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和紙・手紙の「おもてなし」

第1章:和紙の種類と魅力

和紙は、日本の伝統的な手漉き紙で、その種類や用途に応じてさまざまな特徴があります。手紙を包む紙として、和紙を使うことは、その手紙に込められた思いやりや丁寧さを一層引き立てます。

檀紙(だんし)

檀紙は、厚手で白く、縮緬のようなシボが特徴です。この紙は、古くから公家によって用いられてきました。重要な手紙や丁寧さを求められる場合に使われることが多く、その存在感と重厚感が、受け取る側に特別な思いを伝えます。

奉書(ほうしょ)

奉書は、最も広く使われる和紙の一つです。柔らかく、質感が良いため、さまざまな物を包むのに適しています。公私にわたる多様な用途で用いられることが多く、その万能性が魅力です。どんなシーンでも使いやすいので、一筆箋や贈り物の包み紙としてもよく選ばれます。

杉原紙(すぎはらがみ)

杉原紙は、パリッとした質感が特徴で、日常の物に使われることが多い和紙です。古くは武家によって用いられており、そのしっかりとした質感が、実用性と共に、日常使いの美しさを感じさせます。メモやラフな手紙にも適しており、気軽に使えるのが魅力です。

和紙の選び方一つで、手紙や贈り物の印象は大きく変わります。相手やシチュエーションに応じた和紙を選ぶことで、贈り手の心遣いが伝わります。

第2章:手紙の書き方の基本

手紙を書く上で、基本的な形式を知ることは非常に重要です。形式を守ることで、内容が伝わりやすくなり、相手に対する敬意も表現できます。手紙の基本構成を押さえ、応用することで、誰でも素敵な手紙を書くことができます。

前文

頭語

頭語には、手紙の冒頭に用いる決まった表現があります。例えば、「拝啓」「拝呈」「一筆啓上」などが一般的で、結語としては「敬具」「拝具」「かしこ」が対応します。丁寧な手紙では「謹啓」「恭啓」などを使い、さらに丁寧にする場合は「粛啓」「奉啓」となります。

時候の挨拶

時候の挨拶は、手紙の本文に入る前に、その季節の気候や行事などをさりげなく取り入れて書きます。例えば、「○○の候」「○○のみぎり」「○○のおりから」などの表現があります。改まった手紙ではなく、日常的な手紙であれば、季節の挨拶から始めても良いです。

はじめの挨拶

手紙の最初に相手の安否を尋ね、その後にこちらの近況報告や過日のお礼を述べます。例えば、「愈々御清祥の段、大慶に存じます」「ご清栄のお過ごしのことと存じます」などが一般的です。

主文

起こし言葉

起こし言葉(起語・起辞)は、主文の頭に付けることで全文への流れをスムーズにします。例えば、「さて」「ところで」「実は」「この度」などがあります。不自然に感じる場合は使わない方が良いです。

本文

伝えたい用件を順序よく整理して、相手に分かりやすく書きます。メモを用意しておくと、慣れるまでは便利です。一文が長くなりすぎないように注意し、漢字は大きく、ひらがなは少し小さめに書くと全体のバランスが良くなります。

末文

結びの挨拶

主文の内容に合わせて簡潔にまとめます。例えば、「先ずはお礼まで」「右ご案内まで」「用件のみにて失礼します」などがあります。また、健康と無事を祈る挨拶や将来を頼む挨拶も適宜取り入れます。

結語

結語は、手紙の締めくくりとして、頭語に呼応した適切な言葉を選びます。

後付

日付

正式な手紙は、年月日を記します。主文より二・三字下げて、少し小さく書きます。

署名

自分の名前を行末に書きます。手紙は自分自身で書くことが原則ですが、代筆した場合は差出人の左下に小さく「代」と書き添えます。

宛名・敬称

宛名はフルネームで行頭にやや大きめの字で書きます。同性連盟の場合、二人目からは姓を書かず、名前だけ並べますが、敬称は必ずそれぞれに付けます。

脇付け

脇付けは、改まった手紙に用いられる敬意を表すものです。宛名の左下にやや小さ目に書きます。手紙文と揃えた脇付けを封筒にも書くことがあります。

副文

副文は本文を補充する際や書き忘れた内容を記載するために用います。正式な手紙や目上の方への手紙には避けるべきです。書く場合は本文より四・五字ほど下げて、小さ目の文字で書きます。

第3章:手紙のしきたりとマナー

手紙は相手の手元に残るものです。そのため、何度も読み返すことができ、肉筆による味わいが書き手の息吹を伝えることができます。だからこそ、相手に気持ちよく読んでもらうために、手紙のマナーを守ることが大切です。

上座・下座

手紙文では、行の上部が上座、行末が下座となります。相手の名前や「貴方様」などの相手を指す言葉、「御」「貴」などの敬意を示す語は、行末に来ないようにします。どうしても行末に来る場合は、改行して行頭から書きます。

一つの言葉を分けない

一つのまとまりの言葉を二行に分けて書かないようにします。文字が離れると読みにくく、見た目も美しくありません。言葉が分かれそうな時は、文字を小さくして一行でまとめるか、改行して行末を空けます。

縦書きの美しさ

改まった手紙や茶事の案内状、お礼状などは縦書きにします。巻紙に毛筆で書くのが正式です。縦書きの美しさを大切にしましょう。

誤字・脱字の防止

誤字脱字は禁物です。手紙を書く際には、辞書を傍らに置き、不安な漢字や言葉は調べてから書きます。相手の名前を書き違えるのはもってのほかです。

白い紙が正式

改まった手紙や目上の方への手紙は、白い便箋を用います。友人や季節のお便りなど、くだけた内容の手紙であれば、模様入りや色付きの便箋を使っても良いでしょう。

便箋と封筒の使い方

便箋は一枚だけでも失礼ではありませんが、白紙の紙を一枚添える習慣もあります。封筒は白いものが正式で、宛名は封筒の中央に楷書で大きめの字で書きます。差出し人の住所と名前は必ず書き、特に目上の方へはしっかりと記載します。

手紙は、その形式や内容に相応しいマナーを守ることで、より一層相手に対する思いやりや敬意を伝えることができます。手紙を書く際には、これらのマナーを意識し、相手に喜んでもらえる手紙を心がけましょう。

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