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供物や熨斗の「おもてなし」


第1章:供物の心得

供物は、故人への敬意と感謝の気持ちを示す大切な行為です。適切なタイミングで、相応しいものを贈ることが、真心を伝える基本となります。

タイミングと手配

供物は、通夜の前日までに届くよう手配し、葬儀当日には遺族に渡すことが基本です。通夜の供物は午前中まで、葬儀の供物は前日中に手配します。購入時には必ず弔事用であることを伝え、適切な水引や表書きを用意してもらいます。届ける際には、遺族や受付係に渡し、勝手に祭壇や霊前に供えるのは避けましょう。

供物の種類

供物には、果物や菓子、酒類が一般的です。果物は故人の好物を選び、派手な色合いのものは避けます。菓子は生菓子や保管が難しいものは避け、干菓子など日持ちの良いものを選びます。酒類は故人が好きだったものを選ぶと良いでしょう。ケーキや生鮮食品など、日持ちしない食品は避けるべきです。香りの強い花や鉢植えの花も避けましょう。

第2章:熨斗(のし)の基礎知識

のしは、日本の伝統的な贈答文化の一部であり、相手への心配りを表す重要な要素です。熨斗袋や水引の種類、使い方について正しい知識を持つことが大切です。

熨斗とは

熨斗(のし)とは、「熨斗アワビ」の略で、昔は鮑の肉を薄く切り、火で炙って平らにしたものを贈答品に添えていました。一般的なお祝いでは熨斗を付けますが、弔事では付けません。また、食べ物には本来つけません。

水引の意味

水引は、贈答品を包む際に使用される紐で、色や本数、結び方に気をつける必要があります。水引の色には、紅白、金銀、黄白、黒白などがあります。紅白や金銀は祝い事に、黄白や黒白は弔事に使われます。水引の本数は、慶弔問わず五筋(本)もしくは七筋が一般的ですが、弔事には五筋を用いることが多いです。

結び方の種類

水引の結び方にも意味があります。重なることが良い慶事には蝶結びを、重ならない方が良い場合には結び切りや淡路結びを使います。新築祝いや賀寿の祝いなど、度重なることが良い慶事には蝶結びが適しています。婚礼や病気見舞いなど、重ならない方が良いものには結び切りや淡路結びが適しています。弔事には主に、黄色もしくは黒白の結び切り、淡路結びが使われます。

第3章:慶事と弔事の袱紗の使い方

袱紗(ふくさ)は、贈答品やお金を包む際に使用される布で、慶事と弔事で包み方が異なります。正しい使い方を心得ておくことが大切です。

慶事の包み方

慶事の場合、袱紗の中央に祝儀袋を置き、左から包みます。まず、左をかぶせ、次に上側を下に向けて折り、下側を上にかぶせ、最後に右側を内側に折り込みます。端の余分を裏側に巻き込むことも忘れずに行います。

弔事の包み方

弔事の場合は、右から包みます。袱紗の中央に不祝儀袋を置き、右側をかぶせ、次に下側を上に向けて折り、上側を下にかぶせ、最後に左側を内側に折り込みます。この違いを正しく理解し、状況に応じて使い分けることが重要です。

第4章:贈答の心遣い

贈答品を選ぶ際には、相手の立場や状況を考慮し、心からの思いやりを込めることが大切です。相手に対する敬意と感謝の気持ちを忘れずに、おもてなしの心を表現しましょう。

相手の立場を考える

贈答品を選ぶ際には、相手の立場や状況を考慮することが重要です。例えば、病気見舞いの場合、目上の人に現金を贈るのは失礼とされていますが、お見舞いの場合は問題ありません。災害見舞いでは、被災者が必要としている物を贈ることが大切です。

心を込めた贈り物

贈答品には、自分の心を込めることが重要です。例えば、故人の好物を供物として選ぶことで、その人に対する敬意と感謝の気持ちを表現できます。また、選挙や合宿、演奏会の楽屋への陣中見舞いには、皆で分け合えるものを贈ると良いでしょう。

適切な贈答作法

贈答品を贈る際には、適切な作法を守ることが大切です。例えば、供花や供物を贈る際には、事前に遺族や受付係に確認し、勝手に祭壇や霊前に供えないように注意します。また、袱紗の使い方や水引の結び方を正しく理解し、状況に応じて使い分けることが求められます。
贈答の際には、正しい知識と礼儀を持ち、相手に対する思いやりを表現することが大切です。供物やのし、お見舞いなど、さまざまな場面での贈答の作法を理解し、心を込めたおもてなしを心がけましょう。

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