の祇園祭、半年の穢れを清める「夏越の祓」、そして山開きや川開きといった行事は、いずれも自然との共生と人々の健康を願う心が込められています。これらの伝統行事は、訪れる人々を温かく迎え、共に季節を楽しむことで、日本ならではの心温まるおもてなしを体現しています。 半夏生(はんげしょう) 夏の訪れを告げる半夏

          香木の「おもてなし」

          第一章:香木とは香木の魅力は、その香りにあります。香木は特定の地域、インドやビルマ、カンボジアなどで生育するジンチョウゲ科ジンコウ属の木から得られます。特に、長い年月を経て風雨や微生物の働きで樹脂が沈着し、その香りを発するようになったものを沈香と呼びます。この香木は、香道において非常に貴重で、上質なものほど香りが豊かで複雑です。 香木は一本の木全体が香木であるわけではなく、その中の一部が香りを持つことが多いです。そのため、樹皮に近い部分や中心部分によって香りの質が異なります。

          金沢まち歩きの「おもてなし」 -兼六園・金沢城公園編-

          第1章:兼六園の四季折々の美日本三大名園の一つ 兼六園は、日本三大名園の一つに数えられる回遊式大名庭園です。池を中心に曲水が巡り、築山や多彩な樹木で覆われたこの庭園は、訪れる人々に四季折々の美しさを提供します。その広大な敷地は約3万4600坪におよび、8200本の樹木が四季に応じて異なる表情を見せます。 昭和60年(1985)には、「名勝」の中でも特に重要な「国指定特別名勝」に指定されました。その歴史は延宝4年(1676)、加賀藩前田家の5代藩主綱紀が現在の瓢池周辺を金沢

          金沢まち歩きの「おもてなし」 -兼六園・金沢城公園編-